[杉浦大介コラム第59回]2016-17シーズン 6大注目ポイント:(4)MVP争い

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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優勝争いとは大きく異なり、今季のMVP争いは大混戦と言われる。過去2年連続でMVPに輝いたステフィン・カリーは今年も有力候補だが、ケビン・デュラントとチームメイトになったことで、彼らは平均得点、注目度、話題性、ひいては得票数も分け合うことが濃厚だ。“現役最強選手”の呼び声を欲しいままにするレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)は、近年はシーズンを通じてペース配分する傾向が見られる。カワイ・レナード(サンアントニオ・スパーズ)も候補の一人だが、控えめな性格に起因するインパクトの薄さが気になるところだ。

そんな状況下で、今季それぞれ爆発的な数字を残しそうなのが、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)とジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)の2人だ。今季は彼らにとってMVP初受賞の大きなチャンスかもしれない。

デュラントが移籍し、サンダーは完全にウェストブルックのチームになった。ほぼ全ポゼッションをコントロールすることになるであろうこの万能PGは、シーズン平均でトリプルダブルに近いとてつもないスタッツをマークするのではないか。

ロケッツからはドワイト・ハワードがアトランタ・ホークスへと去り、ハーデンへの比重が大きくなった。時を同じくして、“ラン&ガンの父”であるマイク・ダントーニがロケッツの新HCに就任。オフェンス偏重の新体制下で、ハーデンが例えば35点近い平均得点を叩きだして不思議はない。

所属チームが下位シードでもプレイオフ圏内に入ることが、2人がMVP候補になる絶対条件となる。2人が所属チームをある程度の順位に導くことができた場合、MVP争いにおいて彼らの卓越した個人技が一層の注目を集めることだろう。

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文:杉浦大介  Twitter: @daisukesugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。