ヒューストン・ロケッツがボストン・セルティックスに最大26点差をひっくり返されて敗れた12月28日(日本時間29日)の試合は、ひとりが腰を負傷したため審判2人で行なわれた。コールされなかった場面も多く、終盤のハーデンの連続オフェンシブファウルは、少なくとも疑わしいものだった。
これで4連敗となったロケッツは、守備で最も効果的なクリス・ポール、ルーク・バー・ア・ムーテ、クリント・カペラという3選手が欠場していた。加えて、ロサンゼルス・クリッパーズとロサンゼルス・レイカーズに連敗し、11戦中8試合がロードという過酷な日程の中での黒星。こういった状況で、ロケッツはスランプに陥っている。
リーグのトップクラスのチームでも、この時期に調子が崩れることがあるのは、NBAの常だ。例えば、イースタン・カンファレンスではセルティックスがクリスマスデーにワシントン・ウィザーズに敗れて4戦3敗(その後2連勝)。クリーブランド・キャバリアーズもここ4試合で3敗を喫している。
しかし、ロケッツにとっては、懸念すべき警鐘でもある。
彼らは夏にポールをトレードで手に入れ、守備的で気迫あるベテランたちを獲得した。すべてはポストシーズンにインパクトを残すためだった。そのためのスタートが、守備の改善だった。それが、この4試合で破綻しているのだ。
55勝しながらプレイオフで成功する真の希望がなかった昨季のチームとの違いは、堅実な守備の力にある。去年のロケッツは、100ポゼッション当たりの失点が106.4と、ディフェンシブエフィシェンシーがリーグ18位と平均を下回るチームだったのだ。
ことしのチームは100ポゼッション当たりに103.9失点とリーグ8位の数字を残している。しかし、この4試合の前までは、102.5失点で7位だった。4連敗中は114.6失点のリーグ28位というありさまだ。セルティックス戦では後半に100ポゼッション当たり127.0失点と守備が崩壊した。
繰り返すが、ポールやバー・ア・ムーテ、カペラの不在がロケッツの守備の崩壊に影響したことは明らかだ。だが、守備のアプローチが緩かったことも確かである。そしてそれが始まったのが、言い訳無用のロサンゼルス勢相手の連敗だった。
マイク・ダントーニ・ヘッドコーチは、チームの守備が昨季のように後退しないように気を付けなければならない。そうでなければ、レギュラーシーズンで良い成績を残しても、大事なプレイオフで真の希望を持てないという同じ運命をたどることになるだろう。
また、ロケッツが警戒すべき点はほかにもある。リーグ最高の25勝4敗という成績を残したとき、彼らは大事な局面となるクラッチタイム(残り5分で5点差以内)で見事な結果を残していた。ネットレーティング(100ポゼッション当たりの得失点差)は21.2で、7勝2敗を記録している。
だが、クラッチタイムのスタッツは運によって変わることも少なくない。そしてここ4試合のロケッツのクラッチタイムでの運は、完全に変わってしまった。4連敗中のクラッチタイムにおける100ポゼッション当たりの失点は128.5で、得点が100.6。ネットレーティングはマイナス27.9だ。
4連敗の中でもセルティックス戦の負け方は特に痛手となった。第4クォーター開始時に12点をリードし、残り2分3秒の時点でも4点リード。残り18.7秒にもリードを4点に広げるチャンスがあった。だが、PJ・タッカーがフリースローを失敗し、そして前述のハーデンの連続ファウルだ。
試合後のロッカールームで、エリック・ゴードンは「どうしようもないみたいな感じだ」と述べている。
「こういう試合の終わり方について話すのはキツいものだよ」。
今はまだ、パニックに陥る必要はない。しかし、これらの問題に目を向ける価値はある。それによって、ロケッツがウェスタン・カンファレンス制覇を競っていくのか、再び5月中旬にポストシーズンを終えることになるのかが決まるのだ。
原文: For the Rockets, tough calls, a losing streak and red flags by Sporting News(抄訳)