カール・アンソニー・タウンズが亡き母に捧げた開幕戦勝利

大西玲央 Reo Onishi

カール・アンソニー・タウンズが亡き母に捧げた開幕戦勝利 image

12月23日(日本時間24日)、ミネソタ州ミネアポリスのターゲット・センターにてデトロイト・ピストンズ対ミネソタ・ティンバーウルブズの一戦が行なわれ、カール・アンソニー・タウンズが23得点、11リバウンド、7アシストと活躍したウルブズが111-101で勝利した。

ピストンズが常にリードを維持する展開が続いていたものの、試合残り3分38秒にタウンズが決めた3ポイントショットで、ウルブズが初めてリードを奪った。一時再逆転を許したものの、ディアンジェロ・ラッセルとマリーク・ビーズリーの3Pショットで再び主導権を奪い返し、そのままシーズン初勝利へと繋げた。

試合開始前、両チームは4月に新型コロナウイルスの影響で亡くなったタウンズの母、ジャクリン・クルーズ・タウンズに黙祷を捧げた。母親以外にも6人の親戚を新型コロナウイルスの影響で亡くしているタウンズは、シーズン開幕後も気持ちは重いままだ。

タウンズは「僕が笑ったりしているのを見るかもしれないけど、もうそのカールは4月13日に死んだ」と語る。

「もうあの頃の彼は帰ってこない。あの頃の自分がどんなだったかもう忘れた。知らない男だ。今こうして、物理的にここにいる僕と話しているかもしれないけど、魂は随分と前に失くしてしまった」。

今季初めて行なわれたメディア対応でも、タウンズはバスケットボールをすることが気分を紛らわすことにはならないくらい辛いと話していた。

「これまでは僕がプレイするのを見て、活躍するのを見て喜ぶ家族のためにプレイしていた。母がベースラインや観客席にいるのを見ると、いつも笑みが込み上げた。それがない今季は、プレイするのがとても辛くなるだろう」。

開幕戦で亡き母に捧げる勝利を手にしたタウンズは、「これだけのことを経験すると、どこか違うところから力を絞り出す必要がある」と振り返った。

「うまく説明はできない。でもチームメイトに対して、僕はしっかりとここでプレイすると約束したんだ」。


NBA公式動画をチェック!

大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。