ケイトリン・クラークとアレン・アイバーソンにはいくつか共通点がある。どちらも身長は183cm、どちらもガード、そしてどちらもどんな相手でも得点ができる。歴史的な記録でも繋がりがある。クラークは大学で30試合連続で20得点以上、5アシスト以上を達成し、アイバーソンが持っていた29試合連続という記録を破っているのだ。
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そう考えれば、クラークがアイバーソンが20年以上前に生み出したプレイを使って活躍しているのも不思議ではないのかもしれない。インディアナ・フィーバーの対戦相手が守るのに苦戦しているプレイを紹介しよう。
ケイトリン・クラークとアイバーソン・リッキー
プレーの説明
特に試合が止まったときなどに、フィーバーはクラークのために『Iverson Ricky(アイバーソン・リッキー)』というプレーを起用している。そこから生まれる得点も多く、チームの得意プレーのひとつとなっている。
それでは"Iverson"と"Ricky"がそれぞれどういう意味で、なぜクラークが上手く使えているのかを解説しよう。
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解説
アイバーソンは現役時、リーグで最も速い選手のひとりだった。彼の手にボールが渡らないよう、ディフェンスはベッタリとくっついて守っていた。パスを受けるスペースを生み出すために、彼はアイバーソン・カットというものを編み出す。両エルボー付近にいる2選手からスクリーンをかけてもらい、フリーになるというプレイだ。
2枚のスクリーンを使うことで、クラークはコートの片側を利用する自由が与えられ、ヘルプディフェンダーを何人か引き剥がすことができるのでパスもキャッチがしやすくなる。それもあって、アイバーソン・カットはNBAやWNBAの多くのスターペリメーター選手が愛用するプレイとなっていった。
2枚のスクリーンを使って、リングに向かって切り込むことで、フリーでのレイアップやジャンプショットを生み出すことをファーストオプションとしているのがアイバーソン・カットだ。フィーバーはケルシー・ミッチェルともこのプレイをよく使っている。
クラークの場合、さらに少し変化を加えている。クラークはリングに向かって切り込み、まずレイアップを狙っていると見せかける。
ディフェンダーの最初の仕事は、その飛び込みをさせないことだ。ミネソタ・リンクスのブリジェット・カールトンはこの場面で上手くそれをやれている。クラークとボールの間にしっかりとポジションを取り、リング付近でパスを受けられないようにしているのだ。ここでフィーバーは、このプレイに"Ricky"要素を追加してくる。
"Ricky"はリスクリーン(再スクリーン)の別名だ。クラークがアイバーソン・カットでアリヤ・ボストンののスクリーンを使った直後、ボストンは逆方向へのスクリーンをかける(リスクリーン又は"Ricky")。これによってクラークがフリーになるのだ。
このリスクリーンで、クラークとディフェンダーの間に大きなスペースが生まれ、スピードに乗った状態でパスをキャッチすることが可能となる。これだけのスペースを与えられれば、あとはクラークの自由だ。フィーバーはこのプレイを使って、彼女のレイアップや3ポイントショットを多く生み出している。
クラークをベッタリと守りパスを受けさせないようにしているディフェンスに対して、リスクリーンはとても有効な技だ。この守り方は多大な労力を要する。最初の飛び込みを阻止したディフェンダーが仕事を終えたと思い込み、一瞬だけ気を抜いてしまうのは自然な反応だ。ディフェンダーが0.25秒ほどガードを下ろしたその瞬間に、リスクリーンがやってくる。クラークのような優れた選手には、そのわずかな隙があれば十分なのだ。常に動き回るクラークのプレイは、試合中のすべての瞬間で彼女を止めるという選択が困難となる。
アイバーソン・リッキーはあらゆるリーグで愛用されるプレイになり始めている。ファンから多くの批判を受けることもあるフィーバーのクリスティー・サイズ・ヘッドコーチだが、クラークに多くのスペースを与えるために賢い起用方法をしている。
Video Playbook - "Iverson Backscreen/Rescreen"
— Greg Youncofski (@_CoachGY) January 29, 2016
Starting to see this in both the pros and college pic.twitter.com/JrXR07vCwu
ここ数十年でバスケットボールは大きく変化したことは確かだが、現代のスター選手でも過去に生み出されたプレイを使って活躍することは可能だ。クラークを始めとした多くのトップ選手たちが、今でもアイバーソンのプレイを自分たちのレパートリーに加え続けているのだ。
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