ハーデンのデビュー戦評価 クリッパーズでの初戦を分析

Gilbert McGregor

坂東実藍 Miran Bando

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ロサンゼルス・クリッパーズでのジェームズ・ハーデンの時代が正式に始まった。

11月6日(日本時間7日)、ハーデンはニューヨーク州ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたニューヨーク・ニックス戦で、クリッパーズでのデビューを飾った。31分間の出場で17得点(フィールドゴール9本中6本成功)、6アシスト、3リバウンドを記録している。

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かつて自己最多得点を記録したアリーナで、ハーデンはポール・ジョージ、カワイ・レナード、ラッセル・ウェストブルックといったチームの主要メンバーとともに今後どのようなパフォーマンスを見せていくかをうかがわせた。

ここでは、ハーデンのクリッパーズでのデビュー戦を分析する。

ジェームズ・ハーデンのクリッパーズデビュー戦評価

試合前、クリッパーズのタロン・ルー・ヘッドコーチは、ウェストブルックがポイントガードのポジションを務め、ハーデンはボールがないところからの役割を担うようになると話した。

そのとおりに、ハーデンはシューティングガードの位置で先発出場。スターティングラインナップはそのほかにウェストブルック、ジョージ、レナード、イビツァ・ズバッツだった。

ここ数年で我々が見慣れていたハーデンのプレイを考えれば、試合開始から彼がボールを持たない役割をこなすのを見るのは奇妙だった。序盤のポゼッションで、ウェストブルックが攻撃を始めると、ハーデンはコーナーに広がったのだ。

だが、最初は奇妙に見えても、クリッパーズが一定のバランスを見つけるのに時間はかからなかった。

クリッパーズの最初の3得点は、ハーデンとズバッツのピック&ロールから生まれた。最初はハーデンのアシストからズバッツがファウルを受けてフリースローで得点。次はハーデンがディフェンシブリバウンドを拾って攻撃に転じ、ボールスクリーンをかけてもらってから、ロールしたズバッツにお膳立てしている。これがクリッパーズのこの試合最初のFG成功となった。

これまでビッグマンがやりやすくなるようにしてきたハーデンの実績を考えれば、ズバッツは一緒にプレイすることで活躍できるはずだ。

ハーデンはウェストブルックのコーナーからの3ポイントショットをアシストする場面もあった。共存への懸念もあったが、ウェストブルックは第1クォーターで試合最多の9得点をマーク。バックコートでのハーデンとのコンビも快適そうだった。

ハーデンの6つのアシストをまとめた動画がこちらだ。

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わずか9本のショットで17得点と効率が良かったハーデンだが、コートに立った31分間で出場時のチームの得失点差を示すプラスマイナスは-18だった。また加入したばかりだけに、こういった数字の一部をそのまま受け止めるべきではない。だが、早急に学ぶべきことがあるということを強調するものでもある。

それを踏まえて目立つのは、ジョージがFG11本中2本成功の10得点にとどまったことだ。そして、レナードも前半はショット試投がわずか6本。最終的にFG16本中8本成功の18得点という数字だった。ニックスの守備が十分ではなかったことと、ハーデン加入を受けて調整する必要があったことの双方が影響した数字だ。ただ、レナード自身は影響がなかったと否定している。

レナードは「僕らには得点できる選手たちがいる」と述べた。

「ひとりだけにはならないということだよ。僕はとにかく自分のチャンスが訪れた時に備えなければいけない」

学ぶべきことは多いが、ハーデンの存在がクリッパーズにすでに存在していた序列を混乱させることはないはずだ。ハーデンの初戦で最も落胆させられたのは、誰が攻撃の中心になるかが明確ではなかったことだろう。

すべてがハーデンのせいではない。だが、彼は新戦力だ。チームがアイデンティティーを保てるように調整する方法を、彼が見つける必要がある。クリッパーズのインサイダーであるジャスティン・ルッソが指摘したように、スターティングラインナップは一緒にプレイした18分29秒でプラスマイナスが-13だったのだ。

ニックス戦がハーデンにとって、約6か月前に行われた昨季イースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦以来の実戦だったことも指摘しておくべきだろう。プレシーズン戦をすべて欠場するなど、1日(同2日)にフィラデルフィア・76ersからトレードされるまで、ジャージーを着ていなかった。

すべてを考えれば、チーム全体がいまひとつで不十分だった中で、ハーデンは一定の評価に値する。これだけ長く間が空いた中で、効率的なパフォーマンスを見せるのは、なかなかの成果だ。

解決の必要がある懸念点があるのと同様に、今後に向けた励みになるべき点もある。ハーデンがセカンドユニットを統率する可能性もそのひとつだ。その場合、ハーデンはもっとボールを支配し、さらにピック&ロールができるようになる。

簡単にはいかないだろう。だが、クリッパーズにはこの実験を成功させるための道がある。

評価:B

ニックス戦のジェームズ・ハーデンのスタッツ

  • 出場31分間
  • 17得点
  • 6アシスト
  • 3リバウンド
  • 2ターンオーバー
  • FG9本中6本成功(66.7%)
  • 3P4本中2本成功(50.0%)

原文:Grading James Harden's Clippers debut: Analyzing LA guard's efficient stats in loss to Knicks(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Gilbert McGregor first joined The Sporting News in 2018 as a content producer for Global editions of NBA.com. Before covering the game, McGregor played basketball collegiately at Wake Forest, graduating with a Communication degree in 2016. McGregor began covering the NBA during the 2017-18 season and has been on hand for a number of league events.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。