カイリー・アービング物語(3):歴史的なグレイトプレイヤーへ(杉浦大介)

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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>>>カイリー・アービング物語(1):4thグレイドで立てた誓い

>>>カイリー・アービング物語(2):頂点への飛躍

「カイリーはその気になればいつでも得点できる」

この歴史的なファイナルの後も、アービングの活躍は続いている。昨夏のリオデジャネイロ・オリンピックでは再びアメリカ代表のメンバーに選ばれ、先発PGとして金メダルを獲得。マイケル・ジョーダン、スコッティ・ピッペン、レブロンに続き、NBAファイナルとオリンピックを同年に制した史上4人目の選手にもなった。

2016-17シーズンには自己最高の平均25.2得点をあげ、FG成功率47.3%、フリースロー成功率90.5%もキャリアハイだった。勢いはプレイオフでも変わらず、こちらも自己最高の平均25.9得点、5.3アシストをマーク。3年連続でウォリアーズとの対戦になったファイナルこそ1勝4敗で敗れたが、アービングは平均29.4得点をあげ、“史上最強”とも囁かれたウォリアーズに果敢に立ち向かい続けた。

 

Kyrie Irving Cavaliers

「カイリーはその気になればいつでも得点できる。加えて周囲の選手たちをベターにできるようになれば、さらに次の段階、“歴史的なグレイトプレーヤー”と呼ばれる段階にまで進める。今年のプレイオフではそれができている。誰かが成長している過程を見るのは楽しいものだ」。

レブロンは2017年のファイナル中にそう語り、歳下の相棒が依然として成長中であることを認めていた。アービングは典型的なスコアリングPGであり、特にゴール周辺でのフィニッシュ力はリーグ最高クラスだろう。NBAファイナル、アメリカ代表、オールスターなどでの活躍が示す通り、現役屈指のクラッチプレイヤーでもある。

[動画]カイリー・アービング NBAファイナル2017 ベストフィニッシュ集

それに加え、レブロンの言葉通り、昨季は司令塔としての能力の面でも高く評価され始めている。屈指のクラッチスコアラーであり、有数のプレイメーカー。それらのすべてが融合すれば、アービングの未来は間違いなく明るい。

 

Kyrie Irving Cavaliers

すでにベテランの域に達したようにも見えるが、まだ25歳。このまま向上し続ければ、アービングはそう遠くないうちにNBAでも最高級のPGと呼ばれるようになるかもしれない。

周囲のファン、関係者はもうアービングのポテンシャルを疑うべきではない。4thグレイドで立てた誓いから始まり、父の後を追いかけてプレイしてきた少年時代から、現在に至るまで、アービングは目標に掲げたものをすべて達成してきたのだから。

文:杉浦大介  Twitter: @daisukesugiura
参考資料:NBA.com, ESPN.com, SI.com, Yahoo! Sports, AP, CBS Sports

[特集]カイリー・アービング来日『CLUTCH BUCKET東京』

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。