プレイオフに臨むレイカーズの『Xファクター』八村塁が攻守両面でもたらせることは?

Stephen Noh

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ロサンゼルス・レイカーズがプレイオフで躍進するためには、当然レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの活躍が不可欠である。しかし、彼らは不本意なシーズン前半戦を通して、優れたロールプレイヤー(脇を固める選手)を持つことも重要であると痛感した。

そんなプレイオフの運命を左右するロールプレイヤーの1人が、チャンスを与えられさえすれば静かに安定した活躍を見せてきた八村塁だ。

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レイカーズのダービン・ハム・ヘッドコーチがチームの新戦力をすべて組み合わせようと試行錯誤するなかで、八村の出場時間は変動してきた。3月26日(日本時間27日)には1試合を通してベンチで過ごし、コーチ判断での欠場扱いとなった。その理由をハムHCは「良い選手がたくさんいる。自分たちのせいでなくとも、誰かがローテーションから外れることになる。今夜は塁がそうだった」と説明している。

この欠場以降、ローテーションに復帰した八村はかなり良いプレイをしており、試合の流れを一気に変える能力を持っていることを示している。プレイオフでは、レイカーズにとって試合の結果を左右するロールプレイヤーとなるかもしれない。

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八村塁はレイカーズの守備に多様性をもたらす

八村は、ワシントン・ウィザーズでの最初の3シーズン、特に優れたディフェンダーとして知られていたわけではない。むしろ、ヘルプディフェンダーとして動くべきタイミングに気付けないことが頻繁に起きていた。

それもあって、ここ最近、八村がその守備力で勝利に貢献しているのは、意外と言ってもいいだろう。4月2日(同3日)のヒューストン・ロケッツ戦では、相手のレイアップを3本もかき消すというモンスター級の守備を披露し、ヘルプディフェンダーとして台頭した。

また、八村はスイッチ(守る相手を別の味方と交換すること)で複数のポジションを守り抜くことができるため、レイカーズに大きく貢献している面もある。

ミネソタ・ティンバーウルブズとのプレイイン・トーナメント戦では、アンソニー・エドワーズやマイク・コンリーJr.といった素早いガードを見事に守りながら、ビッグマンのカール・アンソニー・タウンズに対しても堅守を見せた。

八村のオンボールディフェンスは、ショッキングなほど効果的な数字を残している。彼が守った時の対戦相手のフィールドゴール成功率はわずか40.8%。NBA Statsによると、これは50試合以上に出場した選手のなかで、リーグで最も低い数字なのだ。八村がメインのディフェンダーを務めると、相手のFG成功率はシーズン平均より6.6パーセントも落ちている。

このFG成功率のスタッツは、ノイズも多いため、話半分に受け取る必要はある。間違いなく、八村がリーグ最高のディフェンダーであるということはない。

しかし、エリートスコアラーをガードする際に、足と腰をうまく動かしていることは、フィルムが裏付けている。

レブロン・ジェームズも八村塁のオフェンスを称賛

八村はレイカーズで1試合平均9.6得点と控えめな数字で、ほとんどがベンチからの出場だ。しかし、彼は爆発的な得点力を発揮することもできる。4月2日(同3日)のロケッツ戦では、FGを14本中10本決めて20得点をあげ、「彼はリズム感のある選手だ」と試合後にジェームズから称賛を浴びた

「自分がプレイすることが分かっていて、ベンチからかなりの出場時間を得られる時、彼は我々にとってとても、とても優れた選手となる。我々は彼を探し始める。彼の実力はわかっている。彼の身長、サイズ、体格があれば、彼をガードできる選手はそう多くない」

八村は自ら自分のショットを生み出すことができるため、あまり内容の良くなかったポゼッションのショットクロック終了間際に彼がレイカーズを救ったケースが何度もある。

八村は、レイカーズが期待していたような3ポイントショットでの脅威となるにはまだ程遠く、レギュラーシーズンでの3P成功率はわずか29.6%だった。しかし、成功率が低いながらも決めたもののいくつかがクラッチショットだったこともあり、プレイオフでは再び3ポイントタッチを取り戻す可能性もある。

八村とジャレッド・バンダービルトは、レイカーズで似たような役割を担っている。そんななか、バンダービルトはより優れたディフェンダーであるのに対して、八村はよりオフェンシブな脅威となっている。

チームがより攻守両面で活躍できる選手を必要とする場面では、その改善されたディフェンスとすぐに得点を重ねることができる能力で、試合を左右する絶好の機会を得ることができるだろう。

プレイオフでウェスタン・カンファレンスの第7シードであるレイカーズは4月16日(日本時間17日)の午前4時から、第2シードのメンフィス・グリズリーズと対戦する。

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Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.