歴代のプレイオフで最も高得点を記録している選手たち

大西玲央 Reo Onishi

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5月26日(日本時間27日)、ゴールデンステイト・ウォリアーズとダラス・マーベリックスによるウェスタン・カンファレンス・ファイナル第5戦でウォリアーズが120-110で勝利した。

敗戦ながらも28得点、9リバウンド、6アシストと活躍したマーベリックスのルカ・ドンチッチは、今季のプレイオフをリーグトップに並ぶ平均31.7得点で終えた(もうひとりはミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボ)。

一時はプレイオフ通算平均得点でマイケル・ジョーダンを抜き、歴代1位となったことで話題となったドンチッチは、最終的に28試合で平均32.5得点となり、33.4得点のジョーダンに次ぐ2位の座に戻った

それでも、通算平均30.0得点以上を記録しているのはこの2選手のみであり、高い得点能力を披露し続けていることには変わりない。

今回は、NBAの76年の歴史の中で、プレイオフにて高い得点能力を見せてきた選手たちに注目してみよう。

シーズン別プレイオフ平均得点ランキング

選手(チーム) シーズン 試合数 平均得点
ジェリー・ウェスト(レイカーズ) 1964-65 11 40.6
エルジン・ベイラー(レイカーズ) 1961-62 13 38.6
エルジン・ベイラー(レイカーズ) 1960-61 12 38.1
ボブ・マカドゥー(バッファロー・ブレーブス) 1961-62 7 38.6
マイケル・ジョーダン(ブルズ) 1989-90 16 36.7
マイケル・ジョーダン(ブルズ) 1987-88 10 36.3
ドノバン・ミッチェル(ジャズ) 2019-20 7 36.3
ルカ・ドンチッチ(マーベリックス) 2020-21 7 35.7
レブロン・ジェームズ(キャバリアーズ) 2008-09 14 35.3
カリーム・アブドゥル・ジャバー(バックス) 1969-70 10 35.2

※7試合以上出場、太字は現役選手(Statheadより)

シーズン別に見ると、最も高い平均得点を残しているのは、1964-65シーズンに11試合の出場で平均40.6得点を記録したジェリー・ウェスト(ロサンゼルス・レイカーズ)だ。当時は3ポイントラインがまだ存在せず、全て2ポイントショットとフリースローによる得点だ。

フリースローは平均12.5本決めており(試投14.0本)、こちらも歴代トップ。1プレイオフを通して平均40.0得点以上を記録した選手は、このシーズンのウェストのみだ。

2位と3位はどちらもエルジン・ベイラー(レイカーズ)だ。同時期にウェストも在籍していたことから、当時のレイカーズがどれだけ豪華な布陣だったのかがわかる。

7試合以上出場した選手に限ったランキングを見てみると、トップ10入りしている現役選手はドノバン・ミッチェル、ドンチッチ、レブロン・ジェームズの3人のみだ。トップ20まで広げても、19位に2020-21シーズンにブルックリン・ネッツでプレイしたケビン・デュラントが平均34.3得点(12試合)がランクインするのみだ。

近年、リーグの平均得点が110.0得点を超えるなど得点力が上昇していることから、最近の選手があまりランクインしていないことを不思議がる人もいるかもしれない。しかし、NBAで最も高得点ゲームが多かったのは1960年代であり、1961-62シーズンのリーグ平均118.8得点が最多だ。近年で最も高いのは、2020-21シーズンの112.1得点と比較すると平均6.7得点も高く、上位人が60年代の選手なのも頷けるだろう。

今季のプレイオフ得点ランキングを見ていると、昨季からの変化がひとつあることに気付く。昨季はプレイオフで平均30得点以上を記録した選手が9人もいたのだが、今季はヤニス・アデトクンボ(31.7)、ドンチッチ(31.7)、ニコラ・ヨキッチ(31.0)の3人しかいない。そしてトップ3選手は全員敗退している。

トップ10で現在もプレイオフに残っているのは、6位のジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス、26.9得点)、8位のステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ、25.9得点)、9位のジミー・バトラー(マイアミ・ヒート、25.6得点)のみだ。

ひとりのエースに頼り切るのではなく、よりバランスの取れたオフェンスを展開するチームが結果を残しているように見える。1位タイのアデトクンボも、3位のヨキッチも、今季は頼りになる味方をケガで欠いた状態で戦っていた。

マーベリックスにとっては、ジェイレン・ブランソンの躍進が見られるプレイオフでもあった。今後、得点面でのドンチッチの負担を軽減していくのか、このまま絶対的エースとして起用し続けていくのかは、プレイオフでのリーグの得点傾向を見ている限り、ひとつの重要な選択肢となりそうだ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。