ブルック・ロペス来日インタビュー「チームメイトに欲しいのは桜木だ」(大西玲央)

大西玲央 Reo Onishi

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――WOWOWのテレビ出演はどうだったか

とても楽しかったよ。一つ驚いたのが、みんなとてもNBAに詳しかったことだ。とても賢い。

―― 3年連続同一カードとなったNBAファイナルの見どころ

やはりこの両チームを3年連続ファイナルで見られること、そして両チームの間に因縁があるのがわかっていることだね。去年のファイナルで負けたあとのステフ(ステフィン・カリー)の表情が印象的だった。そしてレブロン(ジェームズ)たちも最初の年に負けたときに悔しがっていた。どちらのチームも勝ちと負けを経験しているだけに、両チームとも今年は何が何でも勝つぞっていう気持ちでプレイするだろう。

――両チームの強みと弱み

キャブズの強みは当然レブロンとカイリー(アービング)だけど、チームバスケットができていることも大きい。レブロンはボールをシェアして周りの選手を引き立てることができる。それによってチームの結束力が強くなっている。

ウォリアーズの強みはやはりあの強力なオフェンスだ。KD(ケビン・デュラント)、ステフ、クレイ(トンプソン)、ドレイモンド(グリーン)に加えて控えも充実していて、あらゆる方法で得点することができる。

両チームとも弱みを探すのは難しいけど、どちらもフォワードとガードからはしっかりとしたプレイが見られることは間違いない。それだけに、どっちのチームのビッグマンが攻守でステップアップするかが重要になってくると思う。

――今年はどっちが勝つ?

難しいね。きっと7戦までもつれると思うけど、その日によって予想が変わるくらい想像がつかない。今の段階ではウォリアーズが第7戦で勝つと思っている。

Brook Lopez

――今年のネッツのシーズンについて

確かに苦しいシーズンだったよ。勝敗だけ見ると、満足のいくものではなかった。しかしロスターの1から15人目まで、そしてコーチも含めて全員が大きく成長したことがとても重要だと感じている。若い選手はもちろん、ベテランや自分も含めて、チームとして成長することができた。このリーグで勝つのに何が必要か学ぶことができた。

――自身の強み

常に成長して上手くなり続けようという意思かな。そしてチームが必要としていることや、バスケットボールというスポーツの進化に順応できることだ。とにかくジムに行って練習し続けることで、それらを達成することができるんだ。

――ライバルは誰か(双子の弟のロビン・ロペス以外)

ロビンは間違いないけど、誰か一人を選ぶのは難しいな。でもチームとしてはニックスとのライバル関係が大好きだ。マディソン・スクエア・ガーデンだろうとバークレイズ・センターだろうと、ニックスと対戦するときはいつも盛り上がるし楽しいね。両チームとも絶対ここには負けないぞっていう気持ちでプレイしていて、ファンもそれを楽しんでいる。

――来季の目標

今年築き上げた基盤をもとに、とにかくチームとしての成長を続けることだ。しっかりと練習してお互いのためにプレイすることを続けていれば、我々の可能性は無限だと信じている。

――個人の目標

チームのリーダーとして成長していきたいと思っている。

Brook Lopez

――日本とのつながり。最初に来たのは何年前?

8年前。

――ディズニーランドがきっかけ?

そうそう、小さい頃から兄弟で大のディズニーファンだったんだ。LAで育ったのでいつもディズニーランドに行っていた。なのでNBA入りしてから、世界中のディズニーランドに行きたいねってことになって、日本のディズニーランドが一番のお気に入りになったんだ。

それから街を探索しに行ってその文化や人々が大好きになった。みんなとてもウェルカムだし、食事も最高に美味しいし、街も美しい。日本に来ることが大好きになったんだ。

――『スラムダンク』やジブリ作品の魅力

もともとアニメの大ファンだったんだ。それでまずジブリ映画を見始めて大好きになった。『トトロ』『ラピュタ』『猫の恩返し』…全部名前をあげたいくらいだ。観ているのが楽しくて本当に大好きになっていったので、ほかの日本のアニメ作品も見てみようってなった。そこで『スラムダンク』を見つけて、バスケットボール漫画なので親近感を持ったんだ。題材がバスケットボールだったからというだけではなく、漫画としても素晴らしいものだと感じた。

