ラプターズを球団史上初のNBAファイナルに導いたカイル・ラウリーのリーダーシップ

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トロント・ラプターズがミルウォーキー・バックスに4点のリードをつけて迎えた残り3.9秒、カワイ・レナードが1本目のフリースローを放つとき、カイル・ラウリーはガッツポーズをした。

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1本目が決まると、ラウリーは無表情を貫くレナードに笑顔で近寄る。レナードが2本目に向かうと、ラウリーはバックコートに下がりながら手を頭にやり、抑えきれないというように破顔した。

100-94で第6戦を制し、NBAファイナル進出を決めた試合後のロッカールームで、ラウリーは「よく分からない感情だ。なんと言えばいいか分からない。言葉で表現できない気持ちだ」と述べた。

そう話すラウリーのロッカーには、試合のボールが置いてあった。試合終了のブザーが鳴ると、最後のリバウンドでつかんだボールだ。子どもたちのところへ駆け寄ったときも、彼はそのボールを離さなかった。トロフィー授与の際に『TNT』のインタビューに応じたときも、それは同じだった。

ラウリーは「家に持って帰るかもね」と語った。

それまでの5年のレギュラーシーズンで、ラプターズはイースタン・カンファレンスのどのチームよりも19勝多い成績を残した。だが、ポストシーズンになると、彼らはその力を出せなかった。

2014年はブルックリン・ネッツとの第7戦でラウリーが最後のショットをブロックされた。翌年は、ファーストラウンドでワシントン・ウィザーズにスウィープされた。2016年はカンファレンス・ファイナルにたどり着いたが、2勝2敗からレブロン・ジェームズ率いるクリーブランド・キャバリアーズに敗れた。2017年と2018年も、カンファレンス・セミファイナルで同じくキャバリアーズに屈した。

レギュラーシーズンの成功とポストシーズンのフラストレーションの双方を経験したのは、現在のロスターでラウリーだけだ。そしてだいたい、彼はその後者の顔となってしまっていた。

ポストシーズンにおけるラウリーの苦戦は、おそらく誇張されている。67試合で1試合平均17.1得点、6.3アシストという数字を残しているのだ。

ラウリーがもたらすインパクトは、ショットの成功に限らない。彼は攻守両面でビッグプレイを見せる。そしてこの2019年のプレイオフで、彼は大事なタイミングでそのビッグプレイを披露してきた。

再び落胆のポストシーズンに終わりかけてきたことを考えれば、信じられないことだ。フィラデルフィア・76ersとのカンファレンス・セミファイナルでは、1勝2敗で迎えた第4戦の第4クォーター序盤に4点のビハインドを背負っていた。第7戦ではリングを4回弾いたラストショットで勝利した。バックスとのシリーズでも、あとわずかで0勝3敗とされるところだった。

第6戦も、第3Q残り2分強で、ラプターズは15点のリードをつけられていた。それまで、バックスは15点以上のリードをつけた試合で57勝5敗という成績だったのだ。だが、ラプターズはそこから26-3と巻き返し、15点のビハインドを8点のリードに変える。そして、その後はリードを保った。

その26得点の中に、ラウリーの得点はない。だが、彼は4アシストをマークした。その最後のアシストを、ラプターズのファンは永遠に忘れないだろう。クリス・ミドルトンからボールを奪って速攻につなげ、フリースローライン付近で止まり、ヤニス・アデトクンボとエリック・ブレッドソーをやり過ごしてから、アンダーハンドで後方から来たレナードにパス。レナードが左手のダンクを叩きこんだ。

レナードは「カイルと走り続けようとだけ思っていた」と話している。

「簡単にいけなければ、彼は適切なプレイをしてくれる」。

レナードがいなければ、ラプターズはここまで来ていなかっただろう。ラプターズをけん引したスターだ。同時に、ラウリーがいなくても、ラプターズはここまで来られなかった。左親指の負傷(ファイナル後に手術に向かうだろう)をおしてプレイし、シリーズの大半で7インチ(約18センチ)高いミドルトンをマークし続けたタフなポイントガードだ。

ラプターズのニック・ナース・ヘッドコーチは「生まれながらの本能で彼はリーダーなんだ。そして彼はそれを示している」と述べた。

「バスケットボールIQと素晴らしい知識でそれを実践しているんだ。見事なタフネスだよ。それも彼の元来の性質だ。すべての試合で責任を負うのさ。彼はただ勝つために戦っている。競技者であり、それが選手たちに伝わるんだ」。

フラストレーションが続いた5年のプレイオフを経て、ラウリーはようやくファイナルにたどり着いた。まだポストシーズンは終わらない。それでも、イースト王者にとってはお祝いの時間だ。

ラウリーは「この瞬間を味わうよ」と述べた。

「でも、満足はしない。僕らの目標は、NBA王者となることだ」。

ファイナルは5月30日(日本時間31日)から始まる。

原文: Lowry's leadership lifts Raptors to first Finals appearance by John Schuhmann/NBA.com(抄訳)​

 


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