グレッグ・ポポビッチHCが人種差別問題に関して言及「権力に対して真実を述べないといけない」

Michael C. Wright, NBA.com

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サンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチは、現在アメリカが直面している問題の根本的な理由をこう断言した。

「根本的な理由は、人種にある」。

6月6日(日本時間7日)、スパーズはソーシャルメディア上に『#SpursVoices』シリーズの動画を投稿した。ポポビッチHCは、アメリカ国内の白人に向け「権力に対して真実を述べないといけない」と訴えた。

「今のままの状態にしていてはいけない。黒人は、400年余りも苦しんできた。この国家が繁栄できた唯一の理由は、黒人の根気強さ、辛抱強さ、彼らの努力にある。我々の国の歴史は、非常に早い段階から多くの面において虚構だった。我々は今日までその嘘を続けている。黒人や褐色人種に対して、まるで嘘ではないかのように嘘を真実にしようとしてきた。そういった権利や特権は、人種によってもてあそばれている」。

スパーズは、今後も『#SpursVoices』シリーズの動画をソーシャルメディアに投稿する予定だ。

これまでスパーズは、人種に関する問題に球団として声を上げてこなかった。しかし、白人警察官の不当な拘束により黒人であるジョージ・フロイドさんが死亡した一件をきっかけに、その考えを改めた。

「本当に滑稽な話だが、今回の悲劇から得た最大の教訓は、例の警察官の表情にあると私は思う」と、ポポビッチHCは続けた。

「白人が平然と自分の仕事をこなしているかのようにして、左手をポケットに入れ、ひざを押し付けるようにして被害者に何かを教えようとしている。この警察官は、それが自分の義務だと思っていたのだろう」。

「私には理解できない。こんなことが起こり得るなんて、白人として恥ずかしい。絞首刑の瞬間を目の当たりにしたんだ。黒人が木から吊るされた姿を本では見たことがある。それを目にすれば、非常にショックを受けるだろう。私たちは、同じような場面を目撃してしまった。こんな事態を現実の世界で見ることになるなんて、一度だって想像したことがない」。

スパーズは、先週の月曜にポポビッチHC、CEOのR.C.・ビュフォードらを含む300人以上のスタッフとビデオ会議を行ない、それぞれが過去に経験した人種差別について話し合った。球団エグゼクティブは、会場の警備員、チケットオフィスで働くスタッフらの体験談に心を動かされたという。

6月5日(同6日)に投稿された『#SpursVoices』シリーズでは、スパーズ・スポーツ&エンターテイメントのピーター・J・ホルト会長の動画が公開された。彼は「私は、自分が白人男性であることを認識していると思っていた」と述べた。

「私は特権を持つ家に生まれ、裕福な家庭で育った。家族は常に教育を受けさせてくれ、特に社会、文化、我が国の歴史、他者に対する思いやりに関しては聡明であることを望んだ」。

「私は、異なる人たちと触れ合える機会に恵まれ感謝している。人種、宗教、民族、出身地は異なっても素晴らしい人たちと関係性を築けたことに感謝している。これらの経験から、私は人種に関して理解していると思っていた。しかし今は、それが間違いだったと認識している。周りの意見を聞き、これまで以上に学ばないといけない」。

「我々は球団として、この社会に根付く人種問題への取り組みに協力できると考えている。そして、今回の件をチャンスと受け止めている。リーダーシップは、肩書きやステータスで決まるものではない。目的意識、振る舞い、行動によって決まるものだ。スパーズファミリーには、各部門に力強く、思慮に富んだリーダーがいる。この複雑で、重大な問題に取り組もうとしているスタッフの意思と勇気に感謝している。我々は、球団一丸となってこの重大な取り組みに臨む」。

ポポビッチHCは、社会で変化を起こすためには、白人が声を上げる必要があると力説した。

「近所に危険な場所があるようなもので、いつか何かが起こるとわかっていても行動しないのと一緒だ。そこで少年が殺され、立ち入り禁止の標識が立てられる。政治的な話に行き過ぎる前に、警告のサインを迅速に出す必要がある」。

原文:Gregg Popovich delivers stirring statement as Spurs focus on race by Michael C. Wright /NBA.com(抄訳)


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