リラードのトレードが渡邊雄太とサンズに与える影響

大西玲央 Reo Onishi

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渡邊雄太は何かとビッグトレードに縁のある選手だ。ブルックリン・ネッツに在籍していた2022-2023シーズンにはチームメイトのケビン・デュラントがサンズにトレードされる4チームの絡む大型トレードを目撃した。

そしてこの2023-2024シーズンの開幕目前で、ポートランド・ブレイザーズがミルウォーキー・バックスに移籍する三角トレードの一環として、サンズはディアンドレ・エイトンをブレイザーズに送ることとなった。

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トレードに含まれる当事者とはなっていないものの、近年のビッグトレードの2つのどちらにも渡邊の所属するチームが関わっていることとなる。もちろん今回のトレードの目玉はリラードがバックスでヤニス・アデトクンボと強力コンビを組むことだが、エイトン放出という道を選んだサンズにとっても大きな変化をもたらす。

エイトンがいなくなったことで、サンズは2021年のNBAファイナルまで進んだ当時のロスターで残っているのはデビン・ブッカーのみとなった。デュラント獲得のためにミケル・ブリッジズとキャメロン・ジョンソンを、ブラッドリー・ビール獲得のためにクリス・ポールをトレードしたサンズにとって、エイトンの放出は新生チーム構築に必要な動きだったのだろう。

サンズはエイトンとトゥマニ・カマラの2人を出したのに対して、獲得したのはユスフ・ヌルキッチ、グレイソン、アレン、ナシール・リトル、キーオン・ジョンソンの4人。現状17人を抱えていることになるため、まだ何かしらの動きがあることは間違いない。

『Yahoo! Sports』のジェイク・フィッシャー記者によると、サンズはイシュ・ウェインライトと今回のトレードで獲得したジョンソンをウェイブまたはトレードで放出する方向で現状は動いているとのことだ。

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エイトンの代わりにセンターを務めることになるのはヌルキッチだ。昨季3ポイントラインまでシューティングレンジを広げたヌルキッチは、健康でプレイすることさえできればまとまった得点とドロップでリム周りを守るディフェンスを提供することができる。

しかし、ヌルキッチは2018-19シーズン終盤に右脚を骨折して以降のレギュラーシーズンで出場した試合数は8、37、56、52と平均的に少ない。奇しくもブレイザーズ時代に彼の控えだったドリュー・ユーバンクスがこのオフにサンズに加入しており、再び2人で時間を分けながらレギュラーシーズンを乗り越えることとなるだろう。

チームの性質上、サンズは純粋なセンターを置かないスモールラインナップも多用するのではないかと思われる。実際このオフシーズンに獲得した選手は、渡邊を含めてシュート力と長さのある選手が多かった。

サンズに来てからセンター起用されることはあまりなかったデュラントだが、昨季のネッツではデュラントが5番を務めることも多かった。圧倒的オフェンス力が注目されがちなデュラントだが、ディフェンスでも良い仕事をしている。ネッツ時代にはそんなデュラントの横で出場していた渡邊だが、サンズでも出場の狙い目はそこになりそうだ。

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ウィングのポジションで3Pを期待される渡邊だが、その魅力は3Pだけではない。シューティングガードからパワーフォワードまで、状況によってはセンターまでプレイすることができることも重宝される要因のひとつとなる。

ただその役割を担えるのは渡邊だけではない。オフに一緒に加入することとなったケイタ・ベイツ・ジョップ、そして今回のトレードで加入したリトルも似たような活躍が期待される。特にリトルは今季がリーグ入り5年目という経験を持ちながらも、まだ23歳という若さであることも魅力的だ。渡邊にとってはチーム内で競争相手が増えた形になる。

今回のトレードで、エイトンを放出する代わりにチームの層に厚みを出したサンズ。シーズン序盤はブッカー、デュラント、ビールのスタートリオの横でどのメンバーが最もフィットするのかを探る時期となるだろう。渡邊としては、攻守でポジションレスにプレイでき、3Pをしっかりと決められるところを早い段階で見せつけ、フランク・ボーゲル新ヘッドコーチの信頼を勝ち取ることが重要だ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。