「カレッジバスケで富永啓生ほどエナジーが伝染する選手はいないだろう」ネブラスカ大番記者が語る富永の魅力

YOKO B

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富永啓生が所属するNCAAディビジョン1のネブラスカ大学は2月26日(現地時間25日)、ホームでミネソタ大学を相手に73-55と快勝した。その前の22日(同21日)には敵地でインディアナ大学に勝利(85-70)し、BIG10カンファンレンスでアウェイ初白星をあげており、これで4連勝となった。

ミネソタ戦に先発出場した富永は、厳しいディフェンスを受けてファウルトラブル(4ファウル)に見舞われ、6得点に終わったが、2リバウンド、2アシスト、1スティールと得点以外でチームの勝利に貢献している。

ネブラスカ大はこれで公式戦19勝8敗(BIG10カンファレンス9勝7敗)。ホームのピナクル・バンク・アリーナでは、公式戦で17勝1敗、カンファレンス相手には全勝中だ。

今季のネブラスカ大は、ホームでNCAAランキング上位のパデュー大学(2位)やウィスコンシン大学(22位)に大金星をあげた。ほかにも、ミシガンステイト大(11試合)、ミシガン大(8試合)、カンザスステイト大(7試合)、インディアナ大(7試合)、ノースウェスタン大(7試合)など、長期間負け続けていたチームとの連敗記録を断ち切っている。

ネブラスカ大がホームで強い理由のひとつは、ピナクル・バンク・アリーナには常に熱狂的なファンの力があるからだ。ビジターチームはネブラスカ大のチームだけではなく、地元や、時には州外から駆けつける15000人のファンを相手に戦わなくてはならない。

選手たちもそのことを十分に理解している。だから、試合の流れを変えたいときや一気に勝ちを決めたいとき、ファンを巻き込んで味方につけ、相手チームを圧倒しようとする。そして、なかでもチームとファンのエナジーをひとつにすることに長けている選手が富永だ。

富永啓生のたったひとつのプレイが試合全体の流れを変える

「BIG10カンファレンス、いや、おそらくカレッジバスケットボールにおいて、富永啓生ほど感情やエナジーが伝染してくる選手はいないだろう」

ネブラスカ大学バスケットボールを長年取材している『Husker Online』のシニアライターであるロビン・ウォシャット記者は言う。

「(彼のエナジーは)チームだけじゃなくて、アリーナ全体を活気づけ、それでみんなが一斉に立ち上がる。彼のたったひとつのプレイが試合全体の流れを変えるんだ。それがディープスリーであろうと、リバウンドであろうと、スティールであろうと、レイアップのためのカットであろうとね」

「フレッド・ホイバーグ(ヘッドコーチ)がよく話しているが、啓生は1つのプレイで試合の流れを変えられる選手だ」と、ウォシャット記者は続ける。

「試合中たとえ少し苦戦していたとしても、彼は一番大事なときに調子を上げてきて3ポイントショットを決め、試合を完全にひっくり返すようなことを何度も何度もやっている」

富永啓生のセレブレーションは情熱的でみんなを熱狂させる

試合の流れを変え、勢いづけるのは、プレイだけではない。「彼のセレブレーションは生き生きとして情熱的で、みんなを熱狂させる」というウォシャット記者の言葉通り、自分やチームメイトが良いプレイをした後に見せる富永のセレブレーションは、アリーナのエナジーを最高潮に導く。

富永のセレブレーションはカレッジのなかでも目立ち、彼がネブラスカ大に編入してまもなく地元記者たちから注目された。2021年11月28日(同27日)のサウスダコタ大戦後には、セレブレーションの由来について、「子供の頃からNBAをたくさん見て、楽しさを表現することを学びました」と、笑顔で答えている

チームメイトのサム・ホイバーグも、「彼はかっこいいからやろうと思ってやっているんじゃなくて、その瞬間が楽しくて嬉しくて仕方なくて自然に出てしまうんだと思う」と言う。

その富永の純粋な喜びや興奮の表現は、ファンの心を鷲づかみにし、突き動かす。『一緒にこの瞬間を楽しもう!』『一緒にみんなで戦おう!』と言わんばかりのセレブレーションに、そこにいるすべての人が気づけば自然と立ち上がり、声を上げ、手を叩く。

そして、そんな富永の姿に魅了されているのはファンだけではない。ネブラスカ大の試合を放送するBIG10ネットワークの実況解説者の誰もが、「カレッジバスケで富永啓生ほど見ていて楽しい選手はいない」と、毎試合のように口を揃えるのだ。

ネブラスカ大はカンファレンスのチームを相手に悲願のアウェイ初勝利を掴み、大事なシーズン終盤に4連勝。NCAAトーナメント進出の可能性は一気に高まっている。富永がマーチマッドネスの舞台でカレッジバスケファンを魅了する日も近いのかもしれない。

YOKO B

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。