背景
1度目は興味深かった。2度目はスリル。3度目はリベンジとなった。だが、4度目は――? NBAにとっては、売り出しにくいだろう。だが、クリーブランド・キャバリアーズとゴールデンステイト・ウォリアーズは、4年連続となるNBAファイナルでの対戦に向けて準備している。
昨年は、ウォリアーズが第5戦でキャバリアーズを沈めた。昨年のウォリアーズはウェスタン・カンファレンスのプレイオフで12戦全勝を飾ったが、今年は5敗している。ヒューストン・ロケッツとのカンファレンス・ファイナルは第7戦までもつれ込んだ。
キャバリアーズは昨年、12勝1敗でファイナルに駒を進めた。だが、今年はインディアナ・ペイサーズとのファーストラウンド、そしてボストン・セルティックスとのカンファレンス・ファイナルと、2度にわたり第7戦まで戦っている。それでもファイナルの組み合わせは今年も同じとなったわけだが、少なくとも別の顔合わせに近づきもした。
ただ、組み合わせが決まり、今年のファイナルがどれほど違うものになるかは分からない。ウォリアーズの主軸となる選手たちは同じだ。昨年のファイナルでキャバリアーズはステフィン・カリーとクレイ・トンプソンをまずまず抑えたが、MVPを受賞したケビン・デュラントに平均35.2得点、フィールドゴール成功率55.6%、3ポイントショット成功率47.8%を許した。
キャバリアーズにとって朗報なのは、ファイナルを迎えるデュラントがそこまでの出来ではないことだ。今プレイオフでは1試合平均29.0得点をマークしているが、ポストシーズンに限ればFG成功率が47.9%、3P成功率が32.8%と“人間的”な成績だ。ロケッツとの第7戦ではFG21本中11本成功の34得点を記録したが、それまでの3試合ではFG成功率36.5%、3P成功率31.3%だった。
また、キャバリアーズを後押しするかもしれないのが、アンドレ・イグダーラが負傷で直近の4試合を欠場していることだ。過去3年間のファイナルで、イグダーラはウォリアーズのレブロン・ジェームズ対策で重要な存在だった選手である。
ただ、ジェームズにとって問題なのは、過去4年のキャバリアーズで今季が最悪のチームということかもしれない。昨年のファイナルで平均29.4得点を記録したカイリー・アービングが去り、キャバリアーズが加えてきたロールプレイヤーたちは、その多くが失敗に終わっている。
ロドニー・フッドはベンチに降格し、ジョーダン・クラークソンはプレイオフでFG成功率30.6%。ラリー・ナンスJr.がエネルギッシュなのはベンチからで、ジョージ・ヒルはずっとスターターだったが安定しなかった。
キャバリアーズはほとんどJR・スミスやカイル・コーバーといったベテランたちに頼ってきたのだ。だが、ポストシーズンで平均34.0得点をマークしたジェームズ以外からは、多くを得ることができなかった。ジェームズ以外で平均二桁得点をマークしたのは、脳しんとうでカンファレンス・ファイナル第7戦を欠場したケビン・ラブ(13.9得点)だけだ。
一方で、デュラントには周囲からの大きな助けがある。カリーはプレイオフで平均24.8得点を記録し、トンプソンは平均20.5得点、3P成功率42.6%をマークした。
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鍵を握るマッチアップ: ケビン・デュラント対レブロン・ジェームズ
ウォリアーズはイグダーラが不在かもしれないが、シーズン中にジェームズのマークに時間を割いたのはデュラントだった。77ポゼッションで許したのは11.5得点。デュラントがマークしたときのジェームズのFG成功率は50%だが、3P成功率は16.7%だった。
逆に、ジェームズがどれくらいデュラントをマークするかも興味深い。今季の両チームは2回対戦しているが、どちらの試合でもデュラントを主にマークしたのはジェイ・クラウダーだった。
そのクラウダーがいない今、ジェームズがその役割を担うのだろうか。レギュラーシーズンでジェームズがマークした20ポゼッションで、デュラントのFG成功率は66.7%だった。
キープレイヤー: ジョージ・ヒル
キャリアにおいてカリーとの対決で勝ったと言える選手は多くない。だが、ヒルがそこに近づいているのは確かだ。キャバリアーズがウォリアーズについていくには、ヒルがその数字を保てるかどうかによるかもしれない。
ヒルはカリーを相手に10勝4敗。平均13.1得点を記録している。カリーは平均19.0得点だが、彼はキャリア通算平均23.0得点の選手だ。また、ヒルはカリーとのショット対決で上回っている。FG成功率は48.4%、3P成功率は51.1%。カリーはFG成功率46.1%、3P成功率42.9%だ。
今回のファイナルでヒルがカリーを上回ったとしても、必ずしもキャバリアーズが勝つわけではない。ただ、それを目指すうえで大きな助けとなるだろう。
注目の数字: 4.3
勝負がタイトになったら、キャバリアーズにはチャンスがある。5点差以内で残り5分というクラッチタイムを迎えた時、キャバリアーズはポストシーズンで7勝1敗とほぼ無敵の強さを誇り、プレイオフ出場チームで最多となるプラスマイナス4.3を記録している。
一方、奇妙なことにウォリアーズはクラッチタイムで迫力を欠く。5試合で2勝3敗を記録し、FG成功率は26.3%、3P成功率は14.3%で、プラスマイナスはマイナス1.2だ。
もちろん、クラッチタイムを迎えられるように接戦を保つことがキャバリアーズにとって重要となる。ウォリアーズはプレイオフの12勝のうち、8試合で二桁点差をつけているのだ。
予想
ウォリアーズの才能はあまりに厚みがある。キャバリアーズはデュラントをスローダウンさせることができるかもしれないが、ウォリアーズにはほかにも多くの武器がある。長いシリーズにはならないはずだ。ウォリアーズが第5戦で優勝を決めるだろう。
原文: Cavs vs. Warriors: Preview, predictions for Part IV of NBA Finals saga by Sean Deveney/Sporting News(抄訳)
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