バディー・ヒールド獲得報道のウォリアーズは新たなクレイ・トンプソンを見つけたのか?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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クレイ・トンプソンがサイン&トレードでダラス・マーベリックスに向かうことになり、ゴールデンステイト・ウォリアーズは平均17.9得点を記録したトンプソンの穴を埋める必要がある。そのウォリアーズは7月4日(日本時間5日)、やはりサイン&トレードでフィラデルフィア・76ersからバディー・ヒールドを獲得すると報じられた。『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者によれば、ウォリアーズが手放すのはドラフト2巡目指名権ひとつだ。

トンプソンのレガシィ(遺産)はかえのきかないものだ。しかし、彼が明らかに下り坂だったことも真実である。ウォリアーズはひっそりとディアンソニー・メルトン、カイル・アンダーソンを獲得したのに加え、ヒールドというトンプソンよりも若い選手を手に入れた。彼らは来季、ウォリアーズをより良いチームとするはずだ。

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ここでは、彼らがウォリアーズにとって完璧なフィットになる理由をまとめる。

バディー・ヒールドはクレイ・トンプソンの代役になれるのか?

ヒールドはインディアナ・ペイサーズで常に質の高いスターターだった。2シーズン半で平均15.4得点をあげ、3ポイントショット成功率40.2%を記録している。だが、76ersでは同じような勢いに乗れなかった。レギュラーシーズンで平均12.2得点と数字が落ちている。プレイオフでは役割が大きく減少した。それでも、ニューヨーク・ニックスとのファーストラウンドでは、敗退がかかったエリミネーションゲームで20得点をあげ、76ersを最後まで競わせている。

ヒールドのプレイで変わらないのは、多くの3Pを放つ方法を常に見つけることだ。昨季の100ポゼッションあたりの3P試投は平均12.6本とリーグ12位。トンプソンの14.7本をわずかに下回る数字だ(ステフィン・カリーはリーグ最多の17.5本)。ここ5シーズン連続で、ヒールドは常にリーグのトップ15入りを果たしている。通算3P成功率は40%。彼が所属するチームは素晴らしいショットを手にすることになる。

単純に3Pを放ち、決めるというだけではない。ウォリアーズでトンプソンが危険な存在となったのは、動きからのショット力が理由だ。昨季もプルアップからの3Pは成功率41.4%と素晴らしかった。ヒールドは昨季30.2%と、この点でトンプソンに遠く及ばない。ただ、2022-2023シーズンは43.8%という成功率をマークしている。

NBAアナリストのジョー・ビライ記者が指摘したように、ヒールドがキャリアを通じて用いてきたムーブメントは、ウォリアーズでも直接使えるはずだ。

また、トンプソンは積極的なカッターでもあった。ヒールドはそれほどカットをしない。だが、フィニッシュの確率は優れている。

どちらの選手も守備は高く評価されていない。トンプソンはかつてオールディフェンシブ級のタレントだったが、近年はよりスピードのあるガードを相手に踏みとどまるのに苦しんできた。ヒールドは守備の弱さから、キャリアを通じて役割に変動があったほどだ。

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Getty Images

クレイ・トンプソンの真の代役はディアンソニー・メルトン?

メルトンはトンプソンやヒールドほどのビッグネームではないが、この3人でベストかもしれない。攻守両面で素晴らしく、ボールを追う本能を持ち、相手の攻撃の起点を厳しく守る。クリエイターとして長けているわけではなく、リムでのフィニッシュも下回るが、3P成功率はここ4シーズンで38.3%と信頼できるようになった。トンプソンやヒールドほどショットが万能なタイプではないが、オープンなショットを沈められる。

ウォリアーズは1年1280万ドル(約20億6080万円/1ドル=161円換算)というお買い得価格でメルトンを手に入れることができた。もっと高額なラインの選手だったが、昨季は腰のケガに制限されたのだ。2シーズン前の調子を取り戻せれば、ウォリアーズにとって素晴らしい戦力になるだろう。メルトンは賢い選手で、スティーブ・カー・ヘッドコーチのシステムにもうまくフィットする。

メルトンはトンプソンのようなショットを持つわけではない。だが、ほかにもっと重要なことをこなす。素晴らしいヘルプディフェンダーであり、リバウンダーとしてもトンプソンを上回る。ペリメーターでやられることも減るだろう。そして彼のショットセレクションは良くなるはずだ。

カイル・アンダーソンはウォリアーズに完璧にフィット

ウォリアーズのシステムでプレイするには、非常に特殊なタイプの選手でなければならない。

アンダーソンはNBA有数の賢い選手であり、優れたパサーだ。攻撃の流れの中でうまくスクリーンをかける。カリーが良いかたちでショットを打つのに役立つだろう。また、アンダーソンは多才なディフェンダーでもあり、ウォリアーズの守備を向上させるはずだ。

ウォリアーズのトランジション攻撃には貢献できないだろう。アンダーソンはリーグで最もスローな選手のひとりだ。また、ペリメーターからのショットも通算成功率33.8%だ。それでも、ウォリアーズは彼のそういった弱点を隠すのに理想的なチームだ。そして平均年俸900万ドル(約14億4900万円)は、優れたローテーションプレイヤーのサラリーとしてはお買い得だろう。

トンプソンを失うのは痛手だ。しかし、昨季の彼が金額に見合わなくなっていたのも現実である。ウォリアーズが代わりに加えた3人の新選手は、チームを向上させるだろう。そしてトンプソン自身も、ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングのパスからシンプルにキャッチ&シュートが可能となるマーベリックスでより良い役割を担うことができるはずだ。

原文:Buddy Hield Warriors sign-and-trade: Has Golden State found its new Klay Thompson?(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。