8月下旬からオーランドのディズニー・ワールド・リゾートで再開されたNBAの2019-20シーズンは、ロサンゼルス・レイカーズの優勝で幕を閉じた。
無観客という特殊な環境で行なわれた『バブル』での再開シーズンで本物のスターダムに上りつめた選手を、NBA.comのライター陣がそれぞれ選んだ。
スティーブ・アシュバーナー
ジャマール・マレー。昨季のプレイオフが始まるまで、マレーはデンバー・ナゲッツのスター選手になれるポテンシャルを秘めていた。将来的に得点王のタイトルを狙える力があるとも見られていた。バブルではスロースタートだったが、ユタ・ジャズと対戦したファーストラウンドでドノバン・ミッチェルと激しいバトルを繰り広げたマレーのシリーズ2試合で50得点超えを果たす大活躍などで、ナゲッツは1勝3敗から大逆転勝利。
ロサンゼルス・クリッパーズと対戦したカンファレンス準決勝では、カワイ・レナードだけではなく、ポール・ジョージをも凌ぐパフォーマンスを披露し、再び1勝3敗から大逆転勝利を収めた。そしてロサンゼルス・レイカーズとのカンファレンス決勝でも平均25得点、フィールドゴール成功率52%という数字を残した。2018-19レギュラーシーズンでの平均得点(18.2)から2019年のプレイオフではプラス3.1得点増(21.3)だったのに対して、2019-20シーズンはレギュラーシーズンでの18.5得点からプレイオフで26.5得点に上昇するなど、来シーズンのマレーにかかる期待は大きなものになる。
ショーン・パウエル
ジミー・バトラー、ドノバン・ミッチェル、ルカ・ドンチッチも素晴らしかったが、一人を挙げるならばジャマール・マレーだ。彼は、その強力なオフェンス能力を証明したからだ。ナゲッツが待ち望んでいたマレーの覚醒が、突如として、しかし素晴らしい形で現実のものになった。ロングレンジからのショット、ミッドレンジからの得点、リムへのアタック、相手チームがダブルチームで止めにくるなど、対戦相手が彼に表した敬意は本物だ。
守備のレベルアップは求められるにしても、来シーズン前のMVP予想ではマレーの名前も挙げられるだろう。そしてレブロン・ジェームズも、周囲の期待に応え続けた。ファイナルMVPを受賞した彼にとっては朝飯前だったのかもしれないが、バブルでのMVP候補(マレー、デイミアン・リラード)を上回る活躍だった。
ジョン・シューマン
ジャマール・マレーは、オフ・ザ・ドリブルのプレイで脅威になれることを証明した。ニコラ・ヨキッチ(25歳)、マレー(23歳)、マイケル・ポーターJr.(22歳)はそれぞれに足りない部分を補い合える存在で、ナゲッツは今後数年リーグトップ5のオフェンスを展開できるだろう。
マレーと比べるとインパクトは弱まるものの、ドノバン・ミッチェルの活躍も目覚しかった。彼の才能は申し分なかったが、これまではプレイの効率性に疑問を持たれていた。それがプレイオフになると、エフェクティブFG成功率61.9%を記録。これは、プレイオフ期間中に最低でも50本以上のFG試投数を記録した23選手の中で最高の数字だった。またミッチェルは、フリースロー試投数8.3本で、成功率が95%と高かった。このペースを維持することはできないまでも、ミッチェルはオフ・ザ・ドリブルからのプレイ、フリースローを獲得する技術をレベルアップさせている。それに、彼はまだ23歳と若い。
セクー・スミス
バブルでの再開前に話題に上っていたかは知らないが、ジャマール・マレー以上に評価を高めた選手はいない。ジャズとのファーストラウンドでスコアラーとして台頭すると、クリッパーズとのカンファレンス準決勝では大逆転勝利の立役者となり、レイカーズとのカンファレンス決勝で完全に覚醒した。マレーの才能は以前から知られていたが、これまでプレイオフで結果を残してきたとは言えなかった。ニコラ・ヨキッチはスター選手に成長し、オールNBAファーストチームに選出されている。マレーの急成長、マイケル・ポーターJr.やボル・ボルという才能の持ち主がいるナゲッツは、今後優勝争いを面白くする存在になるだろう。今年のプレイオフで得た自信によりマレーがどう変わるかはわからない。だが、来季のナゲッツは楽しみだ。
マイケル・C・ライト
正直に言えば、彼はバブル以前からスター選手だった。しかし、プレイオフでジャマール・マレーが見せたパフォーマンスにより、今後ナゲッツが優勝争いに加わるチームであることが証明された。キャリア2度目のプレイオフで単一シリーズで2度の50得点超えをやってのけ、ジャズとの第6戦前には社会問題に対する強いメッセージを発信し、クリッパーズとのカンファレンス準決勝 第7戦でも40得点を記録した。レイカーズとのカンファレンス決勝では負傷に苦しんだが、マレーがいなかったらナゲッツはここまで勝ち上がれていなかった。
原文:Bubble Wrap: Who became a legit star in the bubble? by NBA.com(抄訳)