【NBAトレード評価】デマー・デローザン移籍のキングス&ブルズ&スパーズのトレードをどう見るか?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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7月8日(日本時間9日)、サクラメント・キングスはシカゴ・ブルズ、サンアントニオ・スパーズとの3チーム間でのサイン&トレードで、デマー・デローザンを獲得したことを発表した。

ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者は先日、デローザンとキングスが3年7400万ドル(約119億1400万円/1ドル=161円換算)の契約を結ぶと報じていた。

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8日(同9日)に発表されたトレードの内容は以下のとおりだ。

キングス獲得:

  • デマー・デローザン

ブルズ獲得:

  • クリス・ドゥアルテ
  • ドラフト2巡目指名権2つ
  • 金銭

スパーズ獲得:

  • ハリソン・バーンズ
  • 2031年のドラフト指名権交換権

この取引は公平な価値だったのか。デローザンはキングスにどれだけ役立つのか。ここでは、3チームにとってのトレードの評価をまとめる。

キングスの評価

デローザンは完璧にキングスにフィットする存在にはならないだろう。スペーシングの懸念があり、キングスが改善必要なのは昨季14位だった守備だ。それでも、デローザンは獲得可能な中でのベストプレイヤーだった。ポール・ジョージも良かったが、キングスは彼の獲得に乗り出せなかった。

完ぺきを求めてはいけない。デローザンはバーンズやドゥアルテよりもはるかに良い選手だ。安価でタレントを加えたかたちとなる。

デローザンが素晴らしい選手であることは変わらない。昨季の出場時間はリーグトップ。1試合平均24.0得点と効率も良い。年間最優秀クラッチ選手賞の投票で2位にもなった。アイソレーションとピック&ロールにおける効率という点でリーグ有数のスコアラーであり、評価よりもずっと優れたパサーでもある。この回転しながらのパスは、ファンによる年間ベストアシストにも選ばれた。

また、デローザンのプレイはさらに熟成していくだろう。彼のパンプフェイクは止められない。それに反応すれば、彼は突破してくる。そしてその際の数字はまだ驚異的だ。そしてフェイクに引っかからなくても、デローザンはミッドレンジからのジャンプショットで苦しめてくる。素晴らしいディフェンダーではないが、キングスは攻撃も13位に終わった。そのために2022-2023シーズンの勝利の方程式から大きく外れたのだ。キングスは攻撃面での助けも必要としているのである。

デローザンは、そこで極めて高いレベルで貢献するための方法を見つけられるだけの賢い選手だ。リムを守ったり、3ポイントショットを決めることができないビッグマンのドマンタス・サボニスとフィットしないことへの懸念はある。だが、ニコラ・ブーチェビッチの数字を見てみよう。サボニスは攻守両面で上回っている。また、ブルズではデローザンと一緒にプレイしたコービー・ホワイトが爆発した。ディアロン・フォックスは、そのホワイトがいつかなりたいと願うような、さらに優れた選手だ。

結局のところ、キングスは向上するために動く必要があった。昨季はウェスタン・カンファレンスでプレイオフを逃している。スパーズに手放した指名権交換権のリスクはあるが、デローザン級の選手のためにあきらめるほどではない。そして本当にフィット感の問題が生じたとしても、今後動かすことのできる掘り出し価格の契約だ。

評価:B+

ブルズの評価

ブルズは昨年デローザンを放出していたら、もっと多くを得ることができたかもしれない。そうすべきだっただろう。しかし、もう契約下になかった選手に期待できたものとしては、この見返りは悪くないだろう。デローザンはブルズと再契約していなかった。そのため、何かしらの見返りを得られたのは、ブルズにとって幸運だ。デローザンを望むどんなチームとのサイン&トレードも、リーグの財政事情から、極めて難しいことだった。

ドラフト2巡目指名権2つは今夏のサイン&トレードの相場だ。ゴールデンステイト・ウォリアーズもクレイ・トンプソンのダラス・マーベリックス移籍のために同じ見返りを得ている。ブルズはこれまでの多くの取引から、2巡目指名権が2028年までなかった。今回の取引で補充ができる。それは将来的なトレードの模索を容易にするだろう。

ドゥアルテは年俸590万ドル(約9億4990万円)で契約満了となる。NBAドラフト2021で全体13位指名された彼は、インディアナ・ペイサーズでのルーキーシーズンに動きながらのシューターとして有望なところを見せた。しかし、以降は3P成功率32.9%にとどまり、ほかにも多くをすることができない。何よりもサラリー調整のために含まれたかたちだ。

デローザン放出は正しい動きだったが、タイミングを誤った。ブルズにとってはジミー・バトラー以来の最高の選手ではあったが、放出するタイミングは過ぎていたのだ。

評価:B

スパーズの評価

スパーズは2021年にデローザンがブルズに向かうのを手助けした。当時は契約満了を迎える選手たちやトップ10保護条件つきのドラフト1巡目指名権、ドラフト2巡目指名権2つを手にしている。今回は2年4100万ドル(約66億100万円)のバーンズと、キングスとの2031年のドラフト1巡目指名権交換権だ。

スパーズはこの取引に加わるために動かなければならなかった。バーンズを引き受けるキャップスペースを空けるために、同日にデボンテ・グラハムとドラフト2巡目指名権を手放している。それだけドラフト1巡目指名権交換権を望んでいたのだ。保護条件がついていないため、この7年でキングスがロッタリーチームになれば、スパーズにとって素晴らしい資産となり得る。その時にビクター・ウェンバンヤマは全盛期を迎え、チームを上位へとけん引しているかもしれない。

バーンズはNBAで12年という堅実なベテランだ。数年前は信頼できる3&D(3Pと守備を得意とする選手)だった。当時ならスパーズが獲得するにはドラフト1巡目指名権を手放さなければいけなかっただろう。だが、バーンズは昨季急速に衰え、動きが大きく鈍ったように見える。ローテーションの一角として出場できることは変わりないだろう。だが、もはや平均以上のスターターではない。

それでも、昨季のスパーズの同ポジションよりはるかに優れている。バーンズは彼らの向上に役立つだろう。ルーキーシーズンの負けかたから、ウェンバンヤマがフラストレーションをためたことを考えれば、それは重要なことだ。バーンズとクリス・ポールの存在は、スパーズをプレイイン・トーナメント進出級のチームにするだろう。そしてスパーズは2031年に大きな見返りを得るかもしれない。 

評価:B+

原文:DeMar DeRozan trade grades: Kings sign-and-trade for third star, Bulls and Spurs look toward future(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。