あっという間に、ラスベガスでのサマーリーグが終了した。
ビクター・ウェンバンヤマを巡る大変な熱とともに始まったサマーリーグは、クリーブランド・キャバリアーズの優勝で幕を閉じた。この間、魅力的なことがたくさん見受けられた。
最初の週末だけにとどまらずプレイを続けるにはもったいないほどの選手たち、初めてNBAの舞台に登場した新人たち、そして大会を通じて不振に終わった有望株たちもいた。
ラスベガス・サマーリーグの勝ち組
キャム・ウィットモア(ヒューストン・ロケッツ)
上位指名も予想されたウィットモアだが、メディカルリポートの影響で、ドラフト当日に指名順位がロケッツの全体20位まで落ちた。だが、すぐに今ドラフトの掘り出し物になり得ると確信した。最終的に全体4位指名を予想していたからだ。その順位でロケッツにぴったり合うと考えた。
そしてウィットモアはすぐに「ドラフトの掘り出し物」であることを証明した。ラスベガス・サマーリーグのMVPに輝いたのだ。
ビラノバ大学出身のウィットモアは、コートに立つたびに、爆発的な身体能力やフィジカル、エネルギッシュな守備を見せた。注目されたのは、ゴールデンステイト・ウォリアーズ戦。サマーリーグ記録タイとなる8スティールを記録し、26得点をあげている。
CAM WHITMORE 🚀
— Ballislife.com (@Ballislife) July 14, 2023
26 Points
8 STEALS!
5 Rebounds
3 Threes
52% Shooting
pic.twitter.com/ZCP7fEMuMC
彼はドリブルから自分でプレイをつくり、カットやトランジションからやすやすと得点をあげた。守備でも多才ぶりを披露し、何よりも全5試合に出場して健康そうだった。
ウィットモアは1試合平均19.3得点、5.2リバウンド、2.5スティール、1.8アシスト、フィールドゴール成功率44.7%を記録。3ポイントショットは成功率28.6%と改善の余地があるが、ロケッツはすでに彼の指名に好感触を得ているはずだ。
イマニ・ベイツ(クリーブランド・キャバリアーズ)
ベイツが初戦でどのチームメイトのFG試投数よりも多い3P試投を記録した時は、どうなることかと思ったものだ。
だが、ベイツはラスベガスでのその後のパフォーマンスで、筆者(とその他多くの人々)が間違っていたことを証明した。
ベイツは自分が最も得意とくすること、つまり得点をしっかりとあげた。FG成功率43.9%、3P成功率40.0%、フリースロー成功率100%で平均17.2得点を記録している。特に3Pは45本試投で18本成功させた。
ウィングで鋭いショットを決め、フロアを広げるのに役立てる選手を強く必要としていたキャバリアーズにおいて、ベイツは効果的なショット能力で貢献できるかもしれないことを証明したのである。
ベイツはオールサマーリーグ・セカンドチームに選出され、キャバリアーズの優勝に貢献した。全体49位指名だっただけに、キャバリアーズは成長が期待できる優れた選手を手にしたようだ。
オーランド・ロビンソンとヒートのドラフト指名外選手の歴史
NBAプレイオフ2023でドラフト指名外だった選手の活躍が話題となったマイアミ・ヒートだが、このラスベガス・サマーリーグでも次の宝石を見つけたかもしれない。2022年のドラフトで指名外だったフレズノステイト大学出身の7フィート(約213センチ)のセンター、ロビンソンのことだ。今サマーリーグで有数の有望株だった。
1試合平均25.8得点は、2試合超に出場した選手の中で最多の数字だ。また、平均9.3リバウンド、3.8アシスト、1.5スティールも記録し、フロアを広げる潜在能力や、成功率35.3%で平均1.5本の3Pを沈める力を示した。
ボストン・セルティックス戦では36得点、11リバウンドとダブルダブル達成の活躍。ポートランド・トレイルブレイザーズとの最後の試合でも、27得点、9リバウンド、6アシスト、3スティール、1ブロックと爆発している。
23歳のロビンソンは昨季、ヒートと2ウェイ契約を結び、31試合に出場した。だが、本契約に更新され、その後オールサマーリーグ・ファーストチームに選ばれている。NBAファイナルではヒートのフロントコートの層が弱点となっただけに、ロビンソンには新シーズンで本格的に出場時間を競う大きなチャンスがあるだろう。
ラスベガス・サマーリーグの負け組
不振だったルーキーたち
サマーリーグは新人の1年目やキャリアがどうなっていくかを示すものではない。だが、ラスベガスでもっと多くを期待していた有望株たちもいた。
ウォリアーズのブランディン・ポジェムスキーは、NBAドラフト2023でトレンディーな名前となっていた。ペリメーターからのショットやプレイメーク、ガードとしてはエリートクラスのリバウンドの能力から、2巡目指名予想だったのが全体19位指名されたのだ。
だが、サマーリーグではスコアラーとしてインパクトを残すことができず。平均8.6得点、3P成功率21.7%にとどまった。ただ、ほかの点では強みを発揮し、平均6.8リバウンド、6.0アシストも記録している。
オクラホマシティ・サンダーのケイソン・ウォレスは、3P10本中6本成功と力強いサマーリーグデビューを飾ったが、その後はすぐに調子を落としていった。最後の4試合は3P21本中6本成功で、アシスト(13)よりターンオーバー(14)のほうが多かったほどだ。ルーキーシーズンは控えガードとして出場時間を競うはずだが、ラスベガスではもっと活躍すると予想していた。
ロサンゼルス・レイカーズのジェイレン・フッド・シフィーノは、NBAドラフト2023組で筆者の個人的なお気に入りの有望株のひとりだった。ただ、この20歳が成長するのに時間が必要なことは明らかだった。カリフォルニア・クラシックとラスベガスでのサマーリーグでもそれが示され、FG成功率は34.0%、3P成功率は21.7%。ショットの安定度やシュートセレクション、リム付近でのフィニッシュなど、ドラフト前からの弱点にまだ取り組む必要があるのは明白だ。
落胆させられた2年目選手たち
ジャバリ・スミスJr.のように、サマーリーグに出場する必要がないことを証明した2年目選手たちもいた一方で、なかなか活躍できなかった選手たちもいる。2年目により大きな役割を担うチャンスがあり、一歩前進を期待していたものの、それができなかった選手たちがいたのだ。
ヒートはデイミアン・リラードを求める中で、ニコラ・ヨビッチがもっと活躍し、トレード価値を高めることを願っていただろう。だが、ラスベガスでの2試合で、ヨビッチはFG成功率20.0%、3P6本中0本成功の平均8.5得点にとどまった。
昨季、アトランタ・ホークスであまり安定して出場機会を得られなかったAJ・グリフィンだが、サマーリーグでは大注目の選手と思っていた。彼のシャープなショット力は、ホークスが強く必要としているペリメーターでのスペーシングをもたらせるはずだ。しかし、2試合で3P成功率30.8%の平均9.0得点という数字だった。
最後に、ウェンバンヤマが注目を引きつける中で、ブレイク・ウェスリーには層の薄いサンアントニオ・スパーズのバックコートで一定の出場時間を得るにふさわしいことを証明するチャンスがあった。しかし、ラスベガスであhFG成功率31.0%、3P成功率21.4%、FT成功率63.2%の平均12.8得点、3.0アシストという記録にとどまっている。成長のための時間がもっと必要なのは明らかだ。