【ナゲッツのアナリティクス部門に潜入 Part.1】チームの決断を後押しするために
【ナゲッツのアナリティクス部門に潜入 Part.2】フロントやコーチ陣との関係性
2019年のNBAオフシーズンは忘れられないものとなった。
これまでにないほどの選手が移籍をし、トップを争ういくつかのチームが、デンバー・ナゲッツにとって乗り越えなければならない相手となる。ウェスタン・カンファレンスのトレンドは大型コンビだ。ロサンゼルス・クリッパーズではポール・ジョージとカワイ・レナードが手を組み、同じアリーナでプレイするロサンゼルス・レイカーズではレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスがおり、多くのウェストのチームがNBAファイナルに進出できる可能性を持っている。
さらにはヒューストン・ロケッツではラッセル・ウェストブルックが親友のジェームズ・ハーデンとタッグを組み、ユタ・ジャズはマイク・コンリーとボーヤン・ボグダノビッチ(ほかにもたくさん)と契約し、オフェンスを補強した。ナゲッツは、若い主力を残しながらもドラフトで戦力を加え、さらにトレードを通してチームの多様性と層の厚さを増した。
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ボル・ボルを獲得できたことに興奮
最初の補強は、オレゴン大学出身で218cmのビッグマン、ボル・ボルだ。ナゲッツのストラテジー&アナリティクス部門バイスプレジデントであるトミー・バルチェティスは「44位でボルが取れたのは、もう笑ってしまうくらい悩む必要のない指名だった」と『Nuggets.com』に話した。
「彼は才能溢れる選手で、我々が見る限りはとても素晴らしい人間だ。全員が彼を高く評価していた。レイン(シニアアナリストのレイン・バシュロ)の評価モデルでも点数は高く、スカウトやコーチ陣も高く評価していた。あの順位で取れたのはかなりショッキングだった」。
当初、ナゲッツは2019年のドラフトで指名権を持っていなかったのだが、順位が落ちていくボルを獲得するために動いた。19歳のボルは、大学でのわずかな出場で平均21得点、9.6リバウンド、2.7ブロックを記録。コートを広げることもでき(オレゴン大学での3ポイント成功率は52%)、その多彩なオフェンス能力は、今後十分に活かされるだろう。
バルチェティスは「もっと上の順位に入る可能性もあったのだが、最終的には彼を44位で獲得することができた」と明かした。
「大いに喜んだよ。彼を獲得できたことに興奮している。急いで彼をチームに取り込まなければならない状況ではないので、じっくりと彼の役割を探っていきたい」。
ファンはボルがコートで活躍するのは早く見たがっているかもしれないが、来シーズンはニコラ・ヨキッチとメイソン・プラムリーがセンターポジションにいるため(さらにスモールボールではポール・ミルサップもセンターでプレイする)、ボルがすぐさま活躍しなければならないというプレッシャーはない。
ボルの加入はすぐに実を結ぶものではないかもしれないが、ナゲッツは7月のトレードでジェレミー・グラントを獲得し、ダイナミックでディフェンスができるウィングも獲得している。25歳のグラントは昨シーズンのオクラホマシティ・サンダーで平均13.6得点、5.2リバウンド、1.3ブロックを記録し、キャリア最高と言える成績を残している。
バルチェティスは「ジェレミー・グラントは我々のプレイスタイルにすぐハマってくれる」と話した。
「彼はユーセッジ(最終ボール保持率)が低くても高いパフォーマンスを出してくれ、キャリアを通して3Pショットを成長させている。複数のポジションを守れ、我々の知る限りでは素晴らしい人間だ。それはロッカールームでいいケミストリーを作るのにとても重要なことだ」。
長期的プランに沿うジェレミー・グラント
多くのナゲッツ選手がすでに数シーズン一緒にプレイしていることから、グラントのような選手が加わるのは、ロッカールーム内での活動を活発にしてくれるだろうとバルチェティスは説明した。これはナゲッツのフロントが重要視していることなのだ。
