ホークスの攻守の要として活躍するクリント・カペラ

K.L. Chouinard/Hawks.com

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セフォローシャはカペラのインスピレーション

2014年にアトランタ・ホークスが躍進を見せた時、チームにとって一番の変化だったのはNBA初のスイス生まれの選手をローテーションに加えたことだった。

前年にレギュラーシーズンを38勝で終え、プレイオフ1回戦でインディアナ・ペイサーズに敗れたホークスは、2014年の夏にベンチからのディフェンシブエースとしての活躍を期待して、タボ・セフォローシャと契約した。

チームにはすでにポール・ミルサップ、ジェフ・ティーグ、カイル・コーバー、デマーレイ・キャロルなどがいた。セフォローシャはペリメーターディフェンスが高く評価されており、どんな相手でも彼をつけることができたのだ。

セフォローシャとアル・ホーフォードの活躍もあって、ホークスのディフェンスは前年のリーグ15位(100ポゼッション平均105.7失点)からリーグ5位(同102.3)まで改善され、2014-15シーズンにはレギュラーシーズン60勝をマークした。

その8年前、セフォローシャがシカゴ・ブルズでNBAデビューを果たした時、クリント・カペラはスイスのジュネーヴに住む13歳の少年で、毎日地元の新聞でセフォローシャの活躍を追いかけていた。

今週セフォローシャがNBAからの引退を認めたことを受けて、カペラは自身のバスケットボールの夢が叶えられるものなのだという希望を与えてくれた憧れの存在について語った。

「NBAに行きたいという思いがあるなかで、僕が目指せる存在は彼しかいなかった。彼が僕のインスピレーションとなってくれたんだ。絶対に忘れない。彼は素晴らしい存在で、いつも素晴らしいアドバイスをくれていた。今でもそれは変わらない」。

カペラはセフォローシャのNBA最終シーズンで一緒にプレイする機会も得た。

「昨季、一緒にヒューストン(ロケッツ)でプレイしたことで、とても親しくなったんだ」とカペラは話す。

「(一緒に食事や遠征することがあったので)彼のことをよく知って、とても親しくなれた」。

シーズン中に複数チームが絡むトレードでカペラがホークスへ移籍したことで、両者がチームメイトとして過ごす期間は短く終わった。カペラはかかとのケガでトレード後は欠場が続いた。健康を取り戻した今、2020-21シーズンのホークスの躍進は、センターのカペラがインサイドで力強いプレイを続けてくれていることが大きな要因となっている。

ホークスは昨季のネットレーティングが30チーム中28位(100ポゼッション平均でマイナス7.1得点)だったのが、今季は10位(100ポゼッション平均でプラス1.7得点)まで上昇している。その成長の大きな理由のひとつが、ペイント内でのディフェンスだ。昨季はペイント内で、リーグ最下位となる1試合平均53.6失点を記録している。今季の平均48.4失点はリーグ中位に位置する。

ホークスのネイト・マクミラン・ヘッドコーチは、ディフェンスに加えてオフェンスでもカペラがスクリーンを使ってチームメイトをフリーにすることができることを称賛している。

カペラは複数の項目でリーグ上位にランクインしており、それこそが彼の影響力を物語っている。

  • 平均リバウンド:14.2(1位)
  • 平均オフェンシブリバウンド:4.8(1位)
  • 平均ブロック:2.3(3位)
  • ダンク数:116(3位)
  • フィールドゴール成功率:59.0%(10位)

ペリカンズのスタン・バンガンディHCもカペラのスキルを称賛している。

「このリーグでセンターを効果的にプレイする方法がいくつかある」と彼は語る。

「彼はピック&ロールのフィニッシャーでありオフェンシブリバウンダーでもある。それに加え、素晴らしいピック&ロール・ディフェンダーで、ショットブロッカーでもある。多くのことができる選手ではないが、やっていることはとても重要なことで、それを高いレベルでやっている。彼は間違いなくこのリーグのベストセンターのひとりだ」。

ディフェンスでチームを支えるセンターはNBAでも珍しくない。しかしディフェンスでチームを支えながら、オフェンスでも穴にならないセンターは稀有だ。カペラはまさにその後者に当たる。ハーフコートでのロールマンとリバウンダーという役割に加え、カペラはそのハッスルとスピードを使ってフルコートでも速攻のフィニッシャーとして活躍できる。

A地点からB地点まで相手よりも早く移動することができ、しかもホークスには、B地点にいつ到着するのかを熟知しているポイントガードのトレイ・ヤングがいるのだ。

要するに、カペラはほかに代えのきかない存在なのである。

マクミランHCは「(クリントは)ディフェンスで大きく貢献しているだけに、失うとロスターに大きな影響を与える存在だ」と述べている。

今季のフリースロー成功率は58.9%と、決して高くはないが、最近では13本連続で決めたこともあった。ルーキーシーズンは23本中4本しか決められなかったことを考えれば、大きな成長だろう。

そのルキーシーズンこそ、セフォローシャがホークスに加入して60勝を記録した2014-15シーズンだ。

セフォローシャは2009-10シーズンにNBAオールディフェンシブチームに選出されるほど、そのペリメーターディフェンスを評価されていた。もしカペラがホークスのインサイドをこのペースで守り続ければ、子供の頃に憧れていた選手の足跡をこのまま辿り続けることになるかもしれない。

原文:Clint Capela Has Steadied the Hawks in the Paint by K.L. Chouinard/Hawks.com


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