それはスティーブ・ナッシュの舞台ではなかったようだ。彼はいつもメディアとは良い関係を築き、深く考え、礼儀正しく質問に答えてきた。しかし、席に座って自身の現役時代について語ることは、彼にとってあまり魅力的ではなかったようだ。
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「極端なくらい」ナッシュは6日、語った。「僕は注目を浴びたくないんだ。それだけでなく、あまり深く考えたくもない。僕はただ、妻と子供たちのところに戻って出かけたいんだ」。
ナッシュはその週末、素晴らしいキャリアを祝福されるためスプリングフィールドにいた。彼はグラント・ヒルやレイ・アレン、ジェイソン・キッドらと共にバスケットボール殿堂入りを果たしたのだ。
とても残念なことに、ナッシュは6日の記者会見で、たった10分間しか質問に答えなかった。なぜ残念かというと、史上最も人気を博している今日のNBAにおけるトレンドを築く上で、ナッシュが果たした貢献は計り知れないからだ。
ドン・ネルソン・ヘッドコーチ率いるダラス・カウボーイズで、そしてマイク・ダントーニ・ヘッドコーチ率いるフェニックス・サンズで、ナッシュは所属チームと共に15~20年前におけるリーグの常識に真っ向から食ってかかった。当時のバスケットボールはスピードが落ち、フィジカルが重視されるようになり、そして退屈になっていた。
2004年のイースタン・カンファレンス・ファイナルで、インディアナ・ペイサーズとデトロイト・ピストンズが第6戦を戦い、ピストンズが69‐65で勝利した。それは見るに堪えない試合だった。3ポイントシュートが計30回試みられ、両チーム合わせてシュートの34.5%はフィールドからのものだった。そのシーズン、1試合平均100得点以上したチームは2チームだけだった。平均90得点を下回ったチームが5チームあった。
明らかに、それは変わった。昨年、28チームが1試合平均100得点以上を記録した。ネルソンやダントーニといったコーチたち、そしてルールの変更が大きな理由ではあるが、ナッシュ以上にこの変化に貢献した選手はいないだろう。
2004年にナッシュがフリーエージェントとしてサンズに移籍したとき、醜いディフェンスが蔓延っていた当時のNBAは一変した。ダントーニのサンズはスピードとボールポゼッション、そして3ポイントシュートを重視した。そのようなチームは未だかつて存在しなかった。それはダントーニが考えた戦術だが、ナッシュがいなければ機能しなかった。
ナッシュが移籍した初年度、サンズは1試合平均110.4得点をマークした。それは驚くべきことで、なぜなら次点のサクラメント・キングスは平均103.7得点だったからだ。NBAにこれほどの得点能力を備えたチームはそれまでなく、ナッシュは2年連続でMVPを受賞した。
ゴールデンステイト・ウォリアーズのヘッドコーチ(元サンズのGM)、スティーブ・カーは、かつてサンズがナッシュと共にやっていたことから派生したバスケットボールをしているのだ。
ただ、そのことをナッシュに伝えてはならない。
「そんなことないよ」今日のバスケットボールにおける自身の影響について質問され、ナッシュは言った。「毎朝起きたら、多少は考える。僕は自分の実力を証明できて幸せだ、って。現役時代も引退後も、同じような感情を覚える。それは一生消えないだろう。でも、今日のポイントガードに関して、自分の影響があるとは思わない。全体として、僕らは次世代の選手たちに影響を与えるし、その選手たちは次の世代に影響を与える、ということじゃないかな」。
「このスポーツが生まれてから今日まで、波みたいなものがある。その波の一部になれたことは嬉しく思う。でも、誰もがスポーツの進化に関わっているんだ」
この件に関して、ひとつの真実がある。ナッシュはサンズでチャンピオンにはなれず、そしてリーグ最高の選手でいた時間は短かった。シャキール・オニールの後に一世を風靡したコービー・ブライアント、そしてマイアミにやって来たレブロン・ジェームズに追いやられてしまった。
しかし、ナッシュの存在の重要性が薄れるわけではない。彼は、目も当てられない時代のNBAと今日のNBAをつなぐ、重要な架け橋だったのだ。ナッシュは数年間、真っ直ぐシュートが打てる選手を見つけられなかったリーグに希望を与えたのだ。
彼が謙遜する理由のひとつはおそらく、西カナダで若い選手としてキャリアをスタートしたことによるものだろう。自身が殿堂入りするとは夢にも思わなかった、控え目なキャリアのスタートだった。
「僕はアンダードッグだった」ナッシュは言った。「僕は必死にもがいて大学に入り、同じようにNBAに入り、それをただ止めなかった。僕は自分の道を切り開くことを続けて、最終的に今日、この場にいられるようなキャリアを送ることができた」。
「でもNBA入りしたとき、僕自身を含めて誰も、僕の技術と能力が影響を与えるなんて思わなったと思う」
でも、与えたのだ。数年間、ナッシュはNBAを席巻し、リーグが変化し、今日の人気を手にする道を切り開いた。彼の殿堂入りはつまり、そのことを称えられたのだ。
原文:Steve Nash paved way for modern NBA game —even if he doesn't want to admit it
翻訳:Muneharu Uchino
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