なぜクイックリーはバーンズやラプターズと長期的に理想的な関係を築けるのか?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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OG・アヌノビーをトレードで放出する前のトロント・ラプターズは、才能はあるが特にフィットしていないチームだった。イマニュエル・クイックリーという、強く必要としていたガードの助けを加えることにより、ラプターズはその問題の修正に動き始めている。

ボックススコアでのクイックリーのスタッツは、熱狂させるものではない。今季はニューヨーク・ニックスで平均15.0得点、2.5アシストという数字だ。だが、ジェイレン・ブランソンがいることで、クイックリーはニックスでそのポテンシャルを完全に示す機会を得られていなかった。

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スキルを発揮するためのその機会をもっと提供するのがラプターズだ。スコッティ・バーンズとうまくフィットするため、素晴らしい機会となる。彼らはお互いの弱点をカバーし合う存在だ。長期的に良いコンビとなるかもしれない。

なぜクイックリーはラプターズで長期的にフィットする?

ボールを持っても持たなくてもバーンズとプレイ可能

近年のラプターズを少しでも見ていた人なら、攻撃における彼らの最大の問題がショット力のなさにあると分かるだろう。

クイックリーは今季ニックスで3ポイントショット成功率39.5%という非常に優れたシューターだ。相手チームがヘルプで彼のマークを外せば、クイックリーはラプターズデビュー戦でもやって見せたように、その代償を払わせるだろう。

また、クイックリーは堅実なスクリナーでもある。クリーブランド・キャバリアーズ戦では後半の最初にうまくスクリーンをかけた。キャバリアーズはこれでロブからのダンクを狙ったパスカル・シアカムがファウルを受けている。

なぜそれが重要なことなのだろうか。バーンズは力で押し込むスタイルを得意とする。ニックスがクイックリーとジュリアス・ランドルでやったように、ラプターズはクイックリーとバーンズがお互いにスクリーンを多用してミスマッチをつくれるように活用するだろう。

相手チームがそのスクリーンでスイッチすれば、バーンズには相手のガードを押し込めるだけの強さがあるし、クイックリーはヘルプでマークを外すにはあまりに危険なシューターだ。

また、クイックリーは素晴らしいとまでいかずとも優れたパサーであり、動きを続けさせられる2番手のボールハンドラーをより巧みにこなせる。キャバリアーズ戦でヤコブ・パートルのダンクをお膳立てしたように、ピック&ロールでシンプルなパスを出せるのだ。

クイックリーが卓越しているのは、リーグ有数のフローターを駆使し、相手守備の不意を突き続ける点だ。バーンズはクイックリーにそのためのアドバンテージをつくる助けとなれる。

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極めて感覚が優れたディフェンダー

クイックリーはボールに対する守備が優れている。ただ、彼が輝くのは、チームの守備のまとめ役となれる点だ。彼のニックネームである「IQ」が、その最高の特徴のひとつを物語っている。

ニックスのトム・シボドー・ヘッドコーチは昨年、『The Athletic』で「クイックの好きなところは、彼の賢さだ。彼はとても、とても賢いんだよ」と話した。

「チームの守備を助けるために何をすべきか分かっている。それが彼の最大の強みだと思う」

今回の大型トレード以前のラプターズは、いつになくディフェンシブレーティングでリーグのボトムハーフだった。守備のタレントはそろっている。バーンズはオールディフェンシブチーム選出を競うはずだ。シアカムはかつて優れたディフェンダーだった。パートルは堅実なアンカーだ。それらが機能しなかったのは、連係不足が理由だった。

その点でクイックリーはすぐに役立つことができる。とても声を出し、よくコミュニケーションをとる選手なのだ。チームメイトに役割や向かうべき場所を支持する姿を絶えず見られるようになるだろう。相手チームがやろうとするプレイを熟知しており、パターン認識が非常に優れているからだ。

ラプターズでのデビュー戦で、彼はその力を存分に示した。キャバリアーズが狙っていたプレイをいくつか止めたのだ。

クイックリーは穴埋めを得意とする。これにより、バーンズはより自由に動き回り、相手を混乱させることができるはずだ。これはバーンズの最高のスキルのひとつになりつつある。今季の彼はディフレクションがトップ15で、スティールで5位につけている。

また、クイックリーは守備のトランジションでも優れている。『Cleaning the Glass』によればトランジションディフェンスで14位のラプターズにとって、改善が強く必要とされていた点だ。

ラプターズは、すべてのポジションで長さを使って相手を苦しめるという守備精神のチームだ。クイックリーは6フィート2インチ(約188センチ)だが、ウィングスパンが6フィート9インチ(約206センチ)。これにより、彼は一見した以上に厳しいディフェンダーとなるのだ。相手にとって厄介で、ラプターズの守備哲学に完璧にフィットする。

近年のラプターズは、こういったアンダーサイズながら強いハートを持つガードに恵まれてきた。カイル・ラウリーとフレッド・バンブリートの勝利への貢献ぶりは、それぞれ1試合平均得点を大きく上回るものだった。クイックリーも同タイプだ。彼はラプターズを以前より良いチームとするだろう。

原文:Why Immanuel Quickley is an ideal long-term fit with Scottie Barnes and the Raptors(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。