新天地ホークスでキャリアを再出発させるジェレミー・リン

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ジェレミー・リンはまだアトランタ・ホークスの一員になったことに慣れてはいない。新たな街で違うチームに所属するというだけの話ではないのだ。

開幕戦で右ひざ膝蓋腱を断裂しシーズン終了が決まってしまった2017-18シーズンをきっかけに、リンのキャリアは大きく変わった。ポイントガードとしてブルックリン・ネッツを導くはずだったのが、2シーズン連続で辛い、ときには孤独なリハビリに追われることとなったのだ。

リンは「今はNBAが少し場違いな場所に感じている」と語った。

「昨年はシーズン中にリハビリを行なうためにバンクーバーに引っ越したんだ。だから日常生活からだいぶかけ離れていた」。

10月1日(日本時間2日)のホークスのプレシーズン初戦でリンはNBA復帰を果たし、ニューオーリンズ・ペリカンズ相手に116-102で勝利した。ベンチから4本中2本のシュートを決めたリンは、4得点、3アシストを記録した。

「気持ちよかった」とリンは試合後に話した。

「もちろんスピードや爆発力など、まだ少し取り戻すのに時間がかかる部分はある。でも試合に出場し、ケガをしなかった。久しぶりの試合だったんだ。とにかく感謝の気持ちでいっぱいだ」。

出場した16分間で、リンはときより昔ながらのプレーを見せることもあった。まだ取り戻そうとしている一歩目で相手を抜けなかったとしても、経験とゲームをコントロールできる能力で相手を上回っていたのだ。このディアンドレ・ベンブリーへのアシストが良い例だ。

リンはドリブルを止めず、ベンブリーの飛び込みを利用し、ペリカンズのディフェンダー同士による衝突を引き起こした。

ベンブリーは「先日彼にも話していたんだ」とリンについて話し始めた。

「我々のセカンドユニットを気に入っている。僕、彼、ビンス(カーター)とゲームを理解している選手で層に厚みがある。彼の存在は僕の助けになるし、僕も彼を助けることができる。彼と一緒にプレーするのを楽しみにしているよ」。

ベンブリーはこの試合で20得点、4アシストを記録した。彼とリンでホークスベンチのオフェンスを組み立てていたのだ。リンがピック&ロールでオフェンスの指揮をとっていないときは、ベンブリーがアイソレーションで相手ディフェンスを崩しにかかっていた。そしてベンブリーのその能力はヘッドコーチも指摘している。

「ドレー(ベンブリーの愛称)は確実にペイント内に侵入できることが計算できる選手だ」とロイド・ピアースHCは勝利後に述べた。

「ピック&ロールを必要としないんだ。必要なのはボールだけ。その才能を無駄にする必要はないだろう?」

リンは高校と大学ではシューティングガードとしてプレーしており、シャーロット・ホーネッツ時代もケンバ・ウォーカーの横でプレーしている。ボールを持っていなくてもNBAで成功できることを証明済だ。ベンブリーがボールを持っている時間帯は、リンにとって慣れたものだったのだ。

「試合中、ディアンドレはいつでもダイナミックなプレーができる」とリンは語った。

「絶対にプレシーズン中に確立しておきたい箇所だった。一緒に出場することで、走りながらプレーできる存在が2人になる」。

一方、リンが一緒に出場しなかった選手のなかには新人ポイントガードのトレイ・ヤングがいる。リンが出場するとヤングが下がり、ヤングが出場するとリンが下がるというのが3クォーター続き、最終クォーターは両選手ともに出場がなかった。ヤングはプレシーズンデビューで11得点、8アシストを記録した。

30歳のリンが10歳若いヤングのメンター(師)になるというのが大方の予想であり、確かにそれで今回の時間配分は説明がつくだろう。しかしリンは自分だけが教える側にいるわけではないと説明した。

「多くの関係は両方向にあるものだ。彼も僕を様々な形で助けてくれることになる。彼の存在が僕をプッシュすることになる。僕も彼をプッシュすることになる。もちろんNBAの経験という意味では僕の方が長いので、そういった面では彼を助けることができるだろう。しかし僕も彼から学べることは多くある」。

ヤングのオクラホマ大学での1シーズンをリンは注目していたと話し、矛盾した表現を使いながらも彼のスタイルを褒めた。

「トレイは恐れを知らないんだ」とリンは説明した。

「どう表現すれば良いのかわからないけど、なんというか謙虚な自信に溢れている。対戦相手を侮辱したり目立とうとしているわけではない。謙虚な姿勢を持っているのだけど、それと同時にとても自信に溢れているんだ」。

ヤングにどういったアドバイスを贈れるか問われたリンは、自身がここ2シーズンで経験したことを振り返りながら、「こういった瞬間はとても大切だから、とにかく楽しむことだ」と語った。

「それは良い時期だけに限ったことではない。とても辛い時期だとしても、楽しむことはできる。NBAにいて、健康で、プレーできている。ここはとても素晴らしい場所で、最高の仕事だ。どうしてもそれを忘れがちになってしまう。『ああ、メディアデーやらないといけない』とかってね。でも実際はとても光栄なことなんだ。特権なんだ。我々がやっていることをやりたいと思っている人は無数に存在する」。

つい最近5対5をやる許可が下りたばかりのリンは、爆発力とリズムを取り戻すにはとにかくプレーの回数を重ね、復帰へのプロトコルを辿ることだと話している。完全復帰に向けて調整が続くなか、試合に出場できる時間は全て噛みしめるとも述べている。そして自信の目標に関しては、具体的に決めていないようだ。

「これまでほとんどのシーズンで僕はとても明確な課題や目標を持って挑んでいた。しかし長いあいだ試合から離れていたから、今はとにかくプレーを楽しみたいんだ」。

原文:Lin Ready For New Opportunity With Hawks by KL Chouinard/Hawks.com(抄訳)


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