【バスケW杯】準々決勝でアメリカバスケ界を代表したブリッジズ|FIBAワールドカップ2023

Mike DeCourcy

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9月5日に行われたFIBAバスケットボールワールドカップ2023準々決勝のイタリア戦で、アメリカ代表のミケル・ブリッジズは第4クォーターに出場せず、ベンチからチームを見守った。それには十分な理由がある。それまでの間に、ブリッジズはほとんどひとりでイタリアを圧倒していたのだ。

イタリアは2次ラウンドでセルビア、プエルトリコ、ドミニカ共和国を上回り、グループ首位でベスト8進出を果たしたチームだ。そんな彼らを、アメリカはまるで運に恵まれて大会に出場した相手のように見せた。最終スコアは100-63だが、勝負はハーフタイムの前についていた。そして、8日の準決勝に駒を進める上で最も重要な仕事をしたのがブリッジズだった。

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ブリッジズはこのチームの本質、昨今のアメリカバスケットボール界が最も得意としていることを代表する選手だ。それは、多くの最高級のタレントがその潜在能力による重圧に苦しむ中で、見過ごされがちな10代の有望株を重要なプロ選手に育て上げたことである。

今大会のアメリカでブリッジズは全試合に先発出場している。ただそれは、彼の経歴において最もインパクトのあることではないかもしれない。アメリカは序盤に低調なプレイを続けてきたからだ。

イタリア戦でスティーブ・カー・ヘッドコーチが最初の戦略的交代をした時、アメリカは10-8と2点をリードしていたのみだった。大会の6試合でセカンドユニットを起用するまでの得失点差はわずか+4。格下ヨルダンとの試合を除けば、序盤で平均12点差をつけられている。

オースティン・リーブスやタイリース・ハリバートンらベンチメンバーにバトンを託し、彼らが疲れた相手に活躍することに過剰に頼り続けるのは、アメリカにとって賢明でないだろう。

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イタリア戦でアメリカはハリバートンの3ポイントショットと3アシスト、そしてリーブスの3Pで14-4と二桁点差をつけ、第1クォーターを終えた。ブリッジズはそれから第2Qに活躍したが、もっと早くにそれができる方が良いはずだ。

ただ、最終的にブリッジズは18分間のプレイで3P6本中4本成功を含むフィールドゴール11本中8本成功の24得点をあげた。28-18で迎えた第2Q中盤から、ブリッジズは立て続けの活躍を見せている。ドライブからの3点プレイ、ブロックからリバウンドを拾って自ら3P成功、スティールでハリバートンの3Pをお膳立て、そして再び自ら3P成功。16-4のランにおける重要なプレイのほぼすべてで、ブリッジズはチームの中心だった。

試合後、ブリッジズは「守備では調子を定め、攻撃ではお互いを見つけることができたと思う。こういう時の僕たちを倒すのは大変だよ」と話した。アメリカは22アシストから36回得点している。8選手が少なくとも1本を決めた。

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高校時代に有望株としてトップ20入りしていた選手は、このチームの半分でしかない。トップ10なら4選手だけだ。ブリッジズは2014年にビラノバ大学に入学する際に96位というランキングだった。大学でオールアメリカン・サードチーム、ビッグイースト・トーナメントMVPに選出され、NCAAトーナメント優勝2回を経験したが、それでもNBAドラフト2018で全体9位指名だった。

だが、NBAで5年を過ごしたブリッジズは、NBAファイナルを経験し、オールディフェンシブ・ファーストチームに選ばれ、昨季は1試合平均20得点超をマークしている。

ここ3シーズンのオールNBAチームに選出された中で、アメリカ代表入りの資格を持ち、2010年以降にドラフトされた選手は18名。そのうち、高校時代にランキングでトップ20入りしていたのは8選手だけだ。

レブロン・ジェームズは超有望株からプロとしてもスーパースターになった。ケビン・デュラントやクリス・ポールといった選手たちも同じだ。そういった今世紀初頭に見てきたようなことは、今ではもうあまり起きない。

高校時代の2016年に3位にランクされ、東京オリンピックで金メダルを獲得したアメリカ代表のスタメンをはり、2022年と2023年に2年連続でオールNBAファーストチームに選出されたジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)は、近年の稀有な例だ。

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ただ、アメリカ代表の一部は、その問題に対処し始めたのかもしれない。アンソニー・エドワーズは昨季、ミネソタ・ティンバーウルブズで素晴らしい3年目を過ごした。平均24.6得点を記録して、オールスターに選出。プレイオフ最初の2シリーズでも平均28.1得点と傑出した。ルーキーシーズンだったパオロ・バンケロは、オーランド・マジックを勝たせられなかったが、平均20得点、6.9リバウンドとすぐに活躍している。

エドワーズがFG6本中1本成功とショットに苦しんだイタリア戦で見せた最も印象的な貢献は、カットしたバンケロのダンクをアシストし、38-18とリードを20点に広げた場面だ。その時点で無得点だったエドワーズは、やすやすとプルアップジャンパーを打てる位置にドライブしていた。だが、それよりも『勝者のプレイ』を選んだのだ。

勝利が絶対ではなかったリトアニア戦で力強さを欠いたアメリカは、このようなパフォーマンスで挽回したいと望んでいた。カーHCは「負けた時は常に競争心を出して応じてほしい」と話していた。ただ、このチームのここまで最高のクオリティは、その試合で活躍するベストポジションにいる選手を見つけてきたことだ。モンテネグロ戦ではエドワーズで、ギリシャ戦ではリーブスだった。

ブリッジズのキャリアには、この舞台であのように活躍することが想像できない時期もあった。アメリカバスケットボール界がそんな彼を成長させ、本人がこういった瞬間を迎えられるようになったのは素晴らしいことだ。

原文:Mikal Bridges' play in FIBA World Cup quarters defines what American basketball has become(抄訳)

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Mike DeCourcy

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.