オクラホマシティ・サンダーがフリーエージェンシーで残っていた最も優秀な人物の1人を獲得した。
それはコリン・セクストンでもモントレズ・ハレルでもない。チップ・イングランドだ。
7月27日(日本時間28日)に『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が報じたところによると、サンダーはイングランドをアシスタントコーチとして採用するようだ。イングランドは、サンアントニオ・スパーズで17シーズンにわたってグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチと共に働き、シューティングの指導者として名を馳せた人物だ。
ウォジナロウスキー記者は、イングランドがサンダーのマーク・デイグノートHCのスタッフとして「若いロスター全体のシューティングの癖を改良する」ことに取り組むだろうと述べている。
サンダーには確かにイングランドの専門知識が必要だ。2021-22シーズン、サンダーよりも3ポイントショットを多く打ったチームはほかに6チームしかなく、しかもサンダーの3P成功率は最下位。そして全ロスターのうち、イングランドの加入で最も恩恵を受けるのはジョシュ・ギディーである。
チップ・イングランドはジョシュ・ギディーがスターになるためにどのような貢献ができるのか
2021年のNBAドラフト前の時点で、ジャンプショットは彼の最大の弱点とされていたギディーだが、ルーキー・シーズン中にその理由が見えてきた。
2021-22シーズンのギディーの試投数の合計の3分の1近くが3Pだった。しかし、その成功率は26.3%で、ギディーはリーグ全体で最も効率の悪い3Pシューターの1人となっている。
数は少ないものの、ギディーはプルアップ3Pはそれなりに成功させている。キャッチ&シュートの3Pはそれよりもはるかに多く打っているが、一貫性をもって決めるのには苦戦していた。
ジョシュ・ギディーの3P(2021-22シーズン)
3P成功数-3P試投数 | 3P成功率(%) | |
---|---|---|
キャッチ&シュート | 39-159 | 24.5 |
プルアップ | 16-49 | 32.7 |
ギディーがプレイメイカーとして特別であることは証明されており、彼はすでにNBAで最高のパサーの1人だ。彼の限界は、彼がシューターとしてどれだけ成長できるかで決まる。
話はとても単純だ。オフ・ザ・ドリブルからギディーが良いショットを打てれば打てるほど、ピック&ロールやアイソレーションで対戦チームを痛い目に遭わせられる。彼のキャッチ&シュートがもっとうまくなれば、オフボールで対戦チームは苦戦し、それは彼を中心にローテーションを組み立てやすくなることにつながる。
ギディーとシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのコンビを例に挙げてみよう。ギルジャス・アレクサンダーはすぐにNBAで最高の得点力のある選手の1人になった。理想的には、彼にできるだけ多くのスペースがあることが望ましい。しかし、ギディーがシューターではないため、ディフェンダーはギディーに付かずに積極的にギルジャス・アレクサンダーの守備のヘルプに来て、結果的にスペースを狭めてしまう。
今シーズン、ギディーに最も多くの3Pをお膳立てしたサンダーの選手はギルジャス・アレクサンダーだが、その多くはいつも同じような形で(失敗に)終わっている。
チップ・イングランドが過去に手がけた選手たち
イングランドは、スパーズで数多くの選手に対してその力を発揮した。例を挙げれば、トニー・パーカー、カワイ・レナード、デジャンテ・マレー、リチャード・ジェファーソンなどがいる。
パーカーはエリート3Pシューターにはなれなかったが、イングランドは彼をリーグ屈指のミッドレンジ・スコアラーに成長させた。マレーも同じような道をたどっている。レナードが圧倒的なシューターでなかった頃を思い出すのは難しいかもしれないが、大学時代の彼の3P成功率は25.0%しかなかった。ドラフト入りの時点では、ギディーと同様に、レナードのシューティングは弱点と見られていたのだ。20代後半でスパーズに入団したジェファーソンは移籍後、3P成功率が35.3%から39.3%に向上している。
イングランドが行なった変更の多くは小さなこと——たとえば、パーカーのシューティングの手を少し下にずらす、レナードのリリースポイントをずらす、マレーの指の配置を変える、ジェファーソンのリリースを速くするなど——だったが、それにより顕著な違いを生み出した。
レナードはイングランドについて、「(2011年の)ロックアウト直前に彼は(僕のショットを)変えたけど、それほど大きくは変えたわけじゃないんだ」と話している。
「僕のシューティングフォームは良かったけど、彼は僕のリリースを少し低くして、フォロースルーを手助けしてくれた。でも、それはチップが見つけたちょっとした調整だった。僕はただそれを信じて、それから調整に取り組んだんだ」
もしもイングランドが、パーカーやレナード、マレー、ジェファーソンに与えたようなインパクトをギディーにも与えるとしたら、警戒が必要だ。
原文:Josh Giddey is the clear winner of Thunder's hiring of shooting guru Chip Engelland
翻訳:YOKO B Twitter: @yoko_okc
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