なぜレブロン・ジェームズはまだこれほどすごいのか? 好調要因にショット向上や健康など

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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38歳の選手が得点、アシスト、スティール、フィールドゴール成功率、プレイヤーエフィシエンシーレーティング(PER)においてNBAのトップ15に入っているなどあり得ないはずだ。だが、かつていなかったような選手がレブロン・ジェームズである。自分のルーキーシーズンに対戦相手の父親がリーグでプレイしていたほどの年齢だが、ジェームズはまだ大半の試合でベストプレイヤーだ。

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ロサンゼルス・レイカーズの開幕からの14試合で、ジェームズは平均26.4得点、8.2リバウンド、6.5アシスト、FG成功率58.6%、3ポイントショット成功率39.7%を記録した。NBAで最も価値ある選手のひとりだ。『Cleaning the Glass』によると、ジェームズが出場している時のレイカーズは、100ポゼッションあたりの得点が28.4点増える。

どのようにして、ジェームズはこの年齢にしてなお優れていられるのかを見てみよう。

なぜレブロン・ジェームズはまだこれほどすごいのか?

今季のレブロンはショットもドライブも自己最高級

ジェームズはシューターとしてNBA入りした選手ではない。それを考えれば、彼のショットは見事なものだ。3P成功率は新人時代の29.0%から今季39.7%に上がっている。キャリア通算2位の数字だ。

ショットの卓越ぶりは3Pだけにとどまらない。2ポイントショットも自己最高の68.0%を決めており、その大半はリムでの見事なフィニッシュの結果だ。Cleaning the Glassによれば、バスケットに決めたうちの81.7%は4フィート(約122センチ)以内からのショット。MVPを受賞していたころを約5%上回っている。

今季のジェームズはドライブが増えたと感じているなら、それは正しい。『NBA stats』によると、2019-2020シーズン以来の数字だ。ドライブからのFG成功率は67.1%にものぼる。1試合平均のドライブが6回超の選手で最高の数字だ。

フロアの真ん中に立った時のジェームズは、基本的にまだ止めることが不可能なのである。

レブロンの比類なき理解度

ジェームズの膨大な知識と準備ぶりは、決して衰えることがない。

先日、ポール・ジョージのポッドキャストで、ノーマン・パウエルがトロント・ラプターズ時代にプレイオフでジェームズと対戦した時のことを話した。ジェームズがラプターズの作戦を知っていて、プレイ中にパウエルのチームメイトに何をすべきかを教えてきたというのだ。

ジェームズは今なお、どの試合でも素晴らしい洞察力を見せている。11月19日(日本時間20日)のヒューストン・ロケッツ戦でも、相手が狙っていたことをディアンジェロ・ラッセルに指摘して防いでいた。

攻撃でもその賢さを見せており、全員をどかせてディロン・ブルックスに肉弾戦を仕掛け、勝利につながるフリースローを獲得している。

スモールフォワードとして支配するレブロン

近年のジェームズは体への負担が大きくなり得るセンターでの出場時間が増えていた。だが、今季のレイカーズのロスターには以前よりサイズがある。その結果、ジェームズは2020年にレイカーズが優勝した時以来となるほどスモールフォワードとしてプレイしている。

ジェームズがスモールフォワードの時は、クリスチャン・ウッドと、アンソニー・デイビスかジャクソン・ヘイズのどちらかと組むのが普通だ。そしてこのラインナップは素晴らしかった。Cleaning the Glass によれば、179回のポゼッションで相手を圧倒。100ポゼッションあたりで相手を41.4点上回っている。

より小さいラインナップでジェームズがいかに支配的になれるかの好例となったのが、前述のロケッツ戦だ。ブルックスのようにオールディフェンシブチーム入りしたペリメーターディフェンダーに対し、ジェームズはシンプルにあまりに強く、止めるチャンスがまったないほどだった。

ジェームズはブルックスに身体をぶつけ、ドライブで後方によろめかせ上からショットを放って抜き去ったり、彼のスポットに近づいて、得点後に「小さすぎ」のジェスチャーを披露している。

まだ出場時間の大半でパワーフォワードとしてプレイしているジェームズだが、スモールフォワードとしての時間帯にひと息つき、自分より小さな選手たちを打ち負かすことができるのだ。

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かつてないほど健康な様子のレブロン

ジェームズはいつも極めて真剣に自分の健康に取り組んできた。調子を保つために、凍結療法や高圧室、その他に年間150万ドル(約2億2050万円/1ドル=147円換算)を費やしているとも言われる。

今季の彼はかつてないほど健康なようだ。開幕からの14試合で欠場したのは1試合のみ。平均出場時間34.4分はリーグ29位だ。そのように健康でいることが、より練習に時間を割き、プレイを磨くのに役立っている。

ジェームズは『ESPN』のデイブ・マクメナミン記者に、「ここ数年の足とかのケガのために、今季はオフの間にもっとコートに立つことができた」と話している。

「だから、試合じゃなければやるべきすべてに集中でき、それによってリズムを保てている」

出場時間により賢明でいることで、ジェームズは身体への負担を減らしている。ユーセージ率(チームのポゼッションを完了した割合)はキャリア通算で最も低い部類だ。NBA statsによると、今季のジェームズのショットは54.3%がアシストされている。キャリア通算で圧倒的に高い数字だ。

ジェームズはまだ試合を支配することができる。だが、より賢く自分のスポットを選んでおり、これまでないほどチームメイトに重労働を任せているのだ。

いまだにジェームズのプレイはトップ10のレベルだ。それは当然のことではない。リーグで最も尊重されているインパクトを示す統計のひとつである推定プラスマイナス(EPM)で、ここまでのジェームズは5位のインパクトだ。彼は真に唯一無二の選手であり、まだ多くの力を残している。

原文:How is LeBron James still this good? Improved shooting, health among factors keeping Lakers star in elite company(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。