ヒートの永久欠番になったクリス・ボッシュ「人生の次の章に、一緒に進むことができる」

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3月26日(日本時間27日)、マイアミ・ヒートはオーランド・マジックとの試合のハーフタイムに、クリス・ボッシュの背番号1を永久欠番化する式典を行なった。ボッシュはレブロン・ジェームズとドウェイン・ウェイドとともに2度の優勝に大きく貢献した『ビッグ3』のひとり。同式典の様子を『AP通信』が詳細に報じている。

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センターコートに立ったクリス・ボッシュは、会場に集まったマイアミ・ヒートのファンを見渡し、口を開いた。2015年に命の危機に陥ったことについて。そしてダディジャックの愛称で呼んでいた祖父について。その祖父はかつて初孫に対して、いつか特別な人間になると伝えていた。

ダディジャックは正しかった。

彼の孫は、正式にヒートの歴史に永遠に刻まれることとなったのだ。

3月26日(日本時間27日)、ヒートの優勝リングを両手に身につけたボッシュは、自身の名前と背番号1が綴られた巨大なバナーがアメリカン・エアラインズ・アリーナで掲げられるのを眺めたのちに、感情溢れるスピーチを披露した。マイアミのラテン文化を讃えるために、スピーチの一部にはスペイン語も織り交ぜられていた。

「自分の名前、自分の家族の名前が掲げられている。過去には、これを夢見ていると話すと笑われていた」とボッシュは語った。

「だから自分の夢を成し遂げることをできないないなんていう他人の言葉には、耳を傾けてはいけない。あのジャージーに乗っている4文字の名前は、私の妻の名前、子供達の名前、父の名前、祖父の名前でもある。1世代で終わるものではなくなった。ダディジャック、永遠に語り継がれる名前になったよ」。

式典はボッシュがキャリア最後の試合を終えてから約3年後に行なわれることとなった。13年間のキャリアで11度オールスターに選出され、4度のNBAファイナル出場、そして2度の優勝。ヒートの選手で永久欠番化されるのはアロンゾ・モーニング、ティム・ハーダウェイ、シャキール・オニールに次いで4人目だ。

「未来永劫、永遠にマイアミ・ヒートの一員だ」とヒートのパット・ライリー球団社長は述べた。

ライリー球団社長が、2013年のNBAファイナル第6戦でレイ・アレンのシリーズを救う3ポイントショットをお膳立てしたボッシュのリバウンドとアシストを、球団史上最大のものと表現すると、ボッシュは「NBA史上最も重要なリバウンドだ」と付け加えた。

近い将来、少なくともあと3つの背番号が永久欠番化されることは間違いない。ドウェイン・ウェイド、レブロン・ジェームズ、ユドニス・ハスレムがそれぞれキャリアを終えれば、彼らも自分たちの名前と背番号が掲げられるのを眺めることとなるだろう。

Chris Bosh

今回の式典では、ウェイドとハスレムもコート上に立っていた。ヒートのエリック・スポルストラHCは、この日のヒート対オーランド・マジックの試合はプレイオフ出場に向けてとても重要な一戦になることを理解していながらも、ボッシュを祝うために選手たちがコート上に立つことを以前から決めていたのだ。

ウェイドがボッシュを会場に紹介し、数々のエピソードを披露した。彼がロゼッタストーンのCDを使ってスペイン語を勉強したことや、独学でギターを学び伝説的ブルースマンのバディ・ガイと一緒に演奏するまでに至ったこと。そしてボッシュの父親、夫としての姿勢に憧れていることも語った。

「『ビッグ3』時代を伝説にしてくれた張本人」とウェイドはボッシュを称えた。

スポルストラHCはこれまでもなんどもボッシュのエピソードを語ってきたが、そのなかでもお気に入りなのがプレイオフでペイサーズに負け、1勝2敗と窮地に立たされた日の夜のことだ。ボッシュは午前2時にスポルストラHCのホテルの部屋にビールを持って現れた。ふたりは45分間、飲みながら語り合った。その間、バスケットボールのバの字も出ることはなかったのだ。ヒートは第4戦を勝利し、そのままシリーズを勝ち進んだ。

「我々のカルチャー、我々がどういうチームなのかを理解したいのであれば、あの夜のエピソードほど分かりやすいものはないだろう」とスポルストラHCは話した。

ヒートはさらにボッシュの持つ基金に5万ドルを寄付し、彼の友人がデザインしたオリジナルギターをプレゼントした。血栓によって命の危機にさらされた2015年、そしてキャリアの終焉を迎えた2016年、どちらもヒートファンに大きく支えられたことをボッシュは口にした。

チームはファンから届いた何千ものお見舞いの手紙をボッシュの自宅に送っていた。そして彼は全部読んでいたのだ。「あの手紙は、私がこのコートに戻りたいという気持ちを後押ししてくれた」とボッシュは語る。

「もう力が残っていないと思っていたところ、あの手紙のおかげで再び立ち上がり、歩き出そうと奮い立たせてくれたんだ」。

彼とヒートは疎遠になっていた時期がある。ボッシュがキャリア続行を望んでいたのに対して、ヒートは彼の健康状態では無理だと判断していたのだ。最終的に、両サイドはお互いを理解するまでに至り、関係は修復された。

そして今、彼は永遠にヒートファミリーの一員となったのだ。

「これでようやく、正式に前に進めるように感じている」とボッシュは述べた。

「めまぐるしいようなスピードで物事は進んで行ったけど、今こうしてここにいられる。本当に嬉しいよ。そして人生の次の章に、一緒に進むことができるんだ」。

原文:Heat raise Chris Bosh's No. 1 jersey to rafters by NBA.com


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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