「ロッカールームで良い振る舞いのできる選手を好む。実際今のチームはとても仲が良く、ジェレミーもすぐ溶け込めるだろう」。
ナゲッツのディフェンスは昨シーズン大きく成長しており、今シーズンはさらにどんな厳しい相手でもディフェンスをしっかりとやれる布陣が揃った。さらにグラントは25歳ということもあり、チームの長期的なプランにもフィットする。「彼の年齢は、今のチームのほかの選手と足並みが揃っているんだ」とバルチェティスは語った。
「ただ若い選手を狙っているというわけではないよ。ベテランと若手がうまく混ざっているからね。彼のプレイを見てみると、我々のシステムにとてもよくハマるんだ」。
グラントのフィットは明らかだったため、コーチングスタッフもフロントもそれぞれが欲していたことをバルチェティスは明らかにした。
グラントが加入し、攻守での活躍が期待される今シーズン、ナゲッツはさらにチームとして成長するだろう。この夏、ナゲッツには継続性が重要な項目として挙げられていたが、ほかのウェスタン・カンファレンスのライバルが見せられないような開幕スタートダッシュをきるかもしれない。
「継続性に関してはとても楽しみだ」とバルチェティスは述べている。
「ほとんど同じチームとして戻ってきており、同じ選手たちに加えて余白部分も埋められたと思っている。我々は若いチームでありながらも、多くの選手がとても生産的な選手に成長している。さらにコーチングスタッフとフロントもほとんど同じメンバーだ。とても楽しみな要素が多い」。
しかし、ナゲッツのフロント内が楽観的になっているのは継続性だけが理由ではない。ナゲッツは2019-20シーズンで最も層の厚いチームになれる可能性があるのだ。82試合という長いレギュラーシーズンにおいて、健康な選手がいることはとても重要なこと。競争性が高くなりそうな今シーズンのウェスタン・カンファレンスではなおさらだ。
今シーズンからナゲッツのアナリティクス部門に加わったレイン・バシュロは「期待されることは怖いが、このチームは期待されるに値する。やってやるって気持ちだ」と意気込みを語った。
「ウェストはとても厳しくなるだろう。しかしほかのチームとは違って、我々は何人かの選手をケガで失いながらも、とても良いシーズンを送ることができた。良いチームが多いので、ひとつでも何か悪いことが起きれば、一気に落ちていってしまうような環境だが、我々にはそれを生き抜くための層の厚さがある」。
ナゲッツのコート上での一体感もその強みのひとつだ。プレイスタイルに関して選手、コーチングスタッフ、フロントの間に強い結びつきがある。アナリティクスがそのガイドとはなっているものの、必ずしもデータが表すことが全てではない。
バルチェティスは「我々のプレイスタイルは見ていてとても楽しいものだ」と話す。
「ペースが最も速いチームというわけではないが、選手の動きや、ボールの動きに関してはリーグ屈指で、それらはアナリティクスを考慮したものだと言えるだろう。打ちたいと思っているショットや、望んでいるプレイスタイルはアナリティクスのトレンドに沿ったものだ」。
ロスターの継続性、グラントやマイケル・ポーターJr.といった選手からの貢献、そして若手の成長と、ナゲッツの期待感はとても高い。リーグ屈指のオフェンス力と層の厚さを武器に、ナゲッツはシーズンを通して安定した成功を収めることができるはずだ。
2018-19シーズンでの成功からさらなる成長を目指す上で、チームの意思決定にアナリティクスは今後も重要な役割を担うこととなる。その点に関しては、トミー・バルチェティスとレイン・バシュロに任せておけば安心だろう。
原文:An inside look into the Denver Nuggets analytics department: Reflecting on the 2019 offseason (Part 3) by Eric Spyropoulos/Nuggets.com
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