クリス・ポールのスパーズ移籍実現の可能性が低い理由

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今オフにロサンゼルス・クリッパーズとの契約最終年を破棄してフリーエージェントになることが濃厚なクリス・ポールが、サンアントニオ・スパーズに移籍する可能性があると報じられた。だが、簡単に実現する話ではない。

『ESPN』のマーク・スタイン記者によれば、クリッパーズはスター・ポイントガードをウェスタン・カンファレンスのライバルに奪われる可能性を危惧しているものの、現在スパーズのキャップスペース(年俸総額上限までの余裕)には、ポールを獲得できるだけの空きはないという。

今オフの時点でスパーズの年俸総額は9366万4962ドル(約104億2500万円)。現役を続けると見られるトニー・パーカーの来季年俸は1540万ドル(約17億1400万円)で、プレイヤーオプションを行使して残留する可能性が高いパウ・ガソルの来季年俸は1610万ドル(約17億9200万円)にのぼる。

予想される来季のチーム年俸総額の上限にあたるサラリーキャップ額は1億200万ドル(約133億5700万円)で、仮にスパーズがポールとマックス契約を結んだ場合の年俸分に相当する3570万ドル(約39億7300万円)程度の空きを作らなければならない。

キャップスペースに空きを生み出す上で最も簡単な方法は、ガソルがプレイヤーオプションを行使しないことなのだが、保証された1610万ドルもの年俸を簡単に手放す選手はいないだろう。

つまり、ガソルがオプションを行使して残留すると仮定すれば、トレードするほかに同選手の年俸分を削減する方法はないということだ。しかし、来季が契約最終年とはいえ、37歳のガソルにオーランド・マジック、ユタ・ジャズ、シカゴ・ブルズ、ミネソタ・ティンバーウルブズ、ロサンゼルス・レイカーズなどが関心を示すだろうか? スパーズが将来的なドラフト指名権を得られるのであれば成立するかもしれないが、実現の可能性は低い。

もしマヌ・ジノビリが現役を引退した場合でも、フリーエージェントになるパティ・ミルズとジョナソン・シモンズに関する決断が必要になる。

シモンズは制限付きFAのため、他チームからオファーを提示されても、スパーズにはマッチする(引き留める)権利がある。仮にポールが真剣にスパーズ移籍を考えているのであれば、グレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチはミルズの引き留めを諦め、ポイントガードの陣容をポール、パーカー、デジャンテ・マレーの3選手に改めるかもしれない。

ダニー・グリーンは、年俸1000万ドル(約11億1300万円)という契約を2年残しているため、ポールの年俸3570万ドルを作るには、ガソルとグリーンの放出は避けられない。

もしポールがクリッパーズと再契約する場合は、NBA史上最高額の5年2億1000万ドル(約233億7500万円)という条件での契約が可能だ。一方で、スパーズと契約する場合は4年1億5000万ドル(約166億9700万円)程度になる見込み。テキサス州は所得税を設けていないため、ポールがスパーズへの移籍を決断した場合に生じる6000万ドル(約66億7800万円)の差額の影響を多少は和らげられるかもしれない。

いずれにせよ、もしポポビッチHCが本気でポールの獲得に動くのであれば、人員整理が必要になるということだ。仮に32歳のポールを獲得するならば、今季のチームを支えたサポーティングキャストの大半が退団することになる。

原文:Los Angeles Clippers do not consider Chris Paul to Spurs a long shot by Ellis Williams/Sporting News


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