プレイオフ逸失のレイカーズ、ビッグ3出場時はどれだけ強かったのか?

大西玲央 Reo Onishi

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「我々の目標は優勝だった。ピースは揃っていたように感じるが、ケガがそれの邪魔をした。今季の別れ目となった。僕、ブロン(レブロン・ジェームズ)、ラス(ラッセル・ウェストブルック)が出ている試合もいくつか負けていたが、3人とも優れた選手なので、もっと一緒にプレイできれば答えを出せたと思う。しかしそれを実行することができなかった。チームのトップ3選手があまり一緒にプレイできていないと、優勝争いをするのは難しい」。

これは4月5日(日本時間6日)にロサンゼルス・レイカーズがフェニックス・サンズ相手に敗れ、プレイイン・トーナメント出場の可能性が消滅した試合後の記者会見でのアンソニー・デイビスの発言だ。実際、3選手が揃ったのは4月7日(同8日)現在で21試合しかなかった。それがレイカーズにとってどんな影響があったのか確認してみよう。

今季のレイカーズは、オフシーズンにラッセル・ウェストブルックをトレードで獲得し、ジェームズ、デイビス、ウェストブルックというビッグ3は大きく注目されることとなった。平均年齢の高さなどが指摘されることもあったが、このチームがプレイオフどころか、プレイイン・トーナメントにも出場できないことを開幕前から想像していた人は少ないだろう。

今季はデイビスとジェームズがケガで離脱することが多く、レイカーズのビッグ3が揃ったのはわずか21試合で、11勝10敗という成績だ。そのまま82試合に換算すれば、43勝39敗のペースであり、優勝候補かどうかはともなく少なくともプレイイン・トーナメントには出場できていた計算となる。

3人が今季同時に出場したのは合計393分。その間のレイカーズのオフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での得点、高い方が得点力がある)は107.1、ディフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での失点、低い方が守備力がある)は110.6で、両数値の差分であるネットレーティングは-3.5で、これはチーム全体で記録している-3.3よりも低い。

さらに細かく見てみても、どの組み合わせでもネットレーティングはマイナスの数値を記録している。

レイカーズラインナップのネットレーティング

出場 分数 NETRTG
ビッグ3全員 393 -3.5
ジェームズ&ウェストブルック 1389 -1.5
デイビス&ウェストブルック 1024 -4.5
ジェームズ&デイビス 576 -2.5

選手単体で見ても、ジェームズが出場時のネットレーティングは-2.5、デイビスは-3.0、ウェストブルックは-4.0と、どこを切り取ってもチームとして上手くいく時間帯を作ることに苦戦していたのがわかる。ジェームズに至っては、自身のネットレーティングがマイナス値を記録するのは、2003-04のルーキーシーズンに-2.0を記録して以来のことだ。

もちろんデイビスが言うように、ケガなくプレイすることができれば、シーズンが進むにつれ改善されていった可能性もある。しかしどのチームにもケガはつきものであり、それを踏まえた上でどう戦えるのかを考えるのがフロントの役割でもある。

同じホームコートを使用するロサンゼルス・クリッパーズは、スター選手のカワイ・レナードが今季は1試合も出場しておらず、もうひとりのスター選手であるポール・ジョージもケガで30試合しかプレイしていないものの、40勝40敗の成績でウェスタン・カンファレンス8位につけている。

同3位のゴールデンステイト・ウォリアーズ(51勝29敗)も、ステフィン・カリー、ドレイモンド・グリーン、クレイ・トンプソンの3人で合わせて101試合を欠場。同6位のデンバー・ナゲッツ(48勝33敗)に至っては、ジャマール・マレーはここまで出場なし、3番手として期待されたマイケル・ポーターJr.はわずか9試合しか出場していない。

ジェームズ、デイビス、ウェストブルックというビッグ3が想定以上に上手く機能しなかったことに加え、いずれかの選手が欠けた時でも機能するように、上手くロールプレイヤーを集められなかったことが、レイカーズにとって大きな敗因となった。

今季のレイカーズの凋落によって、いかにシーズンの成功においてロスター作りが重要なのかがよくわかった。そしてこれは今季だけの問題ではない。来季のレイカーズも、ウェストブルック(プレイヤーオプションを行使する前提)、ジェームズ、デイビスの3人のサラリーは合わせて1億2900万ドルを超えるリーグトップの額だ。

来季も契約下にあるのはこの3人のほかに、テイレン・ホートン・タッカー、ケンドリック・ナン、スタンリー・ジョンソン、そしてオースティン・リーブズのみ。ここに加えて、チームが上手く機能するような選手を集め直すのか、ビッグ3の一角をトレード要員として立て直すのか、レイカーズのオフシーズンは今年も注目を浴びることとなりそうだ。

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。