プレイオフ敗退のクリッパーズが迫られる決断 ジョージ、ハーデン、ウェストブルックの去就は?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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ロサンゼルス・クリッパーズは期待したようになっていない。

2019年にポール・ジョージをトレードで獲得した時は、何度か優勝を競うことが期待された。だが、以降の彼らはカンファレンス・ファイナルに1回進出したのみにとどまっている。

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オーナーのスティーブ・バルマーは、このグループに引き続き投資していくのか。クリッパーズはすでにカワイ・レナードと延長契約を結んでいる。だが、ジョージの延長契約については保留することを選んだ。無限と思われた財布も空になり始めている。『Spotrac』によれば、今季のラグジュアリータックス(ぜいたく税)の支払いだけで推定1億4240万ドル(約217億8720万円/1ドル=153円換算)だ。

ジョージは新契約を求めるだろう。ジェームズ・ハーデンも同様だ。ラッセル・ウェストブルックも契約をオプトアウトし、さらなる大型契約を求めることができる。

ここでは、今後のクリッパーズの展望をまとめる。

ポール・ジョージはクリッパーズに残留するのか?

Bleacher Report』のエリック・ピンカス記者によれば、クリッパーズが何としてでもジョージをとどめるつもりなら、4年2億2110万ドル(約338億2830万円)のマックス契約を結んでいたはずだ。6月30日(日本時間7月1日)までは取引できる。

シーズン中にその契約を提示しなかったことは、ラグジュアリータックスの支払いが影響し始めたことを意味する。レナードは3年1億4970万ドル(約229億410万円)の契約を結んだ。クリッパーズはジョージも似たような金額にすることを狙っているのかもしれない。

今季のクリッパーズはエプロン(※例外条項などの制限を決定する基準額)を上回り、トレードや新選手との契約が制限されていた。もしもジョージをやほかの重要なフリーエージェント選手を残留させれば、再びエプロンを上回る。それは、厳しいラグジュアリータックスの支払いと、FA選手の契約やトレードの制限が再び厳しくなることを意味する。

ピンカス記者によると、ジョージが別のチームでマックス契約を目指すなら、4年2億1220万ドル(約324億6660万円)で契約できる。フィラデルフィア・76ersがすぐにオファーするかもしれない。

ジェームズ・ハーデンはどこへ?

その76ersからシーズン序盤に移籍したハーデンは、クリッパーズでの1年目で良いプレイをした。平均16.6得点だったが、平均8.5アシストを記録している。3ポイントショット成功率38.1%は、チーメイトにとって素晴らしいスペーシングをもたらした。

開幕前にトレードでハーデンを獲得可能だった時、関心はそれほど大きくなかった。FAを選んでも同じだろう。

この夏にハーデンを獲得できるだけのキャップスペースがあるチームのひとつは76ersで、リストから外れる。そのほかはデトロイト・ピストンズ、ユタ・ジャズ、オクラホマシティ・サンダー、オーランド・マジック、サンアントニオ・スパーズだ。ハーデンが素晴らしくフィットするチームはあるだろうか。

クリッパーズがジョージを残すなら、サイン&トレードという手もなくなる。最もシンプルなのは、より安価でハーデンが残留することだ。今季は年俸3570万ドル(約54億6210万円)だった。34歳となり、キャリアが残り数年なのは確かだ。来季年俸3200万ドル(約48億9600万円)といったところか。昨年夏にクリス・ミドルトンが結んだ3年1億200万ドル(約156億600万円)の延長契約あたりが妥当かもしれない。

(NBA Entertainment)

クリッパーズはラッセル・ウェストブルックを残留させるか?

ウェストブルックがクリッパーズでのプレイを楽しんだのは明らかだ。昨夏、彼は2年780万ドル(約11億9340万円)で2024-2025シーズンはプレイヤーオプションという、市場価値を下回る契約を結んでいる。

これだけ安価な契約となったのは、クリッパーズがウェストブルックのアーリーバード権を手にし、この夏にもっと多くを支払えるようにするためだった。

ウェストブルックが400万ドル(約6億1200万円)の契約をオプトアウトし、もっと高額の契約を目指す可能性は十分だ。アーリーバード例外条項を使うことで、クリッパーズは1年目年俸1100万ドル(約16億8300万円)まで出せる。プレイオフのパフォーマンスから、おそらくその額には達しないだろう。だが、プレイヤーオプション以上の価値はある。

トレードでハーデンが加入してから、ウェストブルックはベンチ降格も受け入れた。レギュラーシーズンはまずまずの出来で、シックスマン賞の投票で7位になっている。ショットの精度はプレイオフでさらに問題となったが、そのエネルギーでまだインパクトのあるプレイができる。

クリッパーズがFAでウェストブルック級の選手を加えるのは、非常に難しくなるだろう。キャップスペースがないのだ。再びエプロンを上回れば、ミニマム契約と、ドラフト全体46位で指名する選手との契約に制限される。

ほかにも、クリッパーズはFAに関して決断しなければいけない。メイソン・プラムリー、ブランドン・ボストンJr.、ムサ・ディアバテ、ダニエル・タイス、カイ・ジョーンズを残すのか。再びこのグループでいくなら、こういった選手たちをとどめるか、代わりに安価なミニマム契約選手を探さなければならない。

他の重要なローテーションプレイヤー(ノーマン・パウエル、イビツァ・ズバッツ、テレンス・マン、アミア・コフィー、ボーンズ・ハイランド)の大半とPJ・タッカーは、来季の契約が保証されている。予想外のトレードがない限り、大半は来季も同じグループが残るだろう。

原文:Clippers eliminated from playoffs: Paul George, James Harden, Russell Westbrook decisions loom large for LA(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。