リラード加入のバックスが調子上向きに 開幕当初の難局をどう乗り越えた?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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シーズン開幕から14試合が経過し、ミルウォーキー・バックスにおけるデイミアン・リラードの実験が勢いに乗り始めた。

バックスは5連勝で11月22日(日本時間23日)のボストン・セルティックス戦を迎えた。10勝4敗という成績だ。

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ただ、それまでに難局もあった。バックスはそれらを乗り越えてここまできたのだ。なぜスロースタートになり、いかにして状況を好転させてきたかを見てみよう。

序盤の不振から脱却しつつあるデイミアン・リラード

開幕当初のリラードは厳しい状態だった。最初の8試合で平均22.8得点、フィールドゴール成功率37%、3ポイントショット成功率27%という数字だったのだ。

だが、リラードは非常に優れたシューターであり、長くその数字にとどまることはなかった。ここ4試合は流れを変えることができたようで、チームもその4試合ですべて勝利を収めている。この間のリラードは平均28.3得点をあげており、FG成功率44%、3P成功率43%とショットの精度を大きく改善させた。

スロースタートになった一員は、ヤニス・アデトクンボという別の支配的な選手がいるチームに精神的に慣れてきたからかもしれない。最近、リラードは新しい役割をよりうまくこなせるようになってきたと話している。

18日(同19日)のダラス・マーベリックス戦で勝利した試合後、リラードは『The Athletic』のエリック・ネーム記者に「とにかくアグレッシブになり、動けなかったり、良いリズムに乗れなかったり、試合に入っていけないまま3クォーターが終わるようなことがないようにする方法を見つけようとしてきた。それが見つかり始めているんだ」と述べた。

リラードとアデトクンボのコンビはまだ完璧にフィットしていない。だが、良くなっている。

リラードとアデトクンボのピック&ロールはまだ不完全

開幕前は、リラードとアデトクンボのピック&ロールを止めることは不可能という見方が強かった。ニューヨーク・ニックス戦で決勝3Pにつながった終盤のリラードへのアデトクンボのハンドオフなど、うまくいった時もある。だが、開幕からの数週間は、当初予想されたほどそのオプションが使われていない。

アデトクンボがリラードのためにスクリーンをかけようとしても、フィット感はぎこちなく見えた。どこでそれらのスクリーンをかけ、リラードとの最高のパスコンビネーションを築くためにどうロールするのか。アデトクンボはまだそれらに慣れようとしているところだ。

それがうまくいった時は、良い感じだった。マーベリックスに勝利した試合で、バックスは序盤にシンプルなピック&ロールを使っている。ただ、終盤の重要な局面ではほとんどそれをやめた。

彼らを見てきたすべての人にとって、この武器はまだ発展途上で、十分に活用されていないようだ。

エイドリアン・グリフィン・ヘッドコーチはネーム記者に「まだ早すぎる。でも、解決していくだろう」と話した。

「それを見いだそうとしているところだよ」

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まだ本調子ではないクリス・ミドルトン

リラードのトレードでグレイソン・アレンとドリュー・ホリデーという2人のローテーションプレイヤーを放出する前から、バックスは層が厚いチームではなかった。加えてクリス・ミドルトンに関して慎重になっていたため、さらに人材が不足していたのだ。ミドルトンはまだバック・トゥ・バック(2日連続試合)をこなしていない。出場した試合でも時間の制限があり、今季は平均20分未満の出場だ。

層の薄さにジェイ・クラウダーとマージョン・ボウチャンプの負傷が加わり、ミドルトンはここ数年以上に重要な存在となっている。ミドルトン、アデトクンボ、リラードの3人が一緒にコートに立っている時のバックスは堅実で、『PBP Stats』によれば、ネットレーティングは+9.3。だが、バックスは意図してその3人の同時起用を制限している。

バックスは、本当に重要なのはこれからだということを知っている。エンジン全開の彼らを見られるまで、年明けを待たなければいけないだろう。

守備の問題を解決しつつあるバックス

開幕当初のバックスは守備が良くなかった。『NBA Stats』によると、最初の9試合でディフェンシブレーティングはリーグ25位だ。だが、現在の好調の中で、バックスは流れを変えている。5連勝中の守備はトップ10付近だった。

守備面でスロースタートになったことを強く責められたのがリラードだ。もちろん、彼はホリデーのようなディフェンダーにはほど遠い。しかし、彼の守備に対する批判の大きさは、やや不当なものだった。リラードは守備でも競ってきたのだ。

グリフィンHCという新指揮官が、ここ数年で機能していた守備のスキームを変えようとしたことも、バックスの助けにならなかった。

ここ数年は、ブルック・ロペスがボールスクリーンでペイント内に下がるドロップセンターとしてファンタスティックだった。開幕当初、グリフィンHCはそのロペスの位置を上げたのだ。だが、大半でひどい結果に終わり、バックスはその戦略を変えた。結果、守備が大きく向上している。

Play to your strengths, exhibit 37,295

(Guess when Milwaukee went back to Lopez playing mostly drop/centerfield) pic.twitter.com/7szsIx6GqU

— Anchorage Man (@SethPartnow) November 18, 2023

ペリメーターでの守備に関しては、まだいくらかの懸念がある。それは当然だ。しかし、シーズン序盤のように大量失点することはもうなくなった。

全般的には、リラードが加入したバックスは、多くの人が期待したよりも遅い離陸となった。だが、試合のたびにゆっくりと向上している。これからお互いにもっと慣れていくだろう。彼らが優勝の期待に応えられるだけの明確な道筋を持つ、非常に優れたチームであることに変わりはない。

原文:Damian Lillard trade: How the Bucks have started to figure it out after a rough start to season(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。