【インタビュー】NBA史上屈指の守備選手 ディケンベ・ムトンボがディフェンスについて語る

Steve Aschburner/NBA.com

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ディケンベ・ムトンボは、リーグで最も圧倒的であり、エンターテインメント性溢れるディフェンダーとして知られていた。4度の最優秀守備選手賞受賞は元デトロイト・ピストンズのベン・ウォレスと並んでリーグ史上最多であり、彼のトレードマークである指を振るあの姿は、多くのファンの記憶に残っているだろう。

218cmという長身から繰り出されるブロックのあと、彼は人差し指を横に振り、時にはあの特徴的なしゃがれた声で「ノー、ノー、ノー!」と相手のオフェンスを止め続けた。

最優秀守備選手賞は1995年にデンバー・ナゲッツで、1997年と1998年にアトランタ・ホークスで、そして2001年には34歳にしてトレード先のフィラデルフィア・76ersで受賞し、2001年にはNBAファイナル進出にも大きく貢献した。

ジョージタウン大学出身のムトンボは、18シーズンでNBAオールスター選出8回、オールディフェンシブチーム選出6回を誇り、通算リバウンド数(1万2359)でNBA歴代20位、通算ブロック数(3289)で歴代2位にランクインしている。

さらに彼は故郷のコンゴ民主共和国での人道的活動や医療活動が評価され、リーグのウォルター・J・ケネディ市民賞を2度も受賞している。

そんなムトンボが、NBA.comとのインタビューに応じ、指振りや、自身を守備職人へと育ててくれた人の存在について語った。


――今キャリアを振り返ってみて、ご自身が到達したレベルなどをどのように感じていますか?

自分の中でゴールを設定し、引退するまでに何を達成したいかというのを頭に入れながらプレイしていました。それを達成できたこともあって、自分の成功はとても誇らしいです。コートに立つ時は常にスタッツを研究していました。ゲーム的にも歴史的にも、ディフェンスという役割で自分がどういう立ち位置にいるのかはわかっていました。

自分がどこに向かっているのかはわかっていました。NBA史上屈指のディフェンダーになることが私の目標だったのです。私はそうなるように言われ、それを達成することができました。

――上手く守るために相手の研究にはどれくらい費やしていましたか?

何時間もかけていましたね。対戦するチーム全体、そして自分が守らないといけなそうな優れた選手など。一番重要なのは相手のタイミングを知ることです。相手がいつボールを突くのか、リングにアタックする時にどのタイミングで飛ぶのか。それがわからなければ相手を捕まえることができないどころか、手を骨折してしまうようなことだってあり得ます。もしくはファウルトラブルに陥る。そういったことを、私はビル・ラッセルから学びました。

――ビル・ラッセルですか?

NBA入りする際に、彼は私にとってとても重要なメンターだったのです。なぜなら彼は(ジョージタウン大学の)ジョン・トンプソン・ヘッドコーチと友人だったからです。(1991年にナゲッツに)ドラフトされてから、彼はNBAについて私に語ってくれ、ディフェンスでゲームを支配するために必要なことを教えてくれました。自分が見えていないようなことを、彼はすでに私の中に見ていたのです。彼に会うのは初めてでしたが、トンプソンHCは練習で毎日のように彼について話していました。僕らよりすごい選手はひとりしか知らない、それはビル・ラッセルだと。10本の指に対して11個もリングを持っているんだってよく話してくれましたね。

――彼からはどんなアドバイスをもらったのですか?

私がディフェンスで試合を圧倒できる、リーグの歴史に名を残せると言われました。タイミングが最も重要だと教えてくれました。そして相手がリングにアタックしてきた時に、チャレンジすることを恐れてはいけないと教えてくれました。ブロックする際も、相手に弾き返すのではなく自分やチームメイトが取れる位置に落とすことなどですね。

――指振りはビル・ラッセルに教えてもらったわけではないですよね?

(爆笑)いやいや、あれは自然と生まれたものですよ。いつだったかは覚えてませんね。デンバーだったのは覚えていますけど、どの試合だったかなんかは忘れてしまいました。

――あれがトレードマークとなっているのを受け入れてますか?

引退して12年も経ちますけど、今でもあれが大好きですよ。

――あれは一種のトラッシュトークとも言えますよね。怒る選手はいましたか?

いましたね。

――ジョーダンにやり返されたこともありましたよね。

ああ、またそれだ! 私が彼を何度もブロックしたことは忘れられてしまうんですよね。

――今のリーグでディフェンスが突出している選手は誰だと感じていますか?

(ジョエル)エンビード、(ルディ)ゴベア、(クリント)カペラ、ベン・シモンズ。

――リムプロテクターとペリメーターディフェンダー、どっちのほうが重要だと思いますか?

私はやっぱり良いリムプロテクターが好きですね。相手を止めることができるリムプロテクターは少ない。それにビッグマンが3ポイントラインまで引き出される現代のバスケットボールでは、リムプロテクターの役割はさらに難しくなっています。

――同じジョージタウン大学出身のロイ・ヒバートなんかは、3ポイント中心になったことで彼のようなビッグマンが追い出されてしまっていると話していました。

私なら今のシステムにアジャストしていたかなと思います。それでもブロックショットは記録していたでしょう。それに忘れてはいけないのは、オフェンス面でも私は脅威だったということです。フックショットを武器に、ペイント内でしっかりと得点することができました。3ポイントを打つようなトレーニングは当時受けていませんでしたね。

原文:Defensive Player Ladder: Q&A with NBA legend Dikembe Mutombo by Steve Aschburner/NBA.com
翻訳:大西玲央 Twitter: @ReoOnishi


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