デマー・デローザンがメンタルヘルスを語る ラプターズからのトレードも回想

David Suggs

坂東実藍 Miran Bando

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デマー・デローザンはNBAで最もメンタルヘルスのケアを呼びかけている選手のひとりだ。

そのシカゴ・ブルズのスターが、現役キャリアを通じて苦しんできたことに言及している。多くの人たちと同じように、デローザンの人生もバラ色ばかりではなかった。勢いのある時と深く落ち込んだ時、浮き沈みに満ちた旅路だった。それも、一挙手一投足をテレビカメラに追われる中で、だ。

デローザンは2018年、厳しい時期にあった中での投稿で、難しい心理状態にあることを示唆した。

乗り越えたデローザンだが、簡単だったわけではない。メンタルヘルスを損なう恐れがあると明かしてから、すぐに終わりを迎えたわけでもない。自身の『YouTube』チャンネルの動画『Dinner with DeMar』で、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンと話す中で、オールスター選出6回のデローザンは、当時の投稿につながったストレスや、長年にわたって時折苦しめられてきたその他の出来事などについて語った。

デローザンは「ベッドに横になって、8時とかだった。動けなかったんだ」と話している。

「何もする気になれなかった。誰のそばにもいたくなかった」

「とにかく自分の中に何もなかった。精神的、感情的に疲れ果て、とにかく横になっていた。ドアに鍵をかけて、部屋でひとりで横になっていたんだ」

デローザンは携帯電話を手にとり、眠る前に投稿した。翌朝には再び回復していたが、それから思いがけない反響が訪れたという。デローザンを心配し、支える声が相次いだのだ。

デローザンは強く感動したという。

「自分が弱いとは感じなかった。まったく感じなかった。あの瞬間、自分がどれだけのことをくぐり抜けてきたかを思い出したんだ。自分は決してダメな人間じゃないとね」

デローザンは「長いことを助けを求めていたけど、誰かに話すのではなく、まったく間違った方法で叫んでいたんだ」と続けた。

「反応を見て、ポジティブにもっと圧倒された。『おいおい、僕はこれほど誰かに影響を及ぼしたのか?』とね」

デローザンがラプターズからのトレードの衝撃を語る

デローザンのキャリアは多くの試練の繰り返しだった。トロント・ラプターズで最高の時期にあったが、カワイ・レナードと引き換えにトレードされている。ラプターズはNBA優勝を果たしたが、おそらくは球団史上最高のスターを失った。

このトレードは、当時のデローザンの生活に影響した。グリーンと話す中で、デローザンは自分の中で膨れ上がった感情を離している。

サンアントニオ・スパーズへのトレードについて、デローザンは「がっくりきたよ」と振り返った。

「あの時の感覚は今でも説明すらできない。バスケットボールの観点から自分自身を見つけようとした」

「疑念が浮かぶのを感じ、自分のことを疑問視し、どれだけ続くのかと考え、ひどい話に巻き込まれたりした」

私生活での大きな出来事で、その感覚は悪化するばかりとなった。Covid-19(新型コロナウイルス)のパンデミック中に父親が死の床についたことが、さらなる落とし穴となったのだ。

最終的に、デローザンは乗り越えた。今の彼はバスケットボール界で最も思慮深いひとりだ。コート上でのプレイの素晴らしさは言うまでもない。26勝29敗のブルズで、オールスターレベルのパフォーマンスを続けている。

それでも、大変な闘いをしてきたあの日々を彼が忘れることはないだろう。

原文:DeMar DeRozan opens up on mental health struggles, Raptors trade: 'Knocked me to my f—ing knees'(抄訳)
翻訳:坂東実藍

David Suggs

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David Suggs is a content producer at The Sporting News. A long-suffering Everton, Wizards and Commanders fan, he has learned to get used to losing over the years. In his free time, he enjoys skateboarding (poorly), listening to the likes of Stevie Wonder, Marvin Gaye and D’Angelo, and penning short journal entries.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。