バブルでスターとなった選手たちは、プレイオフでも活躍を続けられるのか?

Matthew Blum/NBA Canada

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NBAバブル(隔離施設)では多くの選手たちが良いプレイを見せた。中には、我々の期待を上回った選手たちもいる。

そういった選手たちの一部は、プレイオフ進出に至らず、その勢いを続ける機会は来シーズンとなる。だが、この数週間のパフォーマンスが例外でないことを証明すべく、プレイオフですぐにチャンスを得られる選手たちもいる。

バブルに向かうまで見過ごされていたのか、あるいは単純に、このレベルで良いパフォーマンスを見せる機会がなかったのか。いずれにしても、これらの選手たちは、バブルでスターダムにのし上がるチャンスをつかんだ。

フレッド・バンブリート

Fred VanVleet Toronto Raptors

夏にスターとなるのは、フレッド・バンブリートにとって目新しいことではない。昨年のイースタン・カンファレンス・ファイナル中に息子の出産からチームに戻ってから、トロント・ラプターズが初優勝を飾る間に、彼はミルウォーキー・バックスやゴールデンステイト・ウォリアーズを苦しめた。

暑さは彼にぴったりなようだ。そして、今季もそれは同じである。

バンブリートはバブルにおけるラプターズのベストプレイヤーだ。1試合平均19.4得点、3ポイントショット成功率43.3%を記録。フリースロー試投数は1試合平均約6本で、6.8アシストをマークしている。

シーズンが停止するまでのバンブリートは、オールディフェンシブチームに選ばれるほどのパフォーマンスだったが、バブルではそれ以上だ。自分より小さいガードは抑え、数センチ大きくてミスマッチと考えるような選手たちも苦しめてきた。バブルでラプターズの守備は圧倒的に良かったが、その主な理由がバンブリートだ。

バブルでの成功は、大きなスタイルの変更による結果ではない。バンブリートはただ、シーズンを通じてうまくやってきたことをさらに大きなスケールへと広げたのだ。彼の向上ぶりは、このリストのほかの誰よりも持続的かもしれない。

シーズンがどうなろうと、バンブリートはラプターズの成功にとって重要な存在となった。

マイケル・ポーターJr.

Michael Porter Jr. Denver Nuggets

負傷が懸念されるまで、マイケル・ポーターJr.はトップ指名されるだけのポテンシャルがあると見られていた。ここまでのバブルでの彼は、そのような選手らしさを見せている。

ポーターJr.は理想的なウィングスコアラーとして求められる肉体的素質をすべて備えている。バブルではそれらの特徴をうまく生かし、1試合平均23.8得点、9.2リバウンドを記録。自身の得点記録トップ3は、いずれもバブルでの試合でマークしたものだ。

本当に驚きなのは、彼の効率だろう。フィールドゴール成功率は56.8%、3P成功率は46.3%。すでに有している攻撃の武器に、40%の3P成功率が加われば、1、2年でMVP候補にもなり得る。

ポーターJr.は今季のナゲッツですぐに主軸となった。スターの力を持つのは確かだ。バブルでの彼のプレイは、リーグでのナゲッツの株を高めた。

シュート成功率が落ちるのは避けられないだろう。だが、ジャマール・マレーとウィル・バートンが戦列に戻ったことで、相手守備の彼に対する注意は減るかもしれない。結果、ポーターJr.がショットを打つことも減るだろう。だが、彼が疑いないスターであることはバブルでの出来が証明した。

TJ・ウォーレン

T.J. Warren Indiana Pacers

どんな状況でも、6試合で平均31.0得点は見事だ。バブルでそれを成し遂げることにより、NBAの歴史において8月に最も得点した選手のひとりにもなる。

それが、TJ・ウォーレンだとは誰も思わなかった。オーランドに向かう前、インディアナ・ペイサーズはイースタン・カンファレンスのトップ5より一段落ちると見られていたチームだ。ドマンタス・サボニスが離脱したことで、その見方は強まった。それを変えたのが、この数週間で世界最高のスコアラーとなったウォーレンだ。

ウォーレンの成功の多くは、リングに向かうことから生まれた。制限区域から1試合平均6.7本のFGを放ち、70.0%を記録。それだけ多くの試投から70%超の成功率を記録しているのは、ほかにディアンドレ・ジョーダン、ルカ・ドンチッチ、ヤニス・アデトクンボだけだ。

キャリアを進めていくうちに、ウォーレンは3つのレベルすべてから脅威を与えるスコアラーにもなっていった。昨季と今季はいずれも3P成功率40%超だが、バブルでは1試合平均で7.0本の3Pを放ち、成功率52.4%を記録している。

バブルで素晴らしいスタートを切り、ウォーレンはスターとしての扱いを勝ち取った。メディアからも、対戦相手の守備という点でも、だ。

ウォーレンを抑えるのに成功したのは、フェニックス・サンズとマイアミ・ヒートだけだが、彼らはウォーレンをほかのスターウィングプレイヤーのように扱うことでそれを実現した。ジミー・バトラーやミケル・ブリッジズはエリートクラスのディフェンダーだが、どちらのチームもウォーレンを罠にはめ、悪い選択を強いるべく、ダブルチームで狙う素晴らしい仕事をしたのだ。

この数週間のウォーレンは見事で、相手チームの守備はスターとして彼を扱う必要があることを認識し始めた。バブルでウォーレンが対戦したほかの4チームと比べ、ヒートとサンズが彼を抑えるのに成功したやり方を考えると、ウォーレンのスター扱いはプレイオフでも続くと思われる。

ギャリー・トレントJr.

Gary Trent Jr. Portland Trail Blazers

シーズンが停止する前も、ギャリー・トレントJr.は優れた3Pシューターだった。時には素晴らしい出来だった。3Pの38.8%はスポットアップだが、必要な時はドリブルからも得点できた。今後10年でリーグを代表する偉大なシャープシューターになれることを垣間見せてきたが、これほどではなかった。

バブルでのトレントJr.は、1試合平均8.1本の3Pを放ち、52.6%を記録。2試合で7本、1試合で6本の3Pを成功させ、普段はセブンフッターにしか見られないような成功率をマークした。

彼とポートランド・トレイルブレイザーズにとって不運なのは、おそらくはこのリストで彼が最も後戻りする選手とみられることだ。この数週間はリーグで最も優れたスコアラーだった。だが、彼の成功のほとんどはショットによるものだ。バブルでの得点の75.6%は3Pによるもので、成功率はどこかで落ちるだろう。

ただ、その時が来ても、バブルでのここまでのシュートの出来は、コート上での彼の価値を大きく変えた。

今のトレントJr.はエリートクラスのシューターだ。現実なのか、そう感じるだけなのかにかかわらず、今の彼には相手の守備の重心を動かし、デイミアン・リラードやCJ・マッカラムのためにスペースを作る力がある。トレントJr.のシュート能力と、スペースを作る力があれば、もともと力のあるブレイザーズの攻撃は、より一層危険なものとなる。

原文:Can the bubble's breakout stars thrive in the playoffs? by Matthew Blum/NBA Canada(抄訳)


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