今シーズンがロサンゼルス・レイカーズについて何か証明したとすれば、それはシンプルに彼らのロスターが優勝を競えるほど十分でなかったということだ。ダービン・ハム・ヘッドコーチへの批判は大きいだろう。だが、デンバー・ナゲッツに撃破された様子は、両チームの差が作戦や交代パターンだけにとどまらないことを示している。
2月のトレードデッドライン(トレード期限)前に本人が砂時計の絵文字を投稿して示唆したように、レブロン・ジェームズのキャリアは限られている。当時、ロブ・ペリンカGMは大きな変化に踏み切らなかった。この夏は、同じことをする余裕がない。
レイカーズが本当に優勝を競いたければ、重要なタレントの補強が必要だ。フリーエージェントでそれを実現することはできないだろう。ジェームズの残留を前提にすると、レイカーズはサラリーキャップオーバーで、ポール・ジョージやジェームズ・ハーデンのような選手を獲得する選択肢はない。
唯一の方法は、トレードだ。すでにドノバン・ミッチェル、ザック・ラビーン、トレイ・ヤングといった選手たちを獲得するための方法に関する憶測がある。ここではそれらをまとめた。
レイカーズの今後のドラフト指名権
トレードデッドラインでレイカーズが使用可能だったドラフト指名権はひとりだけだった。この夏は、それ以上を提示できる。
レイカーズがドラフト後に使える指名権は以下のとおりだ。
- 2024年の1巡目指名権(全体17位)
- 2029年の1巡目指名権
- 2031年の1巡目指名権
- 2024年、25年、27年、30年、31年の2巡目指名権
レイカーズがドノバン・ミッチェルをトレードで獲得するには?
ミッチェルの来季の年俸は3480万ドル(約54億6360万円/1ドル=157円換算)。2025-2026シーズンは3710万ドル(約58億2470万円)のプレイヤーオプションだ。クリーブランド・キャバリアーズにキャップスペースの空きはないことが見込まれ、トレードのためにはサラリーを合わせる必要がある。
『ESPN』のブライアン・ウィンドホースト記者によると、ディアンジェロ・ラッセルはプレイオフが始まる前に1870万ドル(約29億3590万円)のプレイヤーオプションを破棄すると見られていた。だが、苦戦ぶりを考えれば、それは変わるかもしれない。ラッセルがオプトインすれば、彼のサラリーと八村塁の1700万ドル(約26億6900万円)を合わせれば、ミッチェルの年俸に届くだろう。
この取引を実現させるには、レイカーズはドラフト1巡目指名権3つすべてを使わなければならない。キャバリアーズはわずか2年前、ミッチェルのために3つの1巡目指名権と2つの指名権交換権、ラウリ・マルカネン、コリン・セクストン、オチャイ・アバジを手放している。それだけの価値を取り戻そうとするはずだ。
ミッチェルはキャバリアーズで極めて良いプレイをしてきた。だが、クリーブランドには再契約しないという懸念がある。プレイヤーオプションを破棄して2025年夏に無制限FAで新たな契約を交渉するというものだ。
キャバリアーズが本当にその可能性を懸念しているのであれば、こういった取引を行うことで先手を打てるかもしれない。また、ミッチェルとダリアス・ガーランドのスタイルがかぶる問題が大きくなっていることも解決できる。
レイカーズにとって問題となるのは、ミッチェルが獲得可能なら、リーグのあらゆるチームが関心を寄せるはずということだ。中でもニューヨーク・ニックスはより多くのドラフト指名権を提示できる。レイカーズの最善の提案を上回るかもしれない。
レイカーズがトレイ・ヤングをトレードで獲得するには?
デジャンテ・マレーをトレードで獲得して以降、アトランタ・ホークスは77勝87敗という成績だ。プレイイン・トーナメントでシカゴ・ブルズに116-131と手痛い黒星を喫したことは、マレーとヤングのコンビが何かを勝ち取るのに十分でないことを明らかに示している。
ホークスはロスター再編成に積極的となるだろう。唯一のオールスター選手であるヤングを手放すかもしれない。来季の年俸は4300万ドル(約67億5100万円)。その後も2年の契約が残る。
ヤングのサラリーと合わせるには、八村とラッセルを足しても不十分だ。ホークスが引き換えにオースティン・リーブスを求めるのは確実だろう。だが、それに応じるのは、おそらくレイカーズにとって無謀すぎる。
2023年のドラフトで1巡目指名したジェイレン・フッド・シフィーノと、2024年ドラフトで全体17位指名する選手の年俸320万ドル(約5億240万円)を合わせて、レイカーズは取引をまとめられる可能性がある。2029年と2031年の指名権も投じるかもしれない。
ヤングの取引を実現させるのも大変だろう。ホークスはマレーのトレード後、将来の指名権が多くない。さらにヤングを失えば、リーグ最下位付近となることは確実だ。
レイカーズがザック・ラビーンをトレードで獲得するには?
一方、ラビーンを獲得するとなれば、シカゴ・ブルズは歓迎するだろう。
今季のブルズはすでに大半をラビーン不在で戦った。また、4300万ドル(約67億5100万円)というサラリーは、FAのデマー・デローザン、パトリック・ウィリアムズと再契約を結ぶというブルズの公言目標の妨げとなる。
この取引のサラリー調整は、ヤングの場合に似るだろう。八村、ラッセル、フッド・シフィーノ、2024年のドラフト指名権だ。
少し複雑にさせるのは、ブルズがサラリー削減を望んでいること。八村やラッセルを引き受けるには、フィラデルフィア・76ersやオーランド・マジック、ユタ・ジャズ、デトロイト・ピストンズ、サンアントニオ・スパーズ、シャーロット・ホーネッツなど、キャップスペースがある第3のチームを誘う必要がある。
レイカーズにとって魅力的なのは、2029年と2031年のドラフト指名権を保てることだ。ラビーンの獲得にはそれほど多くを要さないだろう。
ラビーンは確実に得点力アップをレイカーズにもたらす。3ポイントショットを決め、リムでフィニッシュができるオールスター選出2回の選手だ。守備の限界も、ニコラ・ブーチェビッチに代わってアンソニー・デイビスがミスをカバーすることで隠せる。
両チームにとって必要のある取引に感じられるだろう。3人の中で最も実現の可能性が高いかもしれない。
原文:How the Lakers trade for a third star: Here's LA's path to landing Donovan Mitchell, Trae Young, Zach LaVine(抄訳)
翻訳:坂東実藍
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