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東準決勝敗退のニックスのオフシーズン展望:OG・アヌノビーらのフリーエージェントに注目

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Jalen Brunson, O.G. Anunoby and Isaiah Hartenstein
(NBAE via Getty Images)

NBAプレイオフ2024ファーストラウンドで敗退したフィラデルフィア・76ersのオフシーズンを展望。ジョエル・エンビードを中心により強力なチームづくりを目指すための選択肢をまとめる。

本拠地の素晴らしい熱気も、ニューヨーク・ニックスがNBAプレイオフで前例がないようなケガの連続を乗り越えるには不十分だった。イースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦でインディアナ・ペイサーズに敗れ、ニックスは素晴らしいシーズンを終えている。

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オールスター選手のジュリアス・ランドルが離脱した中でプレイオフを迎えたニックスは、OG・アヌノビー、ボーヤン・ボグダノビッチ、ジョシュ・ハート、ミッチェル・ロビンソンも負傷。最後には第7戦でジェイレン・ブランソンも手を負傷して退場を余儀なくされた。

残念ながら敗退となったニックスだが、2023-2024シーズンは特別なものを築き、スポーツ界で有数のファンを再び活気づかせた。

そのニックスにはどんな未来が待っているのか。ここでは、近年有数のシーズンを土台にさらに築き上げようとしていくニックスの現状をまとめる。

オフシーズンの注目ポイント:OG・アヌノビーとアイザイア・ハーテンシュタインのFA

Isaiah Hartenstein and O.G. Anunoby
(NBAE via Getty Images)

ニックスのアイデンティティーである鼻っ柱の強さは、まずトム・シボドー・ヘッドコーチに始まる。そしてロスターはそれに合うようにつくられている。

その中で重要な役割を担ってきたのが、アヌノビーとハーテンシュタインだ。

12月下旬、ニックスはリスクを負ってトロント・ラプターズからアヌノビーを獲得した。この一手がうまくいったかどうかは、疑問の余地がないだろう。アヌノビー加入からニックスは26勝6敗という成績だった。黒星のひとつはペイサーズとの第7戦。アヌノビーはわずか5分の出場だった。

アヌノビー獲得がリスキーだったのは、フリーエージェントになる可能性があるからだ。2024-2025シーズンは1990万ドル(約31億440万円/1ドル=156円換算)のプレイヤーオプションで、さらなる大型契約を目指す選手がオプションを破棄する可能性もある。

このオフシーズンで27歳になるアヌノビーだが、加入後のニックスの戦績が示すように、勝利に貢献する選手だ。『The Athletic』のティム・ケイト記者によれば、4年1億5000万ドル(約234億円)から交渉が始まるかもしれない。

一方、ハーテンシュタインはフロントコートに多くの離脱者が出た中で活躍し、ハッスルプレイや意欲的な姿勢でニックスのファンから好まれた。堅実なリバウンダーで、パサーとしても過小評価されている。全般的にタフな選手だ。ニックスが最適な運営をする中で大きな役割を果たした。

『ESPN』のボビー・マークス記者が『The New York Post』で説明したように、ハーテンシュタインのような選手の相場は1200万ドル(約18億7200万円)超となる。ニックスはアヌノビーとハーテンシュタインをとどめるのに、5000万ドル(約78億円)以上を支払う必要がありそうだ。

シボドーHCはローテーションメンバーを限り、各選手に強く頼る。それだけに、未来を築き続けていく上で、中心選手を維持していかなければいけない。

ニックスの今後のフリーエージェント

2024年のニックスは最大10選手がFAとなる。最も注目されるのは、アヌノビーとハーテンシュタインだ。それぞれプレイオフでは先発出場し、多くの時間をプレイした。

また、シーズン途中にニックスに加わってから、プレシャス・アチューワも活躍している。

無制限制限つきプレイヤーオプションチームオプション
アレックス・バークスプレシャス・アチューワOG・アヌノビーダクワン・ジェフリーズ
アイザイア・ハーテンシュタインチャーリー・ブラウンJr.* ジェリコ・シムズ
シェイク・ミルトンジェイコブ・トッピン*  
 デュエン・ワシントンJr.*  

*2ウェイ契約

ニックスの今後のサラリーとロスター

ブランソンとランドルのオールスターコンビは、少なくとも来シーズンまで契約下にある。ドンテ・ディビンチェンゾ、ハート、ロビンソンも、あと2シーズンは契約が残っている。つまり、チームの主軸の大半は変わらないままということだ。

東地区で上位を競っていくことを現実的に目指せるチームとなるのに、ニックスは財政的に良い位置につけている。

選手2024-252025-262026-272027-28
ジュリアス・ランドル3030万ドル3240万ドル(PO)UFA 
ジェイレン・ブランソン2490万ドル2490万ドル(PO)UFA 
OG・アヌノビー1990万ドル(PO)UFA  
ボーヤン・ボグダノビッチ1900万ドル(NG)UFA  
ジョシュ・ハート1810万ドル1940万ドル2090万ドル2240万ドル(TO)
ミッチェル・ロビンソン1430万ドル1290万ドルUFA 
ドンテ・ディビンチェンゾ1140万ドル1190万ドル1250万ドルUFA
マイルズ・ブリッジズ470万ドル430万ドル390万ドルUDA
ダクワン・ジェフリーズ240万ドル(TO)UFA  
ママディ・ディアキテ230万ドル(NG)UFA  
ジェリコ・シムズ210万ドル(TO)UFA  

PO = プレイヤーオプション

TO = チームオプション

NG = 無保証

UFA = 無制限FA

RFA = 制限つきFA

ニックスのNBAドラフト2024の指名権

次のNBAドラフトにおけるニックスの指名権は、全体24位、25位、そして38位だ。

もともとの指名権が全体25位なのに加え、2019年のクリスタプス・ポルジンギスのトレードの一環でダラス・マーベリックスからの指名権を持つ。また、全体38位の指名権はもともとユタ・ジャズのものだった。

ニックスのドラフト資産は、今オフシーズンで球団により柔軟性を与えるだろう。

原文:Knicks eliminated from playoffs: O.G. Anunoby, Isaiah Hartenstein free agency headline New York's offseason(抄訳)
翻訳:坂東実藍

著者
Gilbert McGregor Photo

Gilbert McGregor is an NBA content producer for The Sporting News.

坂東実藍 Miran Bando Photo

フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。