富永啓生はペイサーズのロスターに入れるのか? NBAレベルで成功するために証明すべきこととは?

Stephen Noh

YOKO B

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『ESPN』のジョナサン・ギボニー記者によると、富永啓生がインディアナ・ペイサーズのトレーニングキャンプに参加するエキジビット10契約を結び、NBAでのチャンスを手に入れた。

ネブラスカ大学出身のガードである富永は、ペイサーズの開幕ロスター入りを果たせるほどのアピールができるだろうか?

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NCAAの3ポイントショットコンテストで圧勝し、コーンハスカー(ネブラスカ大のチームの愛称)での3年間で3P成功率37.4%を記録した富永のシューティング力を疑う者はいない。ペイサーズは昨夏のドラフト前ワークアウトでシューティングドリルを見事にこなした富永の実力をすでに直に見ている。

ここではリック・カーライル・ヘッドコーチの信頼を勝ち取るために、富永がほかにすべきことを見ていこう。

富永啓生がペイサーズのロスターに入るためにすべきこと

富永啓生は強くなったことを証明しなければならない

昨シーズン、ペイサーズでワークアウトを行った富永は、ネブラスカ大4年生のシーズンで改善すべき点について重要なフィードバックを受けていた。

「ディフェンス面とかフィジカル面とか、そういう部分でもっと良くならなければなりません」と彼は話している。

身長188cm、体重82kgの富永がディフェンスでできることは限られているが、大学時代のコーチのフレッド・ホイバーグによれば、その分野で大きな成長を遂げているという。

「ネブラスカに来た当初、彼は明らかに適応しなければならない時期があり、フィジカルの強さに苦しんだ試合もあった」と、ホイバーグは『Huskers Radio Network』に語っている

「私が彼を高く評価しているのは、自分よりも大きくて強い相手にも負けない強さを身につけたことと、多くの対戦チームに基本的にずっとフェイスガードされている(特定の選手にボールがまわらないように相手選手がつきっきりで守る状態)にもかかわらず、シュートを決めることができる能力なんだ」

フレッド・バンブリート(ヒューストン・ロケッツ)やジェイレン・ブランソン(ニューヨーク・ニックス)といったNBAのスモールガードは、その強靭さと、数多くのチャージを厭わないことで成功してきた。富永はネブラスカ大でそうした資質の一端を見せはしたが、今後も改善を続けなければならない。

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富永啓生はより万能な選手であることを示なさなければならない

NBAでは常にシューティングが重要視されるが、パスもドリブルもシュートもできる選手を求めるチームが増えている。

富永はその点において大きな進歩を遂げ、大学3年時には1試合平均0.7だったアシストを、4年時には1.4に倍増させた。ドライブも格段にうまくなった。

「去年から最も良くなったのは、バスケットにアタックすることとカッティングだと思います。去年よりもオンボールでのプレイも増えたと思います」と、富永は3月に記者団に語っている。 

ホイバーグはNBAで選手としてもコーチとしても経験があり、その環境で成功するためにはどんなスキルが必要かわかっている。富永にそういった分野で成長する機会を与えたホイバーグは富永の成長を喜び、「啓生のゲームで最も改善したのはバスケットに到達する能力だ」と、ホイバーグは『Huskers Radio Network』に話している

富永啓生は限られたロスター枠で厳しい競争に直面する 

現状、ペイサーズのロスターはかなり埋まっている。契約が保証されているのは12選手で、ケンダル・ブラウンの契約が10月22日(日本時間23日)までに保証されれば彼が13人目の選手になる可能性がある。そうなると残る枠は2つだけとなり、この2枠をめぐってかなりの競争が予想される。 

ペイサーズは2024年のドラフト35位でジョニー・ファーフィーをトレードで獲得したばかりだ。カンザス大学出身のフォワードのファーフィーは大学時代1年間の3P成功率が35.2%で、理論上は富永と同じような役割を果たすことになる。

また、ペイサーズは2巡目でフォワードのエンリケ・フリーマンとガードのトリステン・ニュートンも指名している。フリーマンは富永とは違うポジションで、ニュートンは3P成功率33.7%の不安定なシューターで、どちらかというとディフェンシブなガードだ。

さらに、ペイサーズはまだビッグマンのオスカー・シブエとガードのクエントン・ジャクソンの権利を所有している。ペイサーズの番記者のトニー・イーストによれば、両者ともチームからクオリファイングオファーを受けており、昨年は2ウェイ契約でプレイした彼らは新たな契約交渉に臨むことになるという。

来シーズンのペイサーズには2ウェイ枠が3つあるが、いずれもまだ埋まっていない。これらの2ウェイ枠の選手は、(NBA傘下の)GリーグとNBAのチームを行き来することができる。富永はレギュラーロスター枠の15選手にはおそらく入らないだろうが、そのうちの1つを争う可能性はある。もし彼がエグジビット10契約から2ウェイ契約に変更となった場合は、来シーズンはペイサーズで最大50試合に出場することができる。

富永が2ウェイ契約を獲得できなかった場合は、彼はペイサーズ傘下のGリーグチームと契約することが可能だ。そうなれば、彼がNBAの注目を浴び続けるチャンスが生まれ、NBA30チームのどことでも契約できる可能性にもつがなるだろう。

原文:Can Keisei Tominaga make the Pacers roster? What Nebraska sharpshooter needs to prove to succeed at NBA level
翻訳:YOKO B

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。