[杉浦大介コラム第69回]復活を期すニックスの未来

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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失敗に終わった今シーズン

2016-17シーズンがニューヨーカーを再びがっかりさせるシーズンになってしまったことは否定できない。

昨年のクリスマスのボストン・セルティックス戦を迎えた時点で、ニューヨーク・ニックスは16勝13敗と勝率5割を超える好成績だった。デリック・ローズ、ジョアキム・ノア、ブランドン・ジェニングスといったビッグネームを加えたチームは、地元を沸かせるだけの話題性を十分に持ち、まだ優勝が狙えるチームではなくとも、中位シードを獲得してのポストシーズン進出も有望視されていた。ところが――。

ケミストリー、ディフェンス力不足といった弱点を徐々に露呈し始めたニックスは、1月は5勝12敗、3月は5勝11敗と中盤以降は低迷。結局は今季も31勝51敗と惨敗し、これで4年連続でプレイオフを逃す結果となってしまった。

過去3年で合計166敗という低迷を抜け出せないチームは、シーズン途中から様々な不協和音が飛び出してくるようにもなった。ローズは1月9日のニューオーリンズ・ペリカンズ戦を“家庭の事情”で無断欠勤し、20万ドルの罰金処分。2月8日には元ニックスのチャールズ・オークリーがマディソン・スクエア・ガーデンでの試合中に警備員ともみ合って逮捕され、もともと不仲だったジェームズ・ドーラン・オーナーからアリーナへの出入り禁止を告げられた(のちにNBAが仲裁)。3月25日にはノアの薬物規定違反が発覚し、来季まで続く20試合の出場停止処分を受けた。そして何より、シーズン中からフィル・ジャクソン球団社長とエースのカーメロ・アンソニーの確執が表面化し、2人の関係がチーム最大のストーリーに発展してしまった。

「私たちは彼(カーメロ)とともに勝てていない。彼は他のチームでプレイするほうが活躍できる」。

シーズン終了後の会見でジャクソンがそうコメントしたことが大きなニュースになった。今後、オフの間は、チーム最大のスターであり続けてきたアンソニーが本当にトレードされるのかどうかが注目点になってしまいそうだ。

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文:杉浦大介  Twitter: @daisukesugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。