――スラムダンクのキャラとして登場したら誰と対戦したいか

まず自分は桜木に見た目が似ていると思う。赤髪じゃないけどね。対戦相手としては、流川とマッチアップしてみたいね。プレイに対する姿勢が自分にとても似ていると思うし、背番号も同じ11番だしね。

――一緒にプレイしたいのは誰か

チームメイトに欲しいのは桜木だね。

――他に好きな日本の漫画やアニメ

昔の作品もとても好きなんだ。手塚治の『ジャングル大帝』と『鉄腕アトム』がとても好きだ。

Brook Lopez

――ロビンとの対戦成績が7勝9敗だけど、気にかけているものなのか

ああ、常に気にしているよ。そして自分たちが成績を忘れていても、友人たちが絶対に言ってくるんだ(笑)。来年なんとか成績をイーブンにしたいと思っている。

――日本語を勉強しているそうですが、一番好きな言葉は

そう、最近勉強していていくつかフレーズを覚えたよ。少しずつ良くなってきている。簡単に覚えられるように記憶術を使っているんだ。その中で一番気に入っているのが「おかえりなさい」で、それはカイリー・アービングって覚えているんだ。「Welcome back Kyrie, おカイリーなさい」ってね(笑)。

――Bリーグに元NBA選手が増えてるけど、いつかプレイは?

実はロビンとそれについて話しあったことがあるんだ。NBAでのキャリアを終えたあと、こっちに来て1、2シーズン過ごして日本の文化に触れるのも良いねってね。

――今回の来日で一番楽しかったこと、もしくは楽しみなこと

まず、一番ではないけどやっと東京スカイツリーに行くことができて、それはとてもクールだったね。一番良かったのはこないだ小学校を訪れたときかな。

――スリーが増えた理由

ケニー・アトキンソンHCとショーン・マークスGMと話し合って、それがリーグの流れでもあるし、ケニーのシステムにもとてもはまっていると感じたんだ。それでオフシーズンにたくさん練習した。コート上に5人のスリーが打てる選手がいることがチームにとってとても強みになっている。コートを広げることができている。

――スモールで戦うのが最近の傾向だけど、そういったことも踏まえて?

そう、間違いなくそれだよ。NBAは進化を続けていて、このリーグで結果を残すにはいかにそれに対応できるかが重要なんだ。スリーが打てるようになった今、スモールボールのラインナップになっても出場し続けることができる。チームにとっても助けになっていると思う。

Brook Lopez

――4月10日にネッツの歴代最多通算得点者になった

あの記録を達成したのは本当に夢のような出来事だったよ。まずは自分がこれだけ長い間プレイしていることにびっくりした。自分がルーキーだったのがまだ昨日ように感じていたからね。そして自分が素晴らしいチームメイトに恵まれてきたことの証明だと感じた。たくさんの素晴らしい選手たちとプレイしてきたからね。ビンス・カーター、ケビン・ガーネット、ポール・ピアース、ジョー・ジョンソン。そしてデビン・ハリス、デロン・ウィリアムズ、ジェレミー・リンといったポイントガードたち。彼らが素晴らしいチームバスケットボールをプレイしてくれていたから、今の自分がいるんだ。

同じ日にロビンがサージ・イバカを殴ってしまって、そっちのほうが話題になっちゃって面白かったけどね(笑)。

――ピアースが引退するけど、何かピアースとガーネットのいいストーリーはありますか?

いやあ、2人がブルックリンにいたときは本当に多くのことを学ばせてもらったよ。一つだけ挙げるのはなかなか難しいけど、ピアースが“Truth”でKGが“Ticket”というあだ名で、2人は僕のことを“Logan”と呼んでいた。僕が髪と髭を伸ばしていると『ウルヴァリン』に似てるからってね。“Logan”はウルヴァリンの本名なんだ。

Truthと一緒にいて最高だった瞬間は、3年前のプレイオフでトロント(ラプターズ)を相手に彼が逆転シュートを決めたときだね。「このために俺は来たんだ!」って彼が叫んでいて、とてもクールな瞬間で最高だった。

――日本のNBAファンにメッセージ

とにかく日本のNBAファンに感謝したい。NBAと自分をとてもサポートしてくれている。日本国内を回っていて本当に多くの素晴らしい人々に出会えた。いつもとても歓迎してくれて、日本文化を楽しむことができている。今後も良い関係を保っていきたい。いつか日本でNBAゲームが行なわれて、そこでプレイしてたくさんのファンに見てもらいたいと思っているよ。

文:大西玲央 Twitter:  @BullsFiJ

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。