リラードを止めるのは不可能? 新戦力を効果的にするバックスの作戦

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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ミルウォーキー・バックスは1試合でデイミアン・リラードのための止められないセットを見つけた。

フィラデルフィア・76ersに118-117で勝利した10月26日(日本時間27日)の初戦で、リラードは39得点と素晴らしいデビューを飾った。その成功の大半はホーンズセットからだ。コリー・ジェズ記者によると、14回で平均1.86得点をあげている。

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リラードは昨季もポートランド・トレイルブレイザーズでホーンズセットから同様に成功していた。リーグで最も頻繁に用いたガードのひとりで、2月6日(同7日)時点でポゼッションあたり1.50得点を記録している。

今季のバックスが王者デンバー・ナゲッツを参考にホーンズセットのオプションのひとつ、「Rip DHO」を用いることについては、以前も伝えたとおりだ。今回、バックスは「ハイホーンズ」と呼ばれるセットでたびたび76ersを苦しめた。

「ハイホーンズ」がデイミアン・リラードにとって効果的な理由

このセットには「ハイホーンズ」、「ダブルハイ」、「V」など、様々な呼び方がある。クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、ディアンドレ・ジョーダンを擁した“ロブシティ”時代のロサンゼルス・クリッパーズが広め、2人のスクリナーがV字型のフォーメーションから絞ってくる。

High Horns alignment
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ロゴの位置でスクリーンをかけるこの特殊なかたちは、昨季のブレイザーズのオフェンスでも多用された。リラードは試合を通じてたびたび用い、シカゴ・ブルズ相手に6回連続で得点を記録した時もあった。

このハイホーンズのフォーメーションでリラードが危険なのは、彼のスピードとショット力、そして判断力を生かすことができるからだ。

ディフェンダーの両側にスクリーンをかけることで、リラードはどちら側にドライブするかを選べるようになる。そしてこれだけ高い位置でスクリーンをかけることで、攻め入ったり、フロア状況を把握するだけの大きなスペースを手に入れられる。

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リラードは『CHGO』で「本当にスペースを手にすることができるんだ」と、うまくいく理由を話した。

「ビッグマンたちを相手に自分のスピードを生かしたい。リムで彼らとぶつからないようにペイントの外に引き出そうとするんだ」

リラードはトバイアス・ハリスを相手にこのコンセプトを示した。これだけ高い位置でスクリーンをかけることで大きな花道を手にし、ハリスがスイッチでつこうとした時に一気に抜き去って、イージーなレイアップを決めている。

相手の守備がそちら側を阻もうとしても、リラードには大きなスペースのある中央に切り替えられるだけのスキルがある。

また、リラードはこのフォーメーションからシンプルにプルアップで3ポイントショットを決めるだけの力も持つ。それを何度も披露した。

ハイホーンズセットは76ers相手に大きく成功し、接戦の残り3分を切った時点でも、エイドリアン・グリフィン・ヘッドコーチが用いている。リラードがケリー・ウーブレイJr.を抜いて左にドライブし、エンドワンにつなげて76ersにとどめを刺した。

昨季、このフォーメーションを止める方法を見つけたチームはなかった。バックスが再び用いたのは完璧に理にかなっている。シーズンを通じて多用するようになるかもしれない。

原文:Damian Lillard's unstoppable play: An explanation of 'High Horns', and why it's so effective for Bucks star(抄訳)

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。