【プレイイン・トーナメント展望】 ブルズ対ヒート

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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イースタン・カンファレンスのプレイオフ最後の1枠は、マイアミ・ヒートとシカゴ・ブルズの再戦によって決まることになった。

昨年のプレイイン・トーナメントでは、ブルズが終盤までリードした。だが、それからジミー・バトラーとマックス・ストゥルースが活躍。それぞれ31得点をあげ、ヒートが102-91で勝利し、第8シードを手に入れると、そのままNBAファイナルまで勝ち進んだ。

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今季、両チームの選手は多くが変わっている。昨季の対戦時から変わらず先発出場すると見られているのは4人だけだ(アレックス・カルーソが足首のケガを乗り越えられれば5人)。結果は昨季と同じになるのか、それとも違うものとなるのだろうか。

ここでは、4月19日(日本時間20日)に行われる生き残りをかけた一戦についてまとめる。

ブルズ対ヒートの予想

今季の対戦で両チームは2勝2敗と五分の成績。4試合のうち3試合は一桁点差の接戦だった。興味深いことに、バック・トゥ・バック(2日連続試合)が2回で、4試合ともレギュラーシーズンの典型的な試合以上に修正が可能な、プレイオフのような対戦だった。

今季の初顔合わせで、ブルズは1-22というビハインドから巻き返している。いつものように勝負どころで強い選手の活躍で終盤に試合をものにした。2日後の試合では、ヒートが12-2と先手を取ってからリードを保ち、118-100で勝利している。

この2試合が、プレイイン・トーナメントでの対戦に向けて示唆することはあまりない。ブルズはザック・ラビーンがいてまったく異なるチームだった。ヒートはカイル・ラウリーとバトラーがいたが、プレイイン・トーナメントは両選手とも欠場予定だ。タイラー・ヒーローはレギュラーシーズンの4試合をいずれも欠場している。プレイイン・トーナメントでは、彼がキープレイヤーとなるはずだ。

12月の2試合からは、もう少し得られる情報がある。最初の対戦は、ブルズが開始9分間で33-8とリードし、そのまま白星をあげた。2日後の試合では、終盤にバトラーの決勝点でヒートにリベンジを許している。

ブルズとヒートはお互いに信じられないほど不安定だ。それはおそらく、どちらも得点をあげることに苦しむことがあるからだろう。

この両チームの試合では、どんな点差も安全ではない。昨季のプレイイン・トーナメントでの対戦も、ヒートが終盤に15-1のランで逆転勝利を収めている。

今季のプレイイン・トーナメントでの対戦も、第4クォーターで接戦になると予想する。この2チームは互角だからだ。

ヒートはバトラーという、最も勝負どころで強い選手を欠く。一方、ブルズにはクラッチタイムでリーグ有数のデマー・デローザンがいる。それだけの理由から、今回はブルズ有利と見る。

予想:ブルズ勝利

DeMar DeRozan
(Getty Images)

ブルズ対ヒートの注目マッチアップ・戦略

ヒートはジミー・バトラー不在で十分な攻撃力を出せるか?

レギュラーシーズンでブルズと対戦した4試合すべてで、ヒートのプレイの多くはバトラーを通じてのものだった。特にコービー・ホワイトをターゲットにし、ミスマッチを狙ったのだ。バトラーはポストで活躍し、ブルズにダブルチームをさせた。平均22.3得点、4.3アシスト、フィールドゴール成功率45.0%を記録している。

そのバトラーがいないことで、ヒートは優位をつくるのに苦しむだろう。その攻撃を補う上で重要となるのが、ダンカン・ロビンソンの状態だ。

エリック・スポールストラ・ヘッドコーチは、誰が起用可能かにかかわらず、素晴らしいゲームプランをつくり上げることをこれまで何度も示してきた。ヒートはスクリーンとパスが優れたチームで、コートを飛び回るシューターたちをそろえている。その点は変わらない。

ヒートの攻撃でハブとして多くをこなすことになるのは、バム・アデバヨだ。エルボーでもトップからでもパサーとして優れ、ドリブルからの脅威もある。レギュラーシーズンのブルズとの対戦で平均5.5アシストはチーム最多だ。

ハイメ・ハケスJr.のタッチ数も増えるだろう。非常にスキルのあるスコアラーで、クリスマスデーの試合では、バトラー不在の中で31得点をあげた。彼のポストムーブは見ていて楽しい。

また、ヒートはヒーローが17日(同18日)のフィラデルフィア・76ers戦以上に活躍することを必要とするだろう。76ers戦ではFG27本中9本成功と極めて効率が悪く、守備では繰り返し標的とされた。低調なパフォーマンスの一因がケガで、復調に取り組んでいるところだ。

ヒートは必ずしも得点を量産する必要がない。おそらく、ゾーンディフェンスで可能な限り、試合を混乱させようとするはずだからだ。

ブルズはヒートのゾーンを崩せるか?

