ロケッツのスモールボールを逆に利用するレイカーズの戦略

Michael C. Wright, NBA.com

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ヒューストン・ロケッツのスモールボールスタイルは多くの話題を生み出している。しかしウェスタン・カンファレンス・セミファイナルのここ2試合で、ロサンゼルス・レイカーズが見出したカウンターが、ここまでの成績に大きく影響しているかもしれない。

第3戦の勝利でレイカーズが2勝1敗とリードしたのち、ロケッツのマイク・ダントーニ・ヘッドコーチは自身のチームが「少し息切れになっていた」と述べた。

「相手が勢いを増してくるなか、こちらの脚に疲れが少し見えていた」。

レブロン・ジェームズ、ラジョン・ロンド、マーキーフ・モリス、アレックス・カルーソ、カイル・クーズマというレイカーズのスモールボール・ラインナップが、その原因を作っている可能性がある。

敗れた第3戦で33得点を記録したロケッツのジェームズ・ハーデンは「前回の試合ではマーキーフ、この試合ではロンドだった」と話す。

「だからこそ、相手のロールプレイヤーに対してしっかりと対応していかなければならない」。

ここ2試合でのレイカーズのロールプレイヤーの貢献度を考えると、当然の結論だろう。

判断材料は少ないものの、ジェームズ、ロンド、モリス、カルーソ、クーズマで構成されたレイカーズのスモールボール・ラインナップは、33ポゼッションで53得点を獲得したのに対して、ディフェンスでは31ポゼッションでわずか30失点だった。ここ2試合で一緒にプレイした時間はわずか16分ではあるが、この組み合わせの影響力を見過ごすことはできないはずだ(オフェンス効率169.7、ディフェンス効率96.8、ディフェンシブリバウンド率81.8%、トゥルーシューティング・パーセンテージ93.1)。

ここ2試合の第4クォーターでの得点で、レイカーズはロケッツを57-37と大きく上回っている。ハーデンをフィールドゴールわずか7本中3本成功に抑えており、どちらの試合でも最終クォーターはわずか5得点だ。

レイカーズのフランク・ボーゲルHCは「数字上で見るととても良い結果を出せている」と分析する。

「ジェームズを筆頭にこのチームは、気を抜くことを知らない。試合のスコアが何であろうと、シリーズの状況がどうであろうとね。これだけの火力を擁するチーム相手に気を抜いている余裕なんてないんだ。こちらの作戦通りに彼(ハーデン)や裏側の3ポイントショットをできるだけ防いでいきたい」。

先述のラインナップが出場した全16分のうち、半分がすべてここ2試合の第4クォーターで起用されていたことも、結果と照らし合わせると驚きではない。

ボーゲルHCはこのラインナップを第1戦では起用していない。第2戦で初めて起用すると、ロケッツを35-14で上回り、フィールドゴール成功率は87.5%を記録した。

ロケッツのセンター、PJ・タッカーは「もっと長時間、より賢く、よりハードにプレイしなければならない」と9月9日(日本時間10日)に話している。

「同点で迎えた第4クォーターに、(第3戦では)何本か良いショットを決められた。ロンドが何本か良いショットを決め、クーズマも決めた。なぜなら、ディフェンスでうちを止めることができたからだ。それが試合の流れを作った。タフなシリーズとなっている」。

「我々としては、もっと長時間、より速く、より強く自分たちのプレイを展開していく必要がある。それが一番大切なんだ。ポストでジェームズやラス(ウェストブルック)がダブルチームされるので、周りがしっかりと自分たちの場所に動き、正しいプレイをやらなければいけない。そしてさっきも言ったように、それを試合を通してやるんだ。長時間やっていかなければならない」。

問題は、ダントーニHCの時間配分のなかでそれが可能なのかどうかだ。第3戦ではハーデン、ウェストブルック、タッカー、ロバート・コビントン、エリック・ゴードン、そしてジェフ・グリーンの6選手が35分以上出場している。一方のレイカーズは、第3戦でそれほど出場したのはジェームズとアンソニー・デイビスのみだ。

レイカーズは第3戦で10選手を起用したのに対して、個人的な理由で欠場となったダニュエル・ハウスJr.不在のロケッツは8選手を起用した。ハウスが出場した第2戦で、ダントーニHCは9選手を起用しており、先発選手は全員が33分以上プレイしている。それに比べてレイカーズ選手で33分以上プレイしたのは2人だけだ。

先発を多用するなかで、試合終盤にスタミナ切れを起こしているのではないかという疑問が生まれる。9日(同10日)の練習前に、第4クォーターでやられてしまうのはスタミナが影響していると思うか問われたダントーニHCは「単純にプレイができていない」と答えている。

「それはシンプルな答えだ。昨夜は、第4クォーターに5ターンオーバーを記録している。勝たなければならない時間帯に来たとき、勝つためにはより自信を持ってプレイし、ボールを持ったときの注意力も高める必要がある。それができていない」。

ダントーニHCは「特に試合終盤のディフェンスで、より積極的にならなければならい」と続けた。

「正しい位置までは行けているが、そこで積極的なプレイができていない。熱量を上げていく必要がある。第1戦に良い結果を出したあと、相手はまさにそれをやってきた。第2、3戦で相手ははより良い結果を生み出してきたんだ。それに対抗しなければならない。特定の選手をどう守るかなど、構造的な部分で修正する箇所はあるだろう。しかし最終的には、犬の取っ組み合いのようなものだ。よりファイトを見せた犬がたいていの場合は勝つものだ。我々がそっちの犬にならなければならない」。

相手のほうがより多くの犬を仕掛けてきていてもだ。

原文:Rockets force Lakers to go small, might regret the result by Michael C. Wright/NBA.com(抄訳)


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