なぜナゲッツのジャマール・マレーはプレイオフで対戦したくない選手? 大舞台で活躍の傾向

Jed Wells

坂東実藍 Miran Bando

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X(旧ツイッター)のようなソーシャルメディア上で最も人気のジョークのひとつは、デンバー・ナゲッツのジャマール・マレーを巡るものだ。エリートクラスのチームとの対戦で活躍し、そうではないチームとの試合で落胆のパフォーマンスに終わる傾向から、「ビッグゲームマニア」とも言われる。

光が当てられればマレーが特別な選手であることは周知のとおりだ。

なぜジャマール・マレーはプレイオフで対戦したくない選手なのか?

昨季のプレイオフでマレーは支配的で、ナゲッツにとって2番手の選択肢であることは疑いなかった。球団初優勝を飾る中で、MVP受賞2回のチームメイト、ニコラ・ヨキッチのパートナーだった。

マレーは常にプレイオフで調子を上げてきた選手だが、2023年はさらに別レベルだった。2022-2023シーズンは平均20得点、6.2アシスト、4リバウンドだったのが、プレイオフでは平均26.1得点、7.1アシスト、5.7リバウンドという数字を残している。

また、マレーは、レギュラーシーズンとプレイオフの平均得点の差が通算で最も大きな選手だ。ポストシーズンになると、レギュラーシーズンから平均得点が約8得点増える。

2023-2024シーズンもここまでマレーは同じような数字だ。平均21.2得点、6.6アシスト、4.0リバウンドをマークしている。ナゲッツは45勝20敗でウェスタン・カンファレンスの2位だ。

オールスターやオールNBA選出がないマレー

その見事な出来にもかかわらず、マレーは賞で表彰されたことがない。

プレシーズン中は今季こそついにNBAオールスターに選出されるという予想が多かったが、再び選外となった。

彼にとって痛手となったのは出場試合数だ。特にシーズン序盤に11試合連続で欠場を余儀なくされ、11月のほぼすべてを棒に振った。

今季のマレーはすでに16試合を欠場しており、ほかにも3試合でケガのため出場時間が20分を下回っている。シカゴ・ブルズ戦で9分30秒間、ミルウォーキー・バックス戦で17分33秒間、マイアミ・ヒート戦で14分7秒間だった。これにより、マレーはオールNBAやポストシーズンの表彰の対象外となる。プレイタイムが20分超の65試合超に出場という条件を満たさないからだ。

マレーは個人的な表彰のためにプレイしているのではないと主張している。だが、繰り返し選外となるのは無視できないと認めており、2月に『Sports Illustrated』で自分が表彰にふさわしいと感じていることを口にした。

マレーは「オールスターになるべき選手はリーグにほかにもいる」と話している。

「(ディアロン)フォックスはオールスターじゃなかったと思う。トレイ(ヤング)もオールスターじゃなかった。僕にどうしてほしいんだ?」

「僕がオールスター選手たちに対し、かなり高いレベルでプレイするのをみんな見てきたと思う。とにかく僕はコートに立ち、そういうことをあまり重く受け止めないようにするだけだ。そういうものだ」

マレーについて分かっていることがひとつあるとするなら、大事な時に彼が活躍するということだ。

ジャマール・マレーが活躍した2024年の試合

日付(現地時間) 対戦相手 マレーのスタッツ
1月19日 ボストン・セルティックス 35得点、8アシスト、5リバウンド
1月29日 ミルウォーキー・バックス 35得点、5リバウンド、2アシスト
2月8日 ロサンゼルス・レイカーズ 29得点、11アシスト、7リバウンド

原文:Why Jamal Murray is the player you don't want to see in the playoffs: Nuggets 'big game merchant' is primed for the big stage(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Jed Wells

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Jed is a writer and social media producer, who has a keen interest in the intersection of sports and popular culture, especially basketball. 

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。