そのヒートのゾーンは、もう何年も彼らの切り札となっている。相手チームを不振に陥らせる、破壊的な武器だ。76ers戦の前半も、なぜか手放すことを選ぶまではそうだった。

ゾーンに対する今季のブルズの出来は、どのデータを見るかによって、素晴らしかったのか、平均をやや下回ったのかが分かれる。『Second Spectrum』によると、ゾーン相手のオフェンシブレーティング(126.9)はリーグ4位だ。だが、『Synergy』では21位(100.8)となっている。

言い換えれば、ブルズが実際に良いかどうかは不透明ということだ。ただ、ゾーン相手にひどかったわけでないことは確かだろう。

ゾーンを崩すための良い方法のひとつは、リムにプレッシャーをかけることだ。ブルズにはデローザン、そしてホワイトと、それをうまく実践できる武器がある。今季のヒート戦で、両選手はそれぞれ平均22.0得点、20.5得点と活躍してきた。

ゾーンを崩すもうひとつの古典的なテクニックは、フロア中央にボールを入れて崩すことだ。デローザンはそこからのショットを決められる。

ニコラ・ブーチェビッチもゾーン崩しの役割でうまく貢献できるだろう。フリースローライン付近で彼にボールを持たせることができれば、非常に危険な存在となる。

ブルズはいかにしてヒートに勝つか

ホワイトは17日(同18日)のアトランタ・ホークス戦で自己最多の42得点と大活躍だった。ホークスの悪い守備を相手に、好きなようにリムにたどり着いていた。彼がリーグ5位とより厳しい相手のヒートとの試合でも同じパフォーマンスを再現できれば、ブルズはこの一戦をものにするだろう。

また、デローザンもヒーローのような活躍を繰り返す必要がある。ラウリーをトレードし、バトラーを負傷で失い、守備でチーム最高の選択肢だった2人を欠くヒートは、おそらくケイレブ・マーティンをあててくるだろう。非常に才能あるディフェンダーであるヘイウッド・ハイスミスにも注意だ。だが、デローザンがハケスJr.に仕掛け、新人にファウルをさせれば、ブルズにとって大きな後押しとなる。

カルーソの健康状態は非常に重要となるだろう。コートに彼がいると、ブルズは異なるチームになるからだ。彼の守備はゲームチェンジャーであり、いつも終盤にベストプレイを引き出せるかのようだ。

ヒートはいかにしてブルズに勝つか

ヒートを軽んじることは決してできない。ケガに見舞われ、チームのベストプレイヤーを欠いても、それが問題にならないかもしれない。スポールストラHCは常に道を見つけるのだ。

ブルズがヒートのゾーンに対して決定的な仕事をできなければ、やられることになる。とても素早く読んでいく必要がある。そうでなければ、ここ数シーズンの多くの他チームと同じように、ブルズはヒートによる犠牲者となるだろう。

ケガに見舞われているにもかかわらず、ヒートはまだ優れた戦力を持つ。マーティンは昨季のプレイオフでヒーローとなった選手だ。いくつかのラウンドではチームMVP級の活躍だったかもしれない。そしてロビンソンも出場できれば、ヒートにはブルズの守備を苦しめるシューターたちがそろう。ブルズはリーグで最も多くの3Pを許しているのが大きな弱点だ。

そしてまた、ブルズはデトロイト・ピストンズやメンフィス・グリズリーズ、トロント・ラプターズなど、リーグ下位の成績だった一部に負けているチームだ。レギュラーシーズンの成績で、ヒートはブルズより白星が7つ多い。そしてヒートにはホームコートアドバンテージもある。

原文:Bulls vs. Heat prediction, odds, injury report, TV channel, key matchups for 2024 NBA Play-In Tournament game(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。