MVP受賞の追い風となる好調エンビードの重要な3つのスタッツ

Scott Rafferty

坂東実藍 Miran Bando

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もしも今、NBAシーズンが終わるのなら、ジョエル・エンビードはおそらくMVPに選出されるだろう。

ESPN』の2023-2024シーズン最初のアンケートでは、フィラデルフィア・76ersのスター選手が848ポイントでトップだった。デンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチが630ポイント、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボが352ポイントで続いている。

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もちろん、まだシーズンは序盤だ。しかし、これらの結果から、エンビードがいかに支配的だったかが分かるだろう。3シーズン連続の得点王に向けて得点ランキングでリーグ首位に立ち、多くのカテゴリーでキャリア最高の平均スタッツを記録している。そして、混迷の中で開幕を迎えた76ersを、イースタン・カンファレンス上位争いに導いているのだ。

シーズン序盤にMVP級の活躍を見せているエンビードの特に注目に値するスタッツをまとめる。

ジョエル・エンビードのMVP受賞に追い風となるスタッツ

出場時間

今季のエンビードは1試合平均34.1分間の出場を記録している。自身2番目となる数字だ。だが、特筆すべき点はほかにある。

その34.1分間で、エンビードは平均35.1得点をあげているのだ。『StatMuse』によると、シーズンを通じて1分あたりに1得点超という数字は、実現できればウィルト・チェンバレン以来となる。

チェンバレンが記録を達成したのは、1961-1962シーズンのことだった。平均48.5分間の出場で50.4得点という数字だ。

また、今季のエンビードはフィールドゴール試投も増えているが、成功率が54.1%という数字だ。フリースローでも活躍しており、平均試投11.7本で成功率89.3%をマークしている。

NBAの歴史において、これだけのFT試投でこれだけの成功率を記録しているセンターは以下のとおりだ。

  • ジョエル・エンビード(2020-21シーズン)
  • ジョエル・エンビード(2022-23シーズン)
  • ジョエル・エンビード(2023-24シーズン)

エンビードのサイズの選手なら、彼のようなシュートタッチを持っていないはずだ。

ミッドレンジからのショット

エンビードのシュートタッチといえば、今季はミッドレンジからのショットで相手を苦しめている。

12月21日(日本時間22日)時点で、ミッドレンジからのショット成功がエンビードよりも多い選手はデマー・デローザンしかいない。ただ、デローザンは205本試投で79本成功(38.5%)だが、エンビードは142本試投で73本成功(51.4%)だ。

繰り返すが、7フィート5インチ(約センチ)のウィングスパンを持つ7フッターは通常、エンビードがやっているようなことをできないはずだ。シンプルに自分より小さいディフェンダーを相手にショットを決める以外にも、クロスオーバーで翻ろうし、タイミングの優れたステップバックで必要な距離をつくり、得意のハングドリブルで相手を凍りつかせる。

年間最優秀守備選手賞を3回受賞し、今季4回目の受賞を果たすかもしれないルディ・ゴベアを相手にしてすらこれだ。

エンビードは36分間の出場で51得点と、ゴベアとミネソタ・ティンバーウルブズを苦しめた。その多くがミッドレンジからのショットだった。

Joel Embiid shot chart vs. Timberwolves
(NBA)

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76ersのオフェンシブレーティング

昨季はジェームズ・ハーデンがオールスターレベルのプレイをしていた。76ersは複数のロールプレイヤーやドラフト指名権と引き換えに、そのハーデンをロサンゼルス・クリッパーズとのトレードで放出したが、攻撃は以前よりもさらに良くなっている。

昨季の76ersは100ポゼッションあたり117.0得点と、サクラメント・キングス(118.6)、ボストン・セルティックス(117.3)に続くリーグ3位の数字だった。今季はここまで121.5得点を記録し、インディアナ・ペイサーズ(122.8)に続く2位だ。

タイリース・マクシーがスター選手になってきていることも役立っているが、特にけん引しているのがエンビードである。得点はもちろん、アシストも1試合平均5.9と自己最多の数字だ。ニック・ナース・ヘッドコーチの手腕がうかがえるエンビードのパスの向上についてはこちらを参照されたい。

エンビードがベンチに座っていても、76ersは優れたチームだ。しかし、エンビードがコートにいる時は止めることができない。

エンビード出場時と不在時の76ers(PBP Stats
  時間 オフェンシブレーティング
エンビード出場 819 124.0
エンビード不在 482 119.7

そして、76ersは今のところ守備でもリーグ2位のチームだ。エンビードは、ディフェンスにおいても怪物級なのである。

原文:Joel Embiid stats: 3 important numbers powering the 76ers star's early season NBA MVP case(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。