リラード加入でバックスはどう強くなるのか ヤニスとのコンビで最も恐ろしいチームに?

Scott Rafferty

坂東実藍 Miran Bando

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NBAに新たな「ビッグスリー」が誕生した。

デイミアン・リラードが、マイアミ・ヒートでジミー・バトラーやバム・アデバヨと組むことはなかった。だが彼は、ミルウォーキー・バックスにトレードされ、ヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトンと組むことになったのだ。

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このトレードは、リラードにとって未経験の優勝を達成する最高のチャンスとなる。彼を獲得するためにバックスは層の厚さを一部犠牲にしたが、リラードはわずか2年前に優勝したチームが新たな高みに達するのに役立つ、これまでと違うダイナミックさをもたらすはずだ。

それでバックスは優勝候補となるのだろうか。リラードがいかにフィットするのかを分析しよう。

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デイミアン・リラードの加入でミルウォーキー・バックスは強くなる?

リラード、アデトクンボ、ミドルトンのトリオは、守る側にとっての悪夢となる。

バックスはドリュー・ホリデーの守備を失うが、リラード加入は攻撃面で大きなアップグレードだ。33歳という年齢ながら、リラードはNBAで最高の選手のひとり。昨季は平均32.2得点、7.3アシストを記録し、7回目となるオールスターとオールNBAチーム選出を果たした。いくつかの指標は、攻撃に関するリーグ最高選手と示している。

リラードはドリブルからのプレイやロングレンジからのショットに関して、ステフィン・カリーを除き、現在のNBAで最も恐れられている選手だ。彼のショット力とアデトクンボのリムへのアタックは簡単に互いを補完するだろう。そのため、リラードとアデトクンボのピック&ロールは、相手の守備に多大なる重圧をかける。

少しでもスペースがあれば、リラードは簡単に決めてしまうだろう。昨季、彼以上にプルアップからの3ポイントショットを決めた選手はいないのだ。そしてリラードはバスケット付近でのフィニッシャーとしても成長した。

複数のディフェンダーを引きつければ、アデトクンボが襲いかかってくる。

大半のチームにとっては、スイッチも解決策にならないだろう。リラードは今でも、アイソレーションからのスコアラーとしてリーグで最も支配的な選手のひとりだ。そしてもはや、1on1でアデトクンボを止められる選手はいないのではないか。大半のビッグマンはリラードについていくには遅すぎるし、アデトクンボをペイントの外に保てるようなガードはいないだろう。

バックスのエイドリアン・グリフィン・ヘッドコーチは、リラード、アデトクンボ、ミドルトンの3人全員を絡めた動きを使えるはずだ。近年人気のスペイン・ピック&ロールはお互いの強みを生かす。バックス前ヘッドコーチのマイク・ブーデンホルザーも、何度か試合終盤で用いていた。

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リラードがボールを持っていなくても、彼の存在はアデトクンボをやりやすくさせるだろう。ホリデーが3Pシューターとして良くなかったということではない。ホリデーはバックス在籍時に3P成功率39.5%と見事な数字を残している。だが、リラードが相手に与える恐怖は別レベルだ。相手チームは、ボールを持っていないリラードに少しでもスペースを与えるリスクを冒すわけにはいかなくなる。

まずまずボールを扱うミドルトンにも同じことが当てはまる。リラードが彼のためにフロアを広げ、自分のスポットに向かう機会を増やすのだ。近年はケガに悩まされてきたミドルトンから、アデトクンボのナンバー2という重圧をある程度軽減させられる。

昨季のリラードはアシストから126本の3Pを沈めた。これは自身のキャリアで2番目となる数字。彼はスポットアップだけでなく、スクリーンからのランニングもできる。

また、リラードがいれば、相手チームがアデトクンボに対して壁を築くこともより難しくなる。ミドルトンとブルック・ロペスは、それぞれのポジションで有数のシューターたちだ。パット・カーナトン、マリーク・ビーズリー、ジェイ・クラウダーも、それぞれ3Pレンジで警戒が必要となる。アデトクンボはコートに立っている時間の大半で、仕事をするための十分なスペースを手にするはずだ。

今回のトレードでバックスが守備に関して打撃を受けたことは疑いない。ホリデーが堅固なディフェンダーであることは変わらず、リラードはずっと守備で限界があった。だがそれでも、バックスにはアデトクンボにロペスと、オールディフェンシブ級のディフェンダーが2人いる。彼らがリラードをカバーできるだろう。守備で後退を余儀なくされても、昨季15位のエフィシエンシーだった攻撃面をリラードが引き上げられるなら、新たな高みに向かえるかもしれない。

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そしてリラード加入の影響を特に感じるのが、プレイオフだろう。ブーデンホルザー政権のバックスは、レギュラーシーズンで非常に優れた、時にはエリートクラスの攻撃を見せながら、ポストシーズンで問題にぶつかっていた。だが、リラードが入ることで、バックスの攻撃が停滞し、相手にとって予測可能になることはないだろう。

マイク・ブーデンホルザー時代のバックスのオフェンシブレーティング
シーズン レギュラーシーズン プレイオフ
2018-19 113.5 110.7 -2.8
2019-20 111.9 109.1 -2.8
2020-21 116.5 112.2 -4.3
2021-22 114.3 103.4 -10.9
2022-23 114.3 114.2 -0.1

もちろん、リラードはNBA史上有数のクラッチプレイヤーでもある。2シーズン前はリーグ最多のクラッチポイントを記録しており、レギュラーシーズンでもプレイオフでも、そのキャリアで何度もビッグショットを決めてきた。正しいバランスを見つけるのに一定の時間はかかるだろう。だが、リラード、アデトクンボ、ミドルトンと、バックスには試合終盤で有利なマッチアップが少なくともひとつはあるはずだ。

もしもリラードが期待される条件を満たすなら、バックスは新シーズンのNBAで最も恐ろしいチームとなるかもしれない。

原文:How much better does Damian Lillard make the Bucks? Breaking down All-Star's fit with Giannis Antetokounmpo(抄訳)

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Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。