オルドリッジが描くスパーズ新人ウェンバンヤマの成功への青写真

Benyam Kidane

坂東実藍 Miran Bando

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サンアントニオ・スパーズにビクター・ウェンバンヤマが加わったことは、同球団にとって新たな黄金時代の幕開けだ。NBAドラフト2023で全体1位指名されたウェンバンヤマは、すでにスーパースターのポテンシャルを発揮している。

テキサスに到着した日から、ウェンバンヤマはファンから温かく歓迎され、多くのスパーズのレジェンドたちから指導を受けた。ドラフト以降の日々で、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ、ティム・ダンカン、デイビッド・ロビンソンと会い、おそらくは将来のスターにとって最高のサポートシステムのひとつとなったことだろう。

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ダンカンにロビンソンというスパーズの伝説的なビッグマン2人に加え、ウェンバンヤマは近く、もうひとりのスパーズのレジェンドビッグマンからも指導を受けるかもしれない。ラマーカス・オルドリッジが、19歳のウェンバンヤマとのトレーニングに関心を示したのだ。

ビクター・ウェンバンヤマの指導に関心を寄せるラマーカス・オルドリッジ

オルドリッジはX(旧ツイッター)で、スパーズで選手育成の役割を担うことに扉を開き、ウェンバンヤマにコツを教える助けとなる用意があると話した。

スポーティングニュース』で、オルドリッジは「素晴らしいことだよ。優勝を経験し、殿堂入りした人たちだ。殿堂入りした選手の話を毎日聞いて教わり、鍛えてもらうのは素晴らしいことだ」と述べた。

「2、3回一緒だったけど、彼は素晴らしい男だよ。本当に学ぶ意欲にあふれているようだった。あれほどの人たちから教わることができるのは、彼にとって素晴らしいことだろう」

スパーズのコーチングスタッフ入りし、知識を伝えることへの関心を問われると、オルドリッジは「もちろんさ」と情熱的に答えている。

「もちろん、そういうチャレンジにも前向きだ。やってみたい。ただ、あれだけの人たちがいるから、ほかには必要ないと思うけどね」

ダンカンやロビンソンのような相談役がいるのは、ウェンバンヤマにとって良いことだ。一方で、オルドリッジほどの選手と毎日仕事できれば、それも最高の組み合わせとなるかもしれない。

Devin Vassell and Victor Wembanyama
(Getty Images)

ウェンバンヤマのポストプレイ向上

スパーズで6シーズンにわたってプレイしたオルドリッジは、自身が望むスポットを手にし、ミッドレンジからのジャンプショットを沈める力を駆使し、最もスムーズかつ効率的なポストプレイを見せる選手のひとりだった。すでに見事ではあるものの、まだ粗削りなウェンバンヤマの攻撃に、それらを加えることができれば大きい。

ウェンバンヤマはドリブルや3ポイントショットのスキルセットを武器に、相手を守備で迷わせることができる。だが、オルドリッジが注意深く見守る中で基礎を鍛えることができれば、非常に重要な土台となるはずだ。

スパーズでフルシーズンを戦った5シーズンにおけるオルドリッジのポストプレイが示している。

スパーズ時代のオルドリッジのポストプレイ(『NBA.com/Stats)』)
シーズン 平均得点 リーグ順位 FG%
2019-20 5.6 2位 45.7%
2018-19 9.0 1位 50.6%
2017-18 9.3 1位 46.9%
2016-17 5.8 5位 42.9%
2015-16 5.6 6位 48.5%

オルドリッジは「試合開始5秒前にどんな動きをするか考えるのが好きなんだ。それが分かったら練習し、目を閉じてもできるようにする」と話した。

「自分が得意なのはフェイダウェイということはみんな知っている。だから、第1クォーターか、第4Q、オーバータイムかは気にせず、ミドルレンジを狙おうとした。それで止められたらフェイダウェイだ。成長していく中でシンプルになっていくんだよ」

「まずは、どこからでも望むように決めることができる得意技をどうするかだ。私はエルボーから、ブロックから自由にフェイダウェイができたが、彼も何かを見つけたらとにかくあとは練習あるのみ。そのあとはカウンタームーブをどうするか。彼は才能がありすぎるだけに、考えすぎてしまうこともあるかもしれない。だからまずはシンプルに、得意技は何か、そしてそれに対するカウンタームーブは何かを定めることだ」

「それらをマスターしたら、あとはそこから築いていける。まずはとにかくシンプルに考え、早い段階でそれを身に付けてから、次の段階へと成長していくのが良いと思う」

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Victor Wembanyama
(NBAE via Getty Images)

ウェンバンヤマにすでに感銘を受けているオルドリッジ

弱冠19歳ながら、ウェンバンヤマはすでにフランスでプロとして4シーズンの経験を持ち、直近で最も将来有望な選手のひとりとしてNBA入りした。

ウェンバンヤマのリムプロテクションはプレイの土台となるだろう。オルドリッジは、細身ながらリーチの長さとタイミングの良さで、すぐに守備でも影響力を及ぼす選手になるとの見解を示した。

オルドリッジは「ビッグマンは普通大学に行くと、攻撃より守備のほうが良い。攻撃が守備に追いつくのに1、2年かかる」と述べている。

「彼も同じだろう。とても身体能力に優れ、機敏で腕が長い。すでに守備はできると思う。素晴らしいことだよ。常に試合に絡み、守備でリズムをつくることができるからだ」

ウェンバンヤマは大きな期待をかけられている。ドラフト全体1位指名で球団の救世主とうたわれたザイオン・ウィリアムソンやレブロン・ジェームズのような選手たちと比較されている。チームが若くて成長中であり、自身も成長させてくれるスパーズの環境は、おそらくウェンバンヤマにとって完璧だろう。

オルドリッジは「ポップ(グレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチ)がいるのは素晴らしいことだと思う。彼が自分らしくやりやすいようにし、彼がどう望んでいるかを理解したいと聞けたのは最高のひとつだ」と話した。

「彼が偉大な選手になれるように最も大切なのは、まずは彼のことを学び、彼に何が必要か理解することだと思う。それができたら、あとは素晴らしいものとなるはずだ」

原文:LaMarcus Aldridge explains blueprint for Victor Wembanyama's success in his Spurs rookie season(抄訳)

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Benyam Kidane is a senior NBA editor and has been covering the league for The Sporting News since 2016. In his spare time you can find him watching Allen Iverson highlights on repeat.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。