インシーズン・トーナメントMVPと優勝はレブロン・ジェームズの偉大な功績にどんな価値をもたらす?

Gilbert McGregor

坂東実藍 Miran Bando

インシーズン・トーナメントMVPと優勝はレブロン・ジェームズの偉大な功績にどんな価値をもたらす? image

これはレブロン・ジェームズのレガシィ(遺産)に影響するのだろうか?

公式「X」(旧ツイッター)のNBA関連、とりわけロサンゼルス・レイカーズのスーパースターに関する投稿には、冒頭の質問が冗談のようにぶら下がっていることが多い。ジェームズがレイカーズを初のNBAカップ(インシーズン・トーナメント優勝トロフィー)に導き、大会MVPに輝いた今、再びこの質問をするのは妥当なタイミングだ。

[AD] NBAがWOWOWに帰ってきた!毎週7試合ライブ配信、注目の5試合を実況・解説付きで生中継!

MVP受賞4回、ファイナルMVP受賞4回のジェームズは、インシーズン・トーナメントMVPを受賞したことで、新たなレガシィを加えたのだろうか。

レイカーズがインディアナ・ペイサーズに勝利し、NBAカップを手にした後、ジェームズは「歴史をつくった」と話している。

「歴史の正しい側にいるなら、常にそれを受け入れる。初のインシーズン・トーナメントはロサンゼルス・レイカーズのものだ。それは決して変わることがない。絶対に、だ」

インシーズン・トーナメントは大きな成功を収めたと見られている。一方で、レイカーズ優勝の受け止め方は様々だ。シーズン中のタイトルを喜びすぎたのか。優勝リングが何より重要な文化において、現実的に大きな変化をもたらすのか。そこに至るまでの道のりは難しいものだったのか。

これらの疑問に対してどう答えるにしても、レイカーズが初の優勝チームになり、21年目のジェームズがけん引したことは確かだ。

前例なき息の長さを思い起こさせたレブロン・ジェームズ

ジェームズは時の流れに逆らう習慣を身につけた。21年目にもかかわらず、彼はいまだにオールNBAレベルのプレイを見せている。クリーブランド・キャバリアーズやマイアミ・ヒートでMVPを受賞したシーズンのような全盛期のレベルにはない。それでも、現在のジェームズは控えめに言って前例がないことをしている。

どれほどジェームズがいまだに特別なのかを示すのに、インシーズン・トーナメントほど適した大会形式はなかっただろう。

7試合の大会で、ジェームズは平均26.4得点、8.0リバウンド、7.6アシスト、フィールドゴール成功率56.8%、3ポイントショット成功率60.6%とギアを上げた。どの試合もプレイオフシリーズのようだった。

特に決勝トーナメントではさらに調子を上げ、3試合で平均28.3得点、8.0リバウンド、7.7アシストをマークしている。それぞれ負ければ終わりという一発勝負だった試合におけるジェームズのパフォーマンスは、39歳の誕生日まで数週間であるにもかかわらず、エリミネーションゲームにおいて代われる存在がごくわずかであることを思い起こさせた。

人によるだろうが、ごくわずかではなく、まったくいないかもしれない。

ジェームズは新たなNBAでのタイトルを自らの経歴に加えたいと強く望んだが、その山頂にたどり着くのがどれだけ大変なのかを誰よりも知っている。欠点はあるが勝ち進んでいく力を持つレイカーズにとって、目に見える何かを勝ち取ることができたのは、今季の成功を意味する。そしてさらに大きな勝利をあげるために必要な勢いももたらすかもしれない。

確かに、ジェームズとレイカーズは、ラリー・オブライエン・トロフィー(NBA優勝)と今回のNBAカップを交換できるなら、100回中100回でそうするだろう。しかし、1つ目の優勝を達成したことを謝罪はしないだろう。2つ目がまだ手の届くところにあるならなおさらだ。そして時間とともに、1つ目のタイトルは少なくとも今以上の重みとなる。

[AD] 楽天モバイル『最強プラン』なら追加料金なしでNBA全試合見放題!

初優勝の価値

選手たちとチームが競うのは、6月に最後に勝ち残っているチームになるためだ。これからどんな変化があろうと、それは変わらない。

インシーズン・トーナメントは、シーズン序盤の関心度を高めるという目的を達成した。選手たちにとっては、元来の競争心に加え、金銭的ボーナスがさらなるモチベーションになった。

簡単に言えば、その成功から、インシーズン・トーナメントは続いていくだろう。

10~20年後、インシーズン・トーナメントが82試合のレギュラーシーズンの途中で行われることが当たり前になった時に、人々は歴史を振り返り、ジェームズがけん引したレイカーズが大会初優勝を飾ったことを知るようになるはずだ。

記録は塗り替えられていくものだ。優勝トロフィーを手にするのは複数のチームとなっていくだろう。だが、レイカーズが大会初優勝を達成し、38歳で21年目のジェームズが初のMVPを受賞したという記録は、時が流れても変わらない。

彼のレガシィにとっての意味に関して言えば、ジェームズが歴代最高級の偉人たちの仲間入りを果たすのに、NBAカップやインシーズン・トーナメントMVPは必要ではなかった。称賛は印象的だが、投資債券のようなものだ。

NBAカップの名声が時間とともに高まれば、今大会における称賛の価値も高まる。いつか、NBAカップとインシーズン・トーナメントMVPの価値が完全に成熟したものとなれば、ジェームズのレガシィに何が加わったのかが分かるだろう。

今のところ、今大会のジェームズのパフォーマンスは、キャリアのこのステージにおいて彼が比類なき前人未踏の支配力を見せていることを想起させ、このレベルのプレイがすぐになくなることはないと示すものだったということだ。

原文:How LeBron James' legacy is impacted by In-Season Tournament MVP and Lakers' NBA Cup win(抄訳)
翻訳:坂東実藍

[AD] NBAがWOWOWに帰ってきた!毎週7試合ライブ配信、注目の5試合を実況・解説付きで生中継!

Gilbert McGregor

Gilbert McGregor Photo

Gilbert McGregor first joined The Sporting News in 2018 as a content producer for Global editions of NBA.com. Before covering the game, McGregor played basketball collegiately at Wake Forest, graduating with a Communication degree in 2016. McGregor began covering the NBA during the 2017-18 season and has been on hand for a number of league events.

坂東実藍 Miran Bando

坂東実藍 Miran Bando Photo

フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。