バックスの『ラストピース』としての重圧を受け止めるドリュー・ホリデー

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トレードでの移籍にはプレッシャーが付きまとう。球団が支払った対価に見合うだけのパフォーマンスを見せられるか、新たなチームにフィットできるかなど、新たに加わった選手はそれらを短期間で示さなくてはならない。

以前のチームより強豪に移籍した場合、しかもNBAファイナル進出を義務付けられたチームにトレードされた場合、選手が感じる重圧はさらに増す。

ミルウォーキー・バックスの場合、球団の顔であるヤニス・アデトクンボが全盛期を捧げることで、新加入のドリュー・ホリデーは今までにないレベルのプレッシャーを感じている。

ホリデーは、バックスとミルウォーキーから寄せられている期待を理解している。彼自身も、自分の力を信じている。

今月はじめ、ホリデーは「どういうポジションだろうと、プレッシャーはつきもの」と語った。

「重圧に耐えられないのなら、このチームのロッカールームにいるべきではない」。

「どこにてもプレッシャーはある。僕の場合は、家族の力、チームメイトからのサポートでコントロールできている。周りの支えがあってこそ、こういうタイプの重圧にも対応できるんだ」。

バックスは、シーズン終盤時期にエリック・ブレッドソーよりも活躍が期待できる選手を獲得した。バックスがトレードを成立させるために受け入れた条件に見合う選手かどうかは、2021年のプレイオフで2019年と20年より良い結果を残せるかで決まる。

まだ開幕して間もないが、バックスや複数の球団が獲得に強い関心を示したホリデーは高い評価に値するプレイを見せている。開幕からの3試合で残したスタッツは、平均15得点、4.7リバウンド、4.7アシスト、フィールドゴール成功率58.8%(3ポイントショットは9本中1本成功の11.1%だが)で、2020-21シーズン前に実施された各チームのGM意識調査では今オフのフリーエージェント選手および移籍選手でチームに最も大きなインパクトを与える選手という項目で3位に挙げられた。

ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンも、GMと同意見の選手で、クリスマスゲームの翌日、攻守で高いスキルを誇るホリデーを次のように評価している。

「ドリューが特別なのは、彼は自分より小柄な選手であっても、大柄な選手であってもガードできるところ。彼はリーチも長いし、フィジカルも強い。リーグでもトップクラスのオン・ボールディフェンダーのひとりだと思う」。

ホリデーが対戦チームの主要スコアラーを相手に効率よく守っているというデータも存在する。グリーンは「ミルウォーキーはすでにリーグでも守備が強固なチームだったのに、そこにドリューを加えた。エリック・ブレッドソーが守備で怠けていたと言うわけではないけれど、ドリューならどのポジションの選手が相手でも守れる。(クリスマスゲームでは)全員を相手にしていた」。

30歳のホリデーは、ボストン・セルティックスとの開幕戦で25得点を記録した。ウォリアーズとのクリスマスゲームではステフィン・カリーをFG17本中6本(3Pは10本中2本)に抑え、バックスは第3クォーター終了までにリードを100-76に広げて勝負を決めた。

ニューヨーク・ニックス戦では28分の出場でFG10本中4本成功の8得点に終わり、チームも110-130で敗れたものの、ブレッドソー、ジョージ・ヒル、2020年のドラフト全体24位指名権、2024年の1巡目指名交換権利、2025年の1巡目指名権、2026年の1巡目指名交換権利、2027年の1巡目指名権をペリカンズに差し出し、最終的に4チーム間トレードで獲得したホリデーへの批判は起こっていない。

ホリデーは「自分を獲得するために球団が受け入れた条件もプレッシャーの一部になっている。でも、僕はバスケットボール選手であって、ずっとプレッシャーを感じ続けている」と言う。

フィラデルフィア・76ersに所属したキャリア4年目の2013年にはオールスターに選出され、ペリカンズ時代の18年と19年にはオールディフェンシブチームに選出された。

トレード要員になったブレッドソーも過去に2度オールディフェンシブチームに選ばれ、爆発力があり、ボールスキルも高い選手だが、2018年のプレイオフではセルティックス、2019年のプレイオフではトロント・ラプターズを相手に結果を残せなかった。2020年のプレイオフでもマイアミ・ヒートに平均11.8得点、5.8リバウンド、5.0アシスト、FG48本中16本、3P 14本中3本に抑えられた。期待を下回ったパフォーマンスは、大事なシリーズが始まる前の段階でチームの自信にも影響を与えてしまった。

新たに加入したホリデーには、大きな期待が寄せられている。2021-22シーズンは2620万ドル(約27億1200万円)のプレイヤーオプションを保持しているものの、バックスと延長契約を結ぶ可能性もあり、2021年の2月には4年1億3500万ドル(約139億7600万円)のマックス契約を結べる資格を手にする。

すでにキャリア通算出場時間が24000分を超え、プレイオフも30試合しか経験していない選手との延長契約に関してはジョン・ホーストGMも簡単に決断できないかもしれないが、今季、そして来季以降のバックスの可能性を楽観視すれば、1年以上の関係性になっても不思議ではない。

アデトクンボは「ホリデーがチームにいてくれるのは大きい」と語る。

「彼はリーダーとしても優れていて、人間性も素晴らしい。守備もできるし、点も決められる。チームに必要な要素をもたらしてくれる」。

ホリデーは、2020-21シーズンの目標として「リングを獲得するチャンスが欲しい」と話している。

「チーム全員の目を見れば、同じ目標を持っていることがわかる」。

原文:Jrue Holiday embraces the pressure of being Bucks' missing piece by Steve Aschburner by NBA.com(抄訳)


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