NBAは道路地図でたどり着くところではない。選ばれたごくわずかな者たちだけが、スターダム街道を駆け上がるのだ。だが、そういう選手たちは非常にまれな存在である。
多くの選手はその実現のためにしっかりと戦わなければならない。
いつかダラス・マーベリックスに、と願う日本の馬場雄大は、その旅路を始めたばかりだ。
「ここまではとても良い仕事をしている」
FIBAバスケットボール・ワールドカップ2019で好プレイを披露し、日本でだれよりも優れた選手であることを示した馬場だが、マーベリックスでは何の保証もない。だが、マーベリックスのロスターに入れなければ、Gリーグのテキサス・レジェンズで素晴らしいチャンスが待っているようだ。
その意味を、馬場は理解している。そして、それでよしとしている。マーベリックスでのトレーニングキャンプ中に彼が特に成し遂げたいと願っているのは、より良い競争に慣れることだ。
ブロークンだが向上中の英語で、馬場は「サマーリーグで見てもらった時に、トレーニングキャンプに来いと言ってもらった」と話している。
「このキャンプを楽しむ。ここでは全員がスキルある選手だ。自分にとって良い経験となる」。
そして彼は、日本に戻らないと決めた。少なくとも、バスケットボールが理由で戻ることはしないと決めた。日本では、成し遂げられることはすべて成し遂げたのだ。
馬場は「レジェンズに行くと決めた」と述べた。
「ステップアップが必要だった」。
マーベリックスはすでに、超速モーターを持つ馬場のことを見て、気に入っている。国際ルールの3ポイントラインに慣れているため、NBAの3Pラインに取り組まなければならない(トップからゴールまでFIBAは6.75m、NBAは7.24m)。だが、彼が学んでいること、そしてその学びの速さにプライスタグをつけることはできない。
そしてもちろん、英語や大きな文化の違いを覚え、習得するのも重要な側面だ。
10月4日(日本時間5日)の休日を前に、マーベリックスのリック・カーライル・ヘッドコーチは「サマーリーグで彼のプレイを見て、ここでも3日間見てきた」と話した。
「彼のプレイは好きだ。とてもエネルギッシュで、ゲームに対する大きな情熱がある。それに、とても聡明な選手だよ。チームメイトたちが一緒にプレイしたいと思うような選手だ。非常に運動能力があり、とても強い。そして、彼はゲームを知っている」。
「シュートレンジに関しては(練習を)続ける必要がある。日本から来て、言葉が異なるから、アメリカでの専門用語を学び続けないとね。ここまでは、とても良い仕事をしているよ」。
「すべてのショットがタフになる。準備はできている」
バスケットボールにおける馬場のバックグラウンドは興味深いものだ。中学校(富山県・奥田中)は八村塁と同じで、2年先輩だった。八村はゴンザガ大学で3年にわたって力強いキャリアを築き、6月のドラフトでワシントン・ウィザーズに全体9位で指名された選手だ。
FIBAワールドカップでの馬場は、1試合平均9.2得点、3アシストを記録した。サマーリーグでは、1試合平均12分間のプレイで、4得点、2.3リバウンドをマークしている。馬場は4試合に出場し、マーベリックスは3勝1敗だった。
日本のBリーグでは、アルバルク東京で2年連続優勝を経験。64試合に出場し、1試合平均10.8得点、4リバウンド、3.7アシスト、1.5スティールを記録して、ファイナルMVPに選ばれた。
もちろん、NBAは別物だ。そして馬場も、改善しなければいけないのがシュートレンジだけではないということを分かっている。
マーベリックスでのトレーニングキャンプについて、馬場は「フィジカルだ」と話した。
「日本はフィジカルじゃない。簡単にドライブやシュートに行ける。ここではそれができない。すべてのショットがタフになる。準備はできている」。
もちろん、彼が慣れなければならない違いは、それだけではない。馬場の後ろには、マーベリックスでの彼を伝える日本の記者やカメラマンの小さなグループがある。日本では、彼は大きな話題なのだ。
「文化(が違う)。騒々しい。日本なら静かになる。ここはクレイジー。音楽とか。怒鳴り声もすごい」。
満足しているのは、ダラスの食事だ。日本食を見つけるのに苦労はしないという。
「ここは日本の料理人も多いから、自分にとっては快適だ」。
最終ロスター入りを目指す多くの選手たちと同じように、馬場も自分がマーベリックスの一員になるのはとても難しいことだと理解している。
だが、プレシーズンで彼はそのスキルを披露するチャンスをたくさん得るだろう。
カーライルHCは「NBAのキャンプに来れば、そのチャンスはある」と述べた。
「私が知っている。35年前、私はNBAのキャンプにいた。自分にチャンスがあるなんて、だれも思っていなかった。奇跡は起こるんだ」。
「この選手はプロフェッショナルだ。我々と一緒のチームになれずとも、彼は必ずGリーグで良い選手になる。エネルギーと情熱をもってプレイし、それが伝わるんだ。ハードに頑張っており、たくましく、攻守両面でプレイする。常にチームにいてほしいと望むような選手だ」。
日本では、できることをすべてやってきた。馬場は今、新たな冒険に挑んでいる。
「レジェンズだろうが、どんなことがあろうが、準備は整っている」。
原文: HAVING REACHED HEIGHTS IN JAPAN, YUDAI BABA LOOKING TO BROADEN HIS HORIZONS by EDDIE SEFKO/Mavs.com(抄訳)