カンファレンス・ファイナルで注目すべきバックスのビッグスリー: ヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトン、ブルック・ロペス

杉浦大介 Daisuke Sugiura

カンファレンス・ファイナルで注目すべきバックスのビッグスリー: ヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトン、ブルック・ロペス image

イースタン・カンファレンス第1シードのミルウォーキー・バックスと、第2シードのトロント・ラプターズによるカンファレンス・ファイナルが5月15日(日本時間16日)から開幕する。1974年以来のNBAファイナル進出を目指すバックスの鍵を握る3人の注目選手をここでは紹介する。

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ヤニス・アデトクンボ

 

Bucks Giannis Antetokounmpo

今シリーズ最大の注目選手が通称“グリーク・フリーク”であることに誰も異論はないだろう。シーズンMVPの最有力候補は、プレイオフ開始後も平均27.4得点、11.3リバウンドと怪物的な成績をマーク。ボストン・セルティックスと対戦したセミファイナルでは、会場全体が凄まじいほどの敵意に満ち溢れるボストンでの2試合でもそれぞれ32得点、39得点をあげ、重圧の下でも活躍できることを証明して見せた。

「(NBAで最も凄いと思ったのは)アデトクンボですね。人間の域を超えてしまっている。技術だけではなく、身体能力とかも全部合わせてです」。

今季、メンフィス・グリズリーズでプレイした渡邊雄太が繰り返しそう述べていたことから、この怪物の名は日本でもこれまで以上に知られるようになったはずだ。渡邊の言葉通り、サイズ、スキル、パワーなどをすべて兼備したアデトクンボは超人的なスケールの大きさが魅力。プレイオフでは3ポイントショットも32.4%というレギュラーシーズン以上の確率で決めており、さらに向上している感すらある。このままファイナルまで勝ち進めば、24歳の怪童は真の意味で全国区のスーパースターになることだろう。

ただ、今シリーズでは対戦する相手も生半可ではない。ラプターズ戦ではMIP(Most Improved Player=最優秀躍進選手賞)候補のパスカル・シアカムに主にガードされるはず。さらにライバルとみなされるようになったカワイ・レナードとマッチアップする時間もあるだろう。レナードとの対決はまさにイースタンの頂上決戦。スリリングな予感とともに、アデトクンボの現時点での真価がここで測られるといっても大げさではない。

 

クリス・ミドルトン

 

Bucks Kris Middleton

これまでやや見過ごされてきたスイングマンは、大黒柱アデトクンボの相棒としてバックスに絶対不可欠の存在になった。ドラフト2巡目(2012年のドラフト全体39位でデトロイト・ピストンズ入り)でのNBA入りながら、1年ごとに攻守両面で着実に成長。プロ7年目にして初のオールスター出場を果たしたサクセスストーリーは、他のドラフト2巡目指名選手たちにも大きな希望を与えていることだろう。

今プレイオフでも3P成功率46.7%とロングジャンパーが好調。チーム2位の平均19.1得点をあげ、大舞台でアデトクンボのサポート役をそつなくこなしている。マイケル・ジョーダンにとってのスコッティ・ピッペン、コービー・ブライアントにとってのパウ・ガソルに代表されるように、NBA史に残る“バットマン”には優れた“ロビン”が存在するものだが、実力と献身的姿勢を兼ね備えたミドルトンは、アデトクンボにとって理想的な相棒なのかもしれない。

ただ、今シリーズでは大きな試練に直面する可能性が高い。ディフェンス面では主にレナードをガードすることになりそうだからだ。このSF対決はシリーズ最大級の注目マッチアップで、絶好調のレナードに大爆発を許すようならバックスは厳しくなるだけに、ミドルトンの仕事は極めて重要になる。

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ブルック・ロペス

 

Bucks Brook Lopez

3人目の注目選手には、本来ならば“ビッグ3”のひとりであるエリック・ブラッドソーを挙げるべきなのかもしれない。ただ、ここではあえてロペスを選びたい。

NBAでの最初の5シーズンは3P試投数ゼロだった7フッターは、過去3年は3ポイントシューターとして開眼。今季も1試合平均2.3本のスリーを沈め、いわば“ストレッチ5”(アウトサイドショットを武器とするセンター)としてアデトクンボ、ミドルトンを助けてきた。

そんなロペスもプレイオフでの9戦では3P成功率27.9%と低調。特にセミファイナルの第3~5戦では3Pが合計2/15となかなか決まらず、完全なシューティングスランプに陥っている感がある。

ラプターズはマルク・ガソル、シアカム、サージ・イバカといった実績豊富なビッグマンを抱えている。この難敵に対抗するために、ロペスの得点力が必要になる場面は必ずあるはずだ。大一番でシュートタッチは戻るかどうか。“スプラッシュ・マウンテン”というニックネームまで授かった巨漢シューターから目を離すべきではない。

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

杉浦大介 Daisuke Sugiura Photo

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。