レイカーズは笛に恵まれているのか? フリースロー巡る判定へのラプターズ指揮官の不満は正しい?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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ロサンゼルス・レイカーズはしばらく前から、NBAで最も笛に恵まれていると非難されてきた。

昨季、フェニックス・サンズの元ヘッドコーチであるモンティ・ウィリアムズや、インディアナ・ペイサーズのタイリース・ハリバートンが、その件で不満を述べている。そして1月9日(日本時間10日)には、トロント・ラプターズのダルコ・ラヤコビッチHCが、レイカーズとの試合後に審判に言及した。ラプターズは131-132でレイカーズに競り負けている。フリースローの数は、13-36だった。

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ラヤコビッチHCは「もってのほかだ」と話している。

「今夜起きたことは、完全ならバイアスだ。これは恥だよ。審判団は恥ずべきだ。これを許すリーグは恥ずべきだよ。第4クォーターのFTが彼らは23本で我々は2本だって?」

一見すると、ラヤコビッチHCは素晴らしい指摘をしたように見える。だが、レイカーズがリーグで最も笛に恵まれているという意見には、どれほどの真実があるのだろうか?

2年連続でレイカーズはFTの差が最大

レイカーズが対戦相手よりも多くのFTを放っているのは、否定できない事実だ。昨季は大差をつけてリーグ最多だった。そして今季も(差は縮まっているが)同じ状況だ。

The Lakers' free throw disparity
Statmuse

レイカーズのFT試投は1試合平均24.3本でリーグ8位だ。本当に有利に働いているのは、対戦相手に許すFTの数である。1試合平均19.4本は、ボストン・セルティックスと並んでリーグ最少タイ。また、ファウルの頻度もリーグ最低だ。

その結果、レイカーズはFT試投と相手に許したFT試投の差が186本で、2位に40本差をつけてリーグトップとなっている。審判がレイカーズ寄りの先入観を持っているという以外に理由があるだろうか?

多くのFTを獲得するレイカーズ

FTの数の差を見て、審判たちがレイカーズの勝利を望んでいるというのは安易な結論だ。プレイスタイルも大きく影響している。

レイカーズはショットが得意なチームではない。レブロン・ジェームズは周囲に「レーザー」がないことに不満を述べていた。そのため、『Cleaning the Glass』によると、レイカーズの3ポイントショット試投率はリーグ27位だ。レイカーズが非常に得意とするのは、リム付近でのショットである。バスケットから4フィート(約1.2メートル)以内のショット率は、オーランド・マジックに続く2位だ。

レイアップはジャンプショットよりもファウルを誘う率がはるかに高い。そのため、レイカーズがより多くのFTを獲得するのは理にかなっている。確かに、それがどれほど多くの差となっているかは、議論の余地があるだろう。だが、プレイスタイルが部分的に大きなアドバンテージにつながっているのだ。

また、レイカーズは歴史的にFTを誘うのがうまい選手がたくさんいる。ジェームズは近年でより頻繁にリムに向かっておりリムでのショット頻度がルーキーシーズン以来のアンソニー・デイビスも同様だ。オースティン・リーブスはより多くのFTを獲得しようと、リーグ最高級のフロッパーを研究したことを認めている。

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なぜレイカーズはファウルをしない?

最近レイカーズに加わった選手たちのファウル率が急激に下がっているのはやや奇妙だ。だが、それに関しても説明がある。

年間最優秀守備選手の候補がペイントにいることで、レイカーズの対戦相手はデイビスに挑戦しようとペイントに進入することが多くない。Cleaning the Glassによれば、レイカーズが相手に許すリムでのショット試投はリーグで6番目に少なく、逆に3P試投は6番目に多いのだ。相手がそれほど多くのジャンプショットを狙うなら、それほどの数のFTにならない。

また、ダービン・ハムHCはファウルをしないことを重視するようだ。その指揮官の下でレイカーズは守備の技術が非常に優れている。昨年、ハムHCのチームに対する「ファウルせずにコンテストしろ」というメッセージは、人気のミームとなった。

ラプターズに対して不公平な判定だったのか?

一方、ラプターズにとって第4Qの笛はどれほどひどかったのだろうか?

ラプターズは多くの単調なファウルで笛を吹かれた。クリス・ブーシェイデニス・シュルーダーイマニュエル・クイックリーサディアス・ヤングRJ・バレットなどだ。

一方、おそらくラプターズにもっとFTが与えられるべきというわけではなかった。第4Qのラプターズのフィールドゴール試投27本すべてを振り返ると、紛れもなく明らかなファウルの判定ミスはなかった。

それに近いものはあった。スコッティ・バーンズのレイアップが決まらなかった場面や、デイビスがコンタクトを誇張したスクリーンの場面、バーンズがダンクを決めた際のマックス・クリスティーとのコンタクトだ。

リーグの最後の2分間に関する報告では、これら3つのプレイすべてで審判が正しい判定を下したとされている。さらにラプターズにとって踏んだり蹴ったりなのは、報告では2つの不正確な判定でラプターズが有利になったとされている。

ラプターズには、レイカーズに対するものほど入念な笛でなかったという正当な不満があるかもしれない。だが、それがレイカーズを有利にしようという陰謀の一部かどうかは、はるかにもっと疑わしいことだ。表面的には極めて疑わしく見える現象だが、深く掘り下げるともっと合理的に見える。

原文:Is Raptors' Darko Rajakovic right about Lakers referee bias? What stats, film say about free throw advantage(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。